表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/92

第49話 シティクエストには発展しない。

 すまん、ここの連続クエは未実装だ^^<予定より到達がだいぶはやい

「そんなに落ちてたんですか……」

 落とし物を完了報告ついでに届けたら、受付嬢が天を仰いだ。


「こちらはこちらで危険物の可能性もありそうですが」

「いえ、そこまでではないです。この瓶は新品未開封ですから、成人確認さえできれば薬局で買える薬ですよ。正直、空き瓶に別のものを入れていた時の方が面倒ですね!

 ただ、革袋の方は誰かが財布にしていたもののようですし、スリが中身を抜いて捨てたものかもしれませんね……」


 私の拾ったものも、玉兄さんが拾ったものも、冒険者組合の方で調査してくれるそうだ。

 指輪二つは結構高価なものだったようで、落とし主から褒賞が出るかもしれないって!


 片っぽイヤリングの方はといえば、出した瞬間にあっ!!って声がして、落とし主さんが速攻で現れた。

 ついさっき落としたのに気付いて、冒険者組合に捜索依頼を出しに来たところだったそうだ。


「ありがとうございますぅ!安物だけど彼に貰っただいじなものなの!」

 子供の頃に、その頃から付き合っている彼氏に貰った思い出の品で、普段使いにしてるんだけど、片方だけ落としたのだって。

 確かに、右の耳だけ、私が拾ったのと同じイヤリングが揺れている。


 落し主さんは、余り手持ちがなくて、といいつつも、依頼料にするはずだったというお金を全部お礼にくれた。

 3000エンげっとです。


[ひまり]……噴水掃除旨いな?

[玉兎]掃除本体のクリア報酬200エンなのにな。

[ミュー]むしろタマとひまちゃんの報酬差額やばくなりそうじゃね?

[ミサキ]運が絡む……いや運って確かベータだとnullデータですよね?

[ミケ]そういうのはリアルラックっていうんだぞ


 玉兄さんも、革袋の方は追加で報酬が出る可能性があるらしい。

 時間制限があるクエストの方が報酬は高い可能性があるのかな?

 いや、基礎報酬の低いクエストには付加価値があるとみる方がいいのかな?


 本日も短期ログアウトを神殿の仮眠室で取りまして、翌ログインではお年寄りのおうちの草むしりだ。

 朝イチに組合で行き先を再確認したら、二人くらい同じものを受けているとかで、行き先が変更された。


[ひまり]同じクエ……?

[ミュー]多分わたし!

[玉兎]僕も受けてる。

[北斗]俺は今日は兎からかなー。昨日は鍛錬させてもらったから。


 そんな感じで、ほぼいつメンがそれぞれ違う家の草むしりだ。

 ミケさんは今日もモデルの仕事だってよ!


「あらあら、草むしりなのにこんな大きい人に来てもらって、すみませんねえ」

「この町は来たばかりでまだよく判ってないところがありますし、たまにはこういう地味な作業もしたいんです」


 住宅街の端の方、割と広い庭のおうちを訪問したら、おばあさんが応対してくれた。

 なお地味な作業がしてみたい、は割と本音だ。


 噴水案件で味を占めた訳ではない!


 庶民の家にしては広い庭には花壇や芝生や樹木、それに物置や厩舎があるけど、まずは建物の傍から順に、植物を観察・鑑定しながら引っこ抜いていく。

 大半は抜かれた瞬間に、ただの『雑草』に変わる。草の紙の原料ね。

 最近では堆肥の原料のひとつでもある、という解明がされている。

 どちらも分類上は錬金術の領分だそうだ。


 そういや一般魔法に〈発酵〉あるもんね、私まだレベル足りてなくて覚えてないけど。

 一般魔法は5レベルごとに使える魔法が増えるそうだ。といってもLv10でカンストだそうだけど。

 職人勢が結構頻繁に使うので、そちらから先に報告が上がって来たよ!


「お嬢さん、もうお昼だよ。良かったら一緒に昼ごはんはどうだい?」

 家のぐるりを毟り終わって、芝生の中のタンポポやらクローバーやらコメツブツメクサやらの邪魔ものを半分くらい攻略したところで、おうちのおばあちゃんから声を掛けられた。


「ありがとうございます!いただきます」

 ベータ版ではおなかは空かないけど、こういう好意は有難く貰っておくものよね!

 Fランクの子達にもきっと同じように声を掛けるんだろうなあ。


 簡素ながらも美味しいオープンサンドの昼食を戴いて、午後からもがんばるぞ、と思ったら、ミューちゃんと玉兄さんが訪ねてきた。


[玉兎]おう、かぶった?

[ミュー]かぶったというより、先行してた?

