隠された村の真相
テーブルの上にある野菜サンドを口に入れると、シャクシャクと新鮮な音が鳴る。
作りたてか? 野菜が新鮮だな、普通に美味い。
最後の一口を頬張り、飲み込む。
これだけで、もう満足だ。
コーヒーの香りも鼻をくすぐり、気持ちが落ち着く。
飲みやすい温度だし、最高の朝だ。
「朝食を楽しむのはいいが、早くこれからを考えようぜ?」
「今くらいは楽しませてくれよ。これから面倒なことを起こしに行くんだから」
俺の様子に呆れているアルカの隣では、リヒトと元受付嬢が何気ない会話をしていた。
いや、元受付嬢は無理に笑っているな。
リヒトも気づいているが、あえて明るくくだらない話をしている。
全員がサンドイッチを食べ終えたところで、二人に声をかける。
「おい」
「は、はい」
二人が慌ててこちらを見た。
「これから村長に直談判しに行くが、居場所は知っているか?」
「……やっぱり、行くんですね」
「行かなきゃ四百万がもらえないだろ。それに、お前もやばいんじゃないか?」
「うっ、四百万ヘイトが先に来ている……。すみません。お願いします」
「へいへい」
努力はする。だから、早く居場所を教えろ。
「村長の家なら俺も知ってるぞ」
「アルカも知ってるのか。なら、案内頼めるか?」
「おう!」
アルカがすぐ立ち上がる。
もう少し休みたかったが、早く四百万ほしいからな。
リヒトも立ち上がると、受付嬢が泣きそうな顔になる。
「リヒト、こいつと一緒にいてやれ」
「え、でも」
「一人よりは、誰かはいた方がだろう。交渉は俺とアルカで足りる」
リヒトは受付嬢を見て、頷いた。
「わかりました」
「おう」
ドアを開けた時、呼び止められる。
「カガミヤさん」
「なんだ?」
「信じています」
振り向くと、柔らかな笑み。
……むず痒い。
「……へいへい」
頭を掻き、廊下へ出た。
※
外は相変わらず人、人、人。
もう帰りたい。
「早く行こうぜ」
こんな俺を、アルカは何も気づかずせかしてくる。
おいおい、もっと俺を気遣え。
数分歩くだけで汗ばむ。
ジャケットは脱いでくればよかった。
首元をぱたぱたさせながら周囲を見るが、どこも人だらけ。
呼び込みの声が飛び交い、活気に満ちている。
「見た目は、明るい村だな」
「見た目だけならな。でも違う」
「何が違う」
アルカが俯く。
「……俺がギルドに入った理由から話す」
そこからかよ。
※
俺がまだ子供だった頃、兄と両親はよく遊んでくれた。
兄は体が弱く、寝ていることが多かった。それでも優しく笑ってくれた。
母とは買い物に行き、父の仕事も手伝った。
あの頃は前村長がいて、村は歪んでいなかった。
前村長は誰にでも優しく、俺にも声をかけてくれた。
大きな手で頭を撫でられるのが好きだった。
村のみんなも村長が好きだった。
だが、幸せは続かない。
前村長は病で倒れ、そのまま亡くなった。
村は涙に包まれた。
通夜の夜、俺は外から様子を見ていた。
その時、現村長が現れた。
『やっと死んだか。これでこの村は俺のものだ』
意味は理解できなかった。
でも、そこから地獄が始まったことは、嫌でもわかった。
両親は、朝から晩まで働かされ、兄も無理やり仕事をさせられた。
逆らえば減給、文句を言えばただ働き。
村は笑顔を強制される場所になった。
やがて兄は悪化し、亡くなった。
両親も、そのまま後を追った。
残された俺も、ロープを握った。
だが止められた、止められてしまった。
生き残った俺は、ギルドの話を聞いた。
ダンジョンを攻略すれば上に立てる。
村を変えられるかもしれない。
そう思い、入団した。
リヒトと出会い、二人で攻略を続けた。
そんなある日、村長に声をかけられた。
『あの役立たずの親と病弱な兄の弟か。よくギルドに入れたな。俺のために働け』
肩に手を置かれた瞬間、憎悪が爆発した。
気づけば、村長は地面で気絶していた。
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