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チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします  作者: 桜桃
第一章 セーラ村

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俺の報酬を早くくれよ…………

 おっさんの顔横の壁が、炎で黒く焦げていた。


 ――ちっ、狙いが逸れた。


 後ろからの叫び声に一瞬気を取られた。

 途中で炎を弱めたから、この程度で済んだのは幸いか。


 振り向けば、閉め忘れた扉の向こうにヤンキー二人。


 ……さっきの叫びは、馬鹿な方だな。

 二人の目は、明らかに村長を案じていた。


「……助かったな、お前」

「な、は……?」

「あの二人がいなけりゃ、俺はお前を殺していたかもしれん」


 足を下ろし、頭をガシガシ掻く。

 村長は後ろの二人を見て、俯いた。


 ……あぁ。

 大事に思ってはいるんだな。


 その心が、歪んでいただけで。


「上に立つなら、外に良く見せる前に内側の信頼を勝ち取れ」


 静かに言う。


「明るく声をかけるでもいい。裏で支えるでもいい。それはお前が決めろ。だがまず、村人を大事にしろ」


 村長を見ながら言うが、沈黙。

 俺の言葉が届いたかどうかは知らん。


 だが、俺はこれ以上何も言えない。

 これで、少しでもマシになれば、それでいい。


「さてと、余計なもんは片付いた。次だ」


 ここまでのことをさせられたんだ、倍の四百万では足りない。

 三倍だ、三倍の六百万はもらわないと。


「なぁ、報酬、くれるよな?」


 しゃがみ、無理やり目線を合わせる。

 村長は瞬きを数回したあと、吹き出した。


「わかった。正規の報酬を――」

「三倍だ」

「……は?」

「三倍」

「二倍で――」


 小さな炎を右手に灯す。


「三倍」

「……………………はい」


 よし。

 やっとだ。

 俺の、六百万!!


「今、脅したよな?」

「気のせいだ」


 チラ見せしただけだ。

 脅迫ではない。演出だ。こういうのも大事だろ?


「はぁぁぁぁぁああ……疲れた。腰と肩がいてぇ。目が渋い」

「その発言、俺のじーちゃんが――」

「それ以上言ったら鼻曲げるぞ」

「|ふひはへんれひた《すみませんでした》」


 アルカの鼻を摘む。

 俺はまだ二十代だ。後半でも二十代だ。異論は認めん。


 俺たちが話していると、村長が小さく聞いてきた。


「ぬしは、何者だ」

「異世界から来た、金が大好きな二十代の一般ピーポーです」

「んな訳なかろう」


 否定しないでくれよ、本当のことを言ったのに。


「わしは……やり直せるのか?」


 ……へぇ。

 効いたな。


「やり直したいと思うなら、勝手にやれ。六百万もらえれば、俺は知らん」

「……わかった」


 少しだけ、声に力が戻る。

 これは、変わるな。この村。


「それと、後ろの二人を解放してくれ」

「あぁ、忘れてた」


 ヤンキー二人は縄ぐるぐるだったな。

 その時、リヒトが駆け込んできた。


「カガミヤさん! 大丈夫でしたか?」

「おう。問題ない」


 状況を見て、安堵するリヒト。

 ヤンキー二人を解放し、六百万はギルドを通じてもらうことを約束させ、家を出る。


 これで終わりだ。


「最後にいいか、転移者よ」

「なんだよ、質問が多いな。まとめて言え、めんどくさい」

「また、わしが何かすれば、ぬしは来るのか?」


 ……その言い方。


「お前、反省してないな?」

「違う。もう、関わり合いたくないのだ」


 ヤンキー二人を見る。


「あいつらを危険に晒したくはない」


 ……ようやく理解したか。


「お前は今まで奪ってきた側だ。俺があいつらを殺しても文句を言える立場じゃない」

「わかっておる」


 本当に理解している顔だった。

 なら、もう言うことはねぇな。


「……じゃあな」


 俺たちは三人でギルドへ戻る。

 もう問題は起きないだろう。


 なにより――六百万はもらえる。

 俺がここにいる理由は、もうない。


 さて。

 今日はゆっくり休むか。

 

 六百万をギルドから受け取ってな!!

ここまで読んで下さりありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 村長さんがなかなか心を入れ替えたり考えたを改めたりしなさそうだと思っていましたが、ヤンキー二人のおかげで(?)村長さんなりに考えるきっかけになったのかな(´・ω・) ここで村長さんを殺して…
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