グスタヴの街のすれ違い
第7話 グスタヴの街のすれ違い
ミリーナ達は東に向かったヤマタニを追った。 途中、道行く人にヤマタニの情報を尋ねていた。
馬車に乗っていた人にヤマタニ卿のことを尋ねてみた。
「あの、神はこの道を通りましたか?」
「さあね、見なかったからわかんねぇな。」
「先へ急ぐから、ではな。」
「足止めさせて、すいません。ありがとうございました。」
後から見たら、馬車の荷台には小麦袋が山積みされていた。
旅人などにもヤマタニ卿のことを尋ねた。
「見かけなかったけどね。」
「そうでしたか、すみません。」
「でもさ、次の街か村に行っているんじゃないかな。」
「次のといいますと?」
「東ならグスタヴ、南東ならジリン村だと思うよ。」
「ありがとうございます。」
「お嬢さん気をつけて行きなよ。」
「はーい。」
気の良い旅人でミリーナはちょっと嬉しかった。
「お嬢さん、何方へ行きますか?」
「う〜ん。東へ行ったと聞いたから、グスタヴね。」
ミリーナはヤマタニがまだ行っていない、グスタヴの街へと向かって歩いて行った。
◆
一方ヤマタニはジリンにて救済活動を終え、翌朝にグスタヴへと向かった。
「マスター、グスタヴまではどれくらいかかるのでしょうか?」
「カーナビとかあればすぐ分かるのだがな。よくわからない。」
「カーナビ?」
「こっちのことだから、聞き流してくれ。」
「グスタヴもまだ行ったことがないな。」
「殿はヒーリングや運転でお疲れでございましょうから、宿で早めに休息された方が良いと思いますぞ。」
「休息するなら、あたしもついて行きたいなぁ。」
「レイナみたいな可愛い娘は、宿屋でも絡まれるぞ。」
「スケさんカクさん、コメリアなんか、毎回男達に絡まれては泣いて帰っていくがな。」
「あら、そうなんですか。」
「そうだぞ、小娘。我らは持ち帰りだの乳揉ませろだのと、いやらしい男達に絡まれてしまうのじゃ。」
「ほんにほんに。小娘は撃退できるのかのぅ。」
「うぐっ。留守番しときます……。」
レイナは仕方なく後ろの座席に座った。
数時間後に、グスタヴの街へと到着した。
街の外壁の門では、馬車の行列ができていた。 しかし、ヤマタニの装甲車を見た衛兵達は、すんなりと門を通してくれた。
「貴族になって面倒事は増えたが、こういうときは便利だな。」
ヤマタニは町外れの空き地に装甲車を停めて、いつものメンバーで歩き出した。
「それじゃあ、もう今日は宿屋へ直行しようか。」
「それがよろしいですな。」
「殿は疲れておりますからのぅ。」
ヤマタニが、街の人に宿屋の場所を聞いた。
ヤマタニに聞かれた物売りの少年は答えた。
「貴族様や金持ち人は、門前のゴールドリヴァーていう宿屋に泊まっていくよ。」
「ありがとうな。」
ヤマタニは銅貨数枚を少年に渡した。
「チップだ、商売がんばれよ。」
「うん、ありがとう。」
物売りの少年が言っていた、宿は確かに門前にあった。
「ちょっと高そうな宿だが、他を探すのは止めて、ここに泊まるか。」
宿の中に入ってカウンターの者に聞いたら、一人朝夕食事付きで一泊銀貨20枚だった。
「もっと安い部屋は無いのか?」
「朝夕食事付きで一泊銀貨10枚になりますが、部屋は狭いですよ。」
「寝るだけだから、それでよい。」
「人数分部屋はあるか?」
「はい、4部屋ございますよ。」
「それじゃ、頼む。」
ヤマタニは銀貨40枚を払って、部屋の鍵をもらった。
2階の部屋に行ってみると、安宿よりかははるかに広い部屋だった。
絨毯にベッド、机やソファーがあり、浴室まであった。
「いつも泊まる宿よりも、設備がよいな。」
「しかし、観光旅行に来ているわけでもないし、次からは安宿に泊まろう。」
「マスター、お昼はどうされますか?」
「ちょっと、そこらの店へ行って食べようか。」
ヤマタニ達は近場にあったレストランへ入っていった。
ちょうどミリーナ達もこの街にやって来ていて、ヤマタニがいるレストランの前を通り過ぎた。
「お嬢さん、昼食はどうなさいますか?」
「そうねぇ、節約して屋台の食べ物でも食べましょうか。」
「お嬢さんにとっては、屋台の食べ物が物珍しいのでしょ?」
「ふふ、まぁそうね。」
「焼き魚の串焼きと、スープとパンでいいかしら?」
「俺は骨付き肉と、蒸しポテト、エールがいい。」
「俺はこっちの野菜煮込みスープとパンとお茶でよい。」
「まぁ、バラバラね。」
「好きなものをそれぞれ買って、あそこのベンチで食べましょうか。」
「はい。」
「しかし、神と呼ばれている者は、本当にこの街にいるんですかね?」
「あちこちに聞いて回ったけど、手がかり一つ見つかりませんでしたよ?」
「まぁ、ガイルは腹が減っているから、気が滅入っているのだろう。」
「食べれば、また元気になるものさ。」
そう言ってミリーナ達はあちこちの屋台を回って食事をすませるのだった。
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