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早く質問に答えてほしいものだ

 リヒトの案内のもと、無事にギルドへとたどり着いた。

 そこには、アルカが一つの建物前で手を振っている。


 のんきな奴。まったく、俺の苦労も知らんで。


「お、遅いぞ~」

「人込みに慣れていない俺を置いていって、一人でギルドに辿り着いたアルカ君こんにちは」

「棘のある言い方しないでくれよ…………」


 事実だろ、俺達を置いていきやがって。


「あの、大丈夫ですか?」

「ここは大丈夫と言いたいが無理だ、気持悪い。肩貸してくれ」

「あ、どどどどどどうぞ!!! あ、あの回復魔法しますか?」


 え、回復? 頭痛を治せるのか?

 それならお願いしたんだけど……。


「あ、私の回復魔法、外傷にしか効果がなかったんでした……」

「……無理すんな」

「役立たずですみません…………」


 落ち込んでいるリヒトの肩を借りる事は出来たが、ちっせぇから腰が痛くなりそう。めまいでふらつくよりはましだけど。


 つーか、アルカからの視線が気になる。

 なんだよ、言いたいことがあるんならはっきり言えや。


「何か、距離近くねぇか?」

「色々話してこうなった」

「色々?」

「今は関係ない。早く報酬をもらうぞ」

「お、おう」


 改めてギルドを見てみる。


 周りに建てられている建物より大きい木製の建物。

 両開きの扉の上には、『ギルド』と簡潔に書かれている看板が掛けられていた。


 こんなに簡潔なのか。

 ”なになにのギルド”とかじゃないのか。


 アルカを先頭に、ギルドの中に入る。

 中は思っていたより人は居るけど、指で数えられる程度だから外よりは幾分かマシだな。


「へぇ、結構いい所だな」


 中は木製の建物なだけあって温かみがあり、休憩するのにも適している。


 カウンターにはウエイターみたいな服を着用している女性が、目の前にいる冒険者と笑顔で接している。


 カウンターがあるこの広場が受付なんだろうな。

 隣にも部屋が続いているみたいで、覗いてみるとテーブルや椅子が置かれていた。


 あそこが冒険者の休憩所みたいだな。


 周りを見回している俺など気にせず、アルカは笑顔でカウンターに向かって行った。


「お疲れさまでした」と、受付嬢が先ほどまで話していた冒険者に手を振り送り出したところを見計らうように、アルカが笑顔で声をかけた。


「おーい、"黎明れいめいの探索者"だ。今回はしっかりとダンジョン攻略してきたぞ」


 アルカの言葉に受付嬢が驚いたように目を見開いた。


 なんでそんなに驚くの? 

 ギルドのスタッフさんって、ダンジョンの手配や報酬のやり取りをやるのが主な仕事だろ?


 …………なーんか怪しいな。

 少々傍観させてもらおうか、面白いことになりそう。


「え、貴方達が? 本当ですか? 嘘ではないですか? だって、貴方達が行ったダンジョンって…………」

「俺達よりランクの高いダンジョンだが?」

「そ、そうなんですね。あの、本当に攻略したんですか?」

「記録とか残っていないのか?」

「い、いや、でも……」


 …………不自然だな、あの受付嬢。

 絶対に、今回の件を知っている。

 ちょっと、俺も話してみるか。


 リヒトから離れ、アルカの隣まで移動すると、受付嬢が見あげてきた。


 ここは、表情筋をフル活用した方が円滑に話が進むだろう。

 よしっ、笑顔を意識して問い質してやる。


「すいません、アルカの言う通りダンジョンを攻略させていただきました。報酬をいただけると嬉しいのですが、なぜすぐに渡してくれないのでしょうか」


 これが営業スマイルだ。

 アルカからの視線が痛いが気にしない。


「い、いや。渡そうとしていないわけではないんですけど…………」

「なら、渡せない理由があるということでしょうか?」

「そういうわけでは…………」

「では、早く報酬を出してください。命を懸け、自身達よりランクの高いダンジョンを攻略した俺達に報酬。さぁ、早く」

「それは…………」


 んー、さすがに笑顔を作るのも疲れてきたなぁ。

 さっさと話を終わらせたい。


「…………なぁ、なぜ報酬をすぐに渡さない? もしかして、ないのか?」


 肩が震えた、ないのか。

 まさか、こいつはアルカ達が攻略すると微塵も思っていなかったのか?


 …………ランクの高いダンジョンに送り込んだのは、こいつか。

 絶対にクリアできないとわかっているから、今の事態に驚き戸惑っている。


「お前、こいつらをランクの高いダンジョンに送り込んだんだろ。それも、わざと。誰かの指示なのか?」


 聞くと、顔が真っ青になってしまった。

 俺の推測は当たっているらしい。


「詳しく聞かせてもらってもいいか?」


 俯かせている女性の顎に手を伸ばし、無理やり上げさせる。


 顔を近づけ情報を要求するが、顔を青くし体を震えさせるだけで何も言ってはくれない。


 歯をカチカチと鳴らし、なにかに怯えている。

 俺と目すら合わせようとしない。


「なぁ、お前はこいつらの命を危険に晒した自覚あんのか? 怯えてないで早く俺の質問に答えてくれよ。なぁ? 早く、答えろよ」

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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― 新着の感想 ―
[良い点] アルカくんみたいな人を疑うことを知らない純粋なタイプがこんな風に危険なめにあわされているのは、ほっておけないの、分かります(;´・ω・)
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