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第48話 白金樺の町の冒険者組合。

実はリアル2日もログインしないパーティメンが出るのは初です。

 翌日のログインは、残念ながら全員揃わないので、適当にほっつき歩くのが確定だ。


 実は花枝はなえさんが今日明日不在なんですよ。

 ゆる固定全員に、珍しい人が居ない!って言われましたけど。


 でもなー、こればっかりはなー。

 お姉さんの結婚式だからさあ!絶対出席させてあげなきゃだよ!!


 そんな訳で、久しぶりにソロで、初めての町をそぞろ歩きだ。

 プレイヤーが我々パーティメンしかいないから、人目は気にならないからねえ。


 って思ってたんですけど。


 予想外に視線を感じますね?

 プレイヤーではないだろうから、多分NPCなんだけど。


 白金樺の町の構造と規模は、黄金桜とあまり変わらない。

 門から入ってまっすぐ進むと、噴水のある大広場があって、ホームポータルが併設されている。

 そこから東を向けば冒険者組合、その北側に商店街。

 西を向けば南側に職人街と、その北側は住宅街。

 北にまっすぐ向かえば神殿と領主屋敷がある、という感じ。

 周囲をぐるりと高い石壁が取り囲んでいて、東西南北に門がある構造なのも同じだ。


 ただ、町の色はこちらの方が明るい。

 黄金桜は濃いグレーの屋根に暗いベージュの壁ってイメージだけど、こちらの町は明るいグレーとオフホワイトだ。


 そういえば地名はバリバリの日本語で漢字表記だけど、町の佇まいはどちらかというと東欧の田舎風?だねえ。屋根は赤瓦じゃなくてスレート葺きが多いようだけど。


 昨夜は神殿の仮眠室を借りたので、北側から広場に向かう。

 メインストリートだけど、ところどころに食べ物の屋台が出ているね。


(むしろこういった辺りに屋台が出ていない黄金桜の方が珍しいのだぞ)

 朔夜の解説。そっか、あっちが例外かあ。


[キリカ]おはよーござまー。

[ひまり]おはよー!

[玉兎]おはよう、キリカさんにしては珍しい時間だね。

[キリカ]今日から一週間、本業がお休みなのよ。職場の耐震工事でねえ。


 そしてクランチャットには普段この時間にはいないキリカちゃんが。

 仕事が強制休暇か……そんなこともあるよねえ。


[ミサキ]おはよーございまっす!白金樺ってどんなとこですか!

[ひまり]黄金桜より町自体の色が明るいのと、大通りにも屋台がある。コボルトさん多め。

[玉兎]NPCの視線を感じる。境界の子はあまり見たことがないのかな。

[ひまり]神殿ではそういう視線なかったのにねー。

[北斗]おはー。とりあえず冒険者組合行くか。

[ミュー]おはよ。視線とかあんまないけど、ってわたし普通種だったわ。

[ミケ]おっは。ここでも神殿のクエ沸くの想定外

[北斗]ここでも飾られるの?

[ミケ]いや、石像の欠品があったわけじゃなくて、新作のモデルだとか

[ひまり]ミケさんのコピーが神殿に……?

[ミケ]新人の教練も兼ねてだそうだから、そこまで似ないんじゃねえかな?

[ベル]ワタシたちの姿は人類史の傑作から採られてますものねエ。そう簡単に模倣はできませんワ☆


 クランチャットをチェックしながら、まずは冒険者組合白金樺支部だ。


「おはようございます!」

「おはようございますお嬢さん……っと、Dランクの方ですね、失礼しました。

 白金樺支部は初めてですか?」

「はい!黄金桜から来たところです!」

「まあ!そのレベルで良く到着できましたね。オオヤマネコが来ませんでしたか?」

「来た日はソロじゃなくてパーティだったので、ヤマネコは撃退してきました。

 街道を通ったので、そこまで多くなかったですし」


 ……ははーん、ソロでこのレベルだと、街道歩いててもオオヤマネコに餌扱いされるな、さては?


「ああ、フリーじゃないんですね。引率したそうな人が何人かいたので需要があればご紹介しようかと思ったのですが」

「そうなんです。メンバーが一人だけ、ちょっと数日都合が付かないので、初めての町を観光しつつちょっとした小銭になるクエストでもあれば、くらいに思ってます」


 受付のお姉さんはいろんな情報を見ていると私は思っているので、そこら辺の事情は簡単に伝える。


「ああ、門番から報告が来ています。生産者の方のご都合に合わせてるのですね?

 それでしたらスキルの足しになるタイプの訓練や依頼などがいいかもしれませんね」

 固定だとレベルがずれると大変ですものねえ、と受付さんは述べる。


 それにしても、NPCによる引率システムなんてあるのか。


(NPC側がカンストしていれば5レベル差までは引率適応が付くからな。ほれ、20キャップの時に其方らが僅かな時間だが引率側になっておったろう?)


