素敵な朝食だ
「……どっちにしろ、君の戯言に付き合っている暇はない」
おい、結局俺の言葉は信じないってことか。
酷い。嘘なんて言ってないのに。
「最後に一つだけ伝えよう。受付嬢さん、約束通りギルドの案内人を降りてもらう」
「そ、そんな……」
「それだけで済んだと思え。この男がいなければ、今頃貴方はここにいない」
サングラスを少し下げ、女を睨みつけて部屋を出ていく。
……あれは、本気で怒っていたな。
これ以上刺激したら危なかった。
正直、引いてくれて助かった。
まだ魔力を完全に制御できていない状態で戦闘は避けたい。
「――――っ!」
ドアを出る際、冷静ヤンキーに睨まれた。
あれは、完全に目を付けられたやつだ。
ドアが閉まり、静寂が戻る。
「さて、この後はどうす――」
振り返ると、受付嬢が声も出さずに泣いていた。
リヒトが慰めている。任せよう。
俺は――四百万だ。
「ギルドが払えないなら、村長から直接もらえばいい」
「今そんな話ですか!?」
いや、俺にはそれしか出来ない。
報酬、四百万、大事。
「受付嬢、ひとまず待っていろ。どうにもならないかもしれないし、何とかなるかもしれない」
「それって、どういう意味ですか?」
「村長に直談判する。この村の仕組みを変えられれば、お前の失態も揉み消せるかもしれない」
まだ理解していない顔だ。
「今回の件を本気で後悔しているなら、だがな。四百万をもらうついでだ」
「あのぉ、一応報酬が倍になる話は了承されていなかったはずだが?」
聞かない聞こえない。
俺が倍と言えば倍なんだ、異論は認めない。
言うと、受付嬢の目が輝く。
近い、顔が近い。
「お願いします! 本当に後悔しています!」
「わかった、顔を離せ」
“必ず”とは言っていない。
だがリヒトが「良かったですね」と微笑む。
……逃げ道がなくなった。
はぁ。四百万、遠いな。
※
今日は休むことにした。
寝場所に困っていると、受付嬢がギルド奥の空き部屋へ案内してくれた。
三人で一部屋らしい。
テーブル、椅子、そして――ベッドが一つ。
「ここは俺のだな」
「もう横になってんじゃねぇか」
「一番疲れたのは俺だ」
「……まあいいけど」
リヒトが困った顔をする。
「あの、カガミヤさん」
「なんだ」
「さっきの話、本気ですか」
ベッド横に膝をつき、覗き込んでくる。距離が近い。
「本気だ。言う以上はやる」
「報酬と同時に村も変える、と?」
「努力はする。だが、期待はするな。あっ、四百万は期待していいぞ、なにをしてでも手に入れるからな」
「…………わかりました」
納得しきれていない顔だ。
だが、これ以上何かを言うつもりはない。
「寝ろ。明日に備えろ」
本当に優しい奴らだ。
見捨ててもいいはずなのに。
……出来ることはやる。それだけだ。
※
朝。
「起きろカガミヤァァァ!!」
――ゴスッ
「ぐふっ!!」
「だまれ」
「アルカ!?」
おっと、反射でアルカの腹を蹴ったらしい。
「何時だ……」
「謝罪は?」
「鼓膜を破る勢いで叫んだお前にも非がある」
「……悪かった」
「よし」
アルカが咳き込みつつ言う。
「話し合いの後、服を見に行かないか?」
「ああ、それは欲しいな」
防具や武器の、大体の説明を受ける。
それぞれ、自分に合った物を使わないと、戦闘では不利に働くらしい。
「なるほど。なら、俺は属性耐性にするかな。多分、物理攻撃より、魔法での戦いが多くなりそうだし、俺もそっち方面に戦闘を持っていきたい」
だが、ここからが一番の問題。
「金はあるのか?」
「少しだけ」
やはりそこだ。
「なら、やっぱり四百万次第だな」
「もう、四百万で確定している……」
リヒトが呆れている中、アルカが勢いよくドアへ向かう。
――ガチャ
と、思ったら外から開いた。
受付嬢が朝食を運んできてくれたらしい。
湯気の立つコーヒーとサンドイッチ。
いい匂いだ。
「簡単な物で申し訳ありません」
「いや、十分だ」
テーブルを囲む。
現代ではゼリーで済ませていた朝。
久しぶりに、ちゃんとした朝食だ。
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