[ひまり]朝からお昼までで家の周囲と芝生の半分くらい終わった!

[キリカ]草むしりクエ、白金樺にもあるんだ……


「ああ、うちは広いから、他所が問題なく終わった子を追加で呼ぶことが多いのよ」

 そう説明してくれたおばあちゃんにごちそうさまを言ってから、今度は3人で手分けして芝生の残りと花壇に生えた余計な草を処理する作業に入る。


[ミュー]クローバーはともかく、タンポポぉ!!

[玉兎]こんな根っこの深さまで再現しなくても!

[ひまり]土魔法の〈穴〉で掘り取ると全部いける。


 はい、タンポポとか特に根っこの深いものは生活魔法も駆使して排除しております。

 でないと!ちぎれる!ちぎれると!また復活する!


 まあ多分システム的には根っこから取り除いても復活するんだろうけど……


(いや?そこまですれば再生はしなくなるぞ。他から種が飛んできてまた生えることは当然あるだろうがな)

 そして朔夜が地味に重要な示唆を。


 ……なんです?オブジェクト扱いじゃなく、自然と同じ生態を再現してるんですこの植物たち?

 いや、そうだよね……穴掘らないとタンポポの根っこが抜き取れないとかそうだよね……


 そんな風に工夫を加えつつひたすら抜いて、途中お茶休憩も頂いて、まったりと一日草むしり。

 たまにはこんな日もあっていい。

 現実と違って一日しゃがんでても筋肉痛や腰痛は起こさないしね!

 あと【植物鑑定】がもりもり上がった。【観察】は流石にもう一般家庭の庭の雑草じゃ無理だったけど。


「多分これ植物属性持ちだと早く終わるんだろうけど」

 わたし持ってないんだよねえ!とミューちゃんがぼやく。


「でもあれエルフスレで見る限り、育てる用で引っこ抜く用ではないのでは?」

「どいてもらう、らしいんだけど」

「それ近隣に雑草置いていい空き地がなかったら無理な奴では?」

「かもしれない……」


 というか、それでいけるなら、草むしり系のクエストの何割かは植物属性持ちエルフ募集になってると思うよ!


 夕方になって、家主のおばあちゃんに状態を確認してもらう。


「まあまあ!こんなにきれいに全部抜いてもらって!小さい子だとタンポポがどうしてもねえ」

 仕事内容には太鼓判だ。我々頑張った!


 抜き取った雑草は堆肥用の集積所に置いてもいいし、こちらで処分してもいいそうなので、今回は持ち帰る。

 タンポポは食品枠で、あとヘンチャナという名前の背の高くなりそうな草(これは裏庭で見つけた)と、芝生の端っこにいたフウロソウが薬草枠だったのでこの二つは分けて、残りは草の紙を作るミューちゃんに渡す。


[玉兎]ヘンチャナ?

[ひまり]ゲンティアナかな?リンドウとかセンブリの仲間。

[ミュー]知ってるぞ、苦い奴だ!

[北斗]紙漉くのに使うと紙まで苦くなりそう。

[ミサキ]なりますね!

[キリカ]やったんだ???

[ミケ]そもそも紙を味見するか?

[ミサキ]好奇心で舐めたら悶絶しました☆


 畏るべし、ヘンチャナ。

 なお効能はヘンチャナが健胃剤、フウロソウは腹薬、らしい。

 プレイヤーはおなか壊さないはずなんで、今のところフレーバーですね!


[玉兎]……これが必要になる事態ってあまり考えたくないな?

[ひまり]現状食べたらだめなものは飲み込めないからねえ。


 ゲームですので、生肉や毒草は食べることはできない。

 害のないものはぺろっと舐めるくらいはできるけど。

 なお魚の刺身は作れるし食べられるけど、生肉のタタキやタルタルは禁止事項らしくレシピもなければ試作もできないらしい。

 私は生で肉を食べるというのはちょっと想定できないので気にしていないけど、ゲームでならイケるんじゃね?と思ってた勢がしょんぼりしているそうだ。


(生きているモンスターに噛みついても味はせんしなあ)

 そんな仕様なんだ?朔夜もいろいろやってるねえ。


(我もテスターの端くれじゃからな、今は)

 確かに、それはそう。



 3人で一緒に冒険者組合に戻って報告したら、なんとエクセレントボーナスが付いてきた。

 こんな町中のクエでも貰えるのか!


[ミュー]SPうめー!

[玉兎]黄金桜の草むしりは無理に受けられないのが辛いな。

[ひまり]Fランさんの邪魔になっちゃうもんねえ。あっちは子供多いし。


 黄金桜の町では子供が多い。

 なので、この季節でも普通に草むしりはFの子供たちの仕事だ。

 多分白金樺が例外なんじゃないかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