表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/647

当たってほしくないと強く思う程、嫌な予感という物は当たりやすい

 三人がいなくなった小屋では、三人がお互いを心配し合っていた。


「大丈夫ですか、村長! お怪我はありませんか!?」

「村長!! 怪我がありましたら今すぐに治しましょう! 俺、救急箱持ってきます!」

「いや、問題ない。――二人とも、ありがとう」


 二人は、微笑んでいる村長を見て不思議に思い首を傾げるが、何も聞かず共に笑った。


 三人は今回の件で、酷く反省した。


 知里に脅された恐怖もあるが三人はそれぞれ、大事な人を失うかもしれないという気持ちを自身で味わった。


 今までの行いを悔い、これからについて話をしようと小屋の中に戻る。

 その時、後ろから気配を感じた。


「………な、なっ」


 後ろから感じる気配により、三人の額からブワッと冷や汗が流れ落ちた。

 体には鳥肌が立ち、カタカタと震える。


「な、何故…………」


 一人のヤンキーがぼそっと呟くと、三人の後ろに突如、小さなブラックホールのような黒い空間が現れた。


 三人が動けず震えていると、現れた黒い空間から、色白の右手が伸びる。


 ズズズッ――――と、腕、肩、胴体と。ゆっくりと、黒いローブで顔を隠した人が現れた。


 身長は、成人男性の平均程度。

 黒いローブで顔まで隠しており、口元以外の表情は伺えない。


 微かに見えている口元は横に引き延ばされ、袖で隠れている()()()()()()()()()()が村長へと伸ばされた。


「こんにちは~」


「な、なぜ、管理者の処刑人であるアクア様がここに……」


 現れたには、この世界を管理している管理者。名前は、アクア。

 三人は、アクアを見てその場から動けなくなる。


 そんな三人の様子などお構いなしに、アクアはフードの隙間から覗き見える口元が横に伸ばされた。


「今回、私がここに来た理由ですねぇ~。それはぁ~、セーラ村の村長の代わりを準備したことを伝えに来たのですよぉ~」


 一般男性と比べると、少し高めの声が響く。

 マイペースな口調だが相手の心を凍らせるほど冷たい声色と言葉に、唖然とする。


 恐怖のあまり何も言えなくなってしまった三人に近付き、アクアは村長の肩に手を置いた。


「では、私達、管理者の元へ来てください~。 小さいですが、違反は違反。罪を償って頂きますよぉ」


 村長の耳元で囁くと、今度は足元に黒い空間が現れた。


 抗えず、叫び声をあげることすら上げられない。

 そのまま、村長は吸い込まれるように黒い空間へと落ちた。


 残されたヤンキー二人の肩に、青年は手を置く。


「余計なことはしないでくださいねぇ? 大丈夫です。貴方達の村長は、罪を償い終われば戻ってきますよぉ」


「耐えられれば、ですがね――……」と言い残し、アクアは二人から離れ、瞬きをした一瞬のうちに姿を消した。


 二人はやっと恐怖という名前の拘束から解かれ、その場にへたれこむ。

 震える体を自身で抱きしめ、村長が消えた地面をただただ見下ろすことしか出来なかった。


 ※


 次の日、俺達はギルドの受付嬢が持ってきてくれた朝食を食べ、朝を過ごしていた。


 村長とヤンキー二人は大丈夫だろうか。

 後悔しているみたいだったし、余計なことはしないとは思うんだけど。


 …………なんだろうか。なんか、嫌な予感がする。


 朝食に出された珈琲を啜り、サンドイッチにかぶりつく。

 眉間に皺を寄せながら朝食を食べていると、受付嬢が外から呼ばれてしまい席を外した。


 出入り口で何か話してるみたいだな。

 なんだろう、()()()()()で体全体を隠しているから性別すらわからない。


 サンドイッチを食べながら眺めていると、受付嬢がなにか慌てた様子を見せ始めた。


「あ、ちょっと!!」


 受付嬢に手紙を押し付けた黒いローブの人がいなくなると、困惑しながら俺達の方へと戻ってきた。


「どうしたんだ?」

「…………あの、私……。村長になれと、言われたのですが…………」

「…………ん?」


 え、村長に?


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 受付嬢が村長に任命されたらしい。


 なぜ、どうして。

 あのごく潰し村長が自ら地位を手放すとは思えない。

 何か、村長が出来なくなった理由があるのか?


 確認するため俺は今、アルカとリヒトと共に村長の家に走っていた。


「何がどうなっているんだカガミヤ! 村長は考え直してくれたんじゃないのか!?」

「わからんから今確認するため、村長の家に向かっているんだろうが」


 何もなければそれでいい。

 だが、さっきから感じる嫌な予感が、小屋に近づけば近づくほど強くなる。


 いや、もう予感ではない。

 確実に何かが起きている。


「はぁ、はぁ……」


 村長の家にたどり着いた。

 周りや小屋を見てみるが、昨日から変わったところは無い。


「な、何も変化はありませんね」

「はぁ……。そうだな」


 あと確認していないのは、中か。

 警戒しながら小屋に近付き、ドアノブを掴む。


 鍵がしまっている可能性があったが、すんなりと開いた。

 中を覗き込むと、薄暗い。

 もっとドアを開かなければ中を見えないな。


 キィィイイっと扉を全開にすると、ヤンキー二人が壁に背中を預け、膝に顔を埋めている姿があった。


ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] え……えっ!?(; ゜Д゜) 平和的に楽しく解決できて、ヤンキー二人がコミカルなやられキャラから、名前が分かって顔の見える「人間」に感じられて、村長と三人でこれから……って思ってたのに!!…
[良い点] どうもです。 Xより拝見しに来ました。 ストーリー構成や設定が面白いですね。 スラスラ読めました。 お金は大事ですが、やはり万能とは言えないですね。 でもやっぱり、お金に重点を置…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