 朔夜の言う通りね。確かにアライアンスの時は我々のカンストでディギーさん達側の経験値補正が大きく変わったものね。


 そっか、生産職のレベリングってある程度以降はそういうものを利用すればいいのか……

 それでも最初の15レベルまでは自前でなんとかしないとだったろうし、今は30に解放されちゃってるからなあ。


(いや、厳密にはレベルキャップではなく、そのエリアの敵で経験値が入るかどうかが基準だ)

 なのでキャップすると自動的に補正変更が掛かるだけだな、と朔夜の補足説明。


 とはいえ、5レベル差制限もあるから、そんな条件満たせるのは難しい気がするね?


(それは確かにそうだ。まだまだ改善の余地があるようじゃの)

 そこはほら、ベータ版だし。いろいろ試すのでいいんじゃない?


 受付のお姉さんがいくつか提示してくれたクエストで、小銭は入るけど経験値が入らないものを選ぶ。


 ……うん、全部黄金桜ならFランク用に分類されるクエだねこれ?


「意外と細かいクエストがありますね」

「この町は初心者は本当の子供しかいませんし、これを受けられるような子は時期的にこのタイプの仕事のランクを卒業したか、正規の冒険者として依頼を受けるための講習を受けるところからの子しかいない時期なので……

 丁度この季節だけ、この手の仕事が余るんですよ」

 流石にCより上の人には出せないので、と苦笑する受付のお姉さん。


 成程?この世界も学校の類は春に卒業、入学か。


「ホントならEランなりたてのヒヨッコどもにはまだまだ町の雑業もやって貰いてえんだがな、レベルを上げたい!って言われると断れなくてよぉ」

 隣で別の受付さんと報酬のやり取りをしていた先輩冒険者さんがそう言って笑う。

 このヒトは見たところジャーマンシェパードっぽい。ふっさふさタイプ。


「レベリング、大事ですしね。この辺りだと少し町から離れるといきなり獲物が強くなりますもんね」

 町の周囲こそLv15どまりだけど、そのエリアをちょっと外れるといきなりLv27とかに跳ね上がるからね、ここ。

 アクティブいないからなんとかなってるけど。


「そうなんだよ、よく観察してるね!」

「スキル上げしたいのでなんでもチェックしてます!」

「いい心がけだ!」


 話をしていたら、視線が減った。これ、先輩冒険者さん達に見定められてたのか!!


(うむ、レベルが想定より低いのでAIどもが注目していたようだ)

 わあ、そんな事情?!

 流石に我々は外れ値側だと思うけど!


(だが実際にやれると確定した以上、確認は必須であろう)

 確かにそれはそう。これはベータテストで、我々全員検証者だもんね。


 とはいえ、パーティプレイだし、我々、そこまで無茶はしていない。

 まあ多少システム面を読んだ移動とかはしてるけども……

 そこらへんでえげつないのは、だいたいソロでぶっちぎってるイノさんと、NPC好感度下限プレイしてるエルリさんだよねって。


 でもそういう人たちも、ちゃんと検証としてプレイしている、はずだ。

 新規に出てきた町スレで、イノさんが珍しく詳細説明してたけど、あの人もちゃんと見るべきところは押さえてるのがそれで判ったし。


 ……エルリさんのは単に事故かもしれんけど……


 受領したクエストは、日時指定のないものを3つだ。

 噴水広場のごみ拾いと、兎肉を2スタック集めるのと、ご老人のおうちの草むしりだ。


 ごみ拾いだけは夜間指定なので、まずは兎肉を集めに行く。

 バトルのあるクエストだけど、Lv15の大羽根兎ではLv22の私には経験値が入らないので問題ない。


 ソロで盾なし?避けりゃいいんですよ避けりゃ!!

 というわけでぽんぽんと自分で作れる火のお札をメインで飛ばしつつ、兎のキックは全回避だ。

 種族補正を意識すると、ほんとにひらりひらりと小気味よく回避するのが気持ちいい!


 でっかくても兎肉は2つしか落ちないので、20匹の兎をキラキラにしたら確保完了だ。

 アンファルも最近は兎肉はスキル上げには使わないらしいので、余分は獲らない。


 毛皮もスタックできるだけ溜まったけど、どうするかな?納品しとくかな?

 そこはまたちょっと後で考えよう。


 肉の納品を済ませたところで日が暮れて、噴水広場のごみ拾いが解禁されたので向かったら、玉兄さんと鉢合わせした。


[玉兎]ひまちゃんも掃除?

[ひまり]うん、夜できるのこれだけだし。


 噴水自体はかなり大きいので、二人で掃除してちょうどいいくらいだった。

 ちなみに噴水の中で、私が指輪を二つとイヤリングの片っぽだけ、という落とし物を発見し、玉兄さんの方は謎の革袋と未開封の小瓶という謎アイテムを発見した。


 さてこれは次のクエストに繋がりますかどうか?

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