セタンの街の神の居所
第5話 セタンの街の神の居所
ミリーナ達は数日かけて、やっとセタンの街にたどり着いた。
そしてまた、道行く人達に神の居場所を聞いて回った。
目の前にチャラそうな若い男が歩いていた。
「すいません、神を見ませんでしたか?」
「ん? 神なら天にいますね。」
「違います。ヤマタニ人神様、ヤマタニ卿を探してます。」
「そっちか。」
「何でも北地区のスラムで、衰弱している子供とかを救ってるらしいぜ。」
「それは本当ですか?」
「本当かどうかは、見たわけじゃないから分からんけどよ。」
「スラムに行けば分かるんじゃねぇ?」
「ありがとうございます。」
「ちょっと待った。」
「なんですか?」
「あのさぁ、お茶でもしながらさ、もっと話さねぇーか?」
「あんたみたいな、可愛子ちゃんと俺は話をしたいんだよな。」
若い男はミリーナの腕を掴んだ。
「ちょっと離しなさい。」
「だから話をしようぜ。」
「離しなさい。」
しつこく迫ってきたから、ゲイルとガイルが若い男を睨みつけた。
「なんだよ! このオッサン達は?」
「私の護衛ですよ。」
「くそっ!」
若い男は文句を言いながら去って行った。
「ああいう手合いもいますから、相手を選んだ方がよいかと。」
「そうね、ゲイル。」
「あなたの言う通りね。」
ミリーナ達は北地区のスラムへと向かった。
「ちょっと、そこの可愛い娘さん。」
スラムに行くと、目つきの悪い男達に呼び止められた。
「なんですか?」
「何を急いでいるんだい?」
「ひょっとして、誰か探してる?」
「そうよ、ヤマタニ卿を探してるの。」
「ああ、ああ。」
「ヤマタニ卿なら、そこの建物の中にいるぜ。」
「あら、そうなんですか。」
「そうそう、俺らが案内してやるぜ。」
男達は扉を開けて、ミリーナを中に引き入れようとした。
「おっと、お供の男の人は中には入れませーん。」
「入れるのは俺達と、このお嬢さんだけでーす。」
そう言ってミリーナを中に入れて、扉を閉めようとした。
しかし、扉は閉まらなかった。 ゲイルが扉を押さえて、ガイルがミリーナを引っ張り出した。
「何だ何だ? この男達は。」
「邪魔しやがって。」
目つきの悪い男達と、中からも数人の男達が出てきた。ざっと見ても10人はいた。
「まぁ面倒だから、おめーらやっちまえ!」
「おーし。」
男達はゲイルとガイルに襲いかかった。
しかし、次々に返り討ちになってしまう。
「こいつら強いぞ!」
「仕方ねぇー、ナイフを使え。」
武器を使って襲いかかったが、手ひどく痛めつけられて、次々に逃げ去っていった。
「こんちくしょう! 覚えてやがれ。」
雑魚の台詞を吐き捨てて、目つきの悪い男達はすべて去って行った。
「お嬢さん。」
「ああいうのに、ついて行ってはなりません。」
「あの建物に閉じ込められて、手籠めにされたかもしれませんよ?」
「分かったわ。よく覚えときます。」
ミリーナ達は神を探し求めて、スラムを歩き回った。
「今日は神様が来ませんでしたか?」
「ああ、今日はまだ見てないね~。」
「昨日はやって来てね、倒れていた者を次々に回復させていたねぇ。」
「お婆さんは、直接神を見たんですか?」
「見たともさ、三人の娘と犬を連れて来ていたよ。」
「こんな年寄りにまで声をかけてくれたよ。」
「やはり神様がここに来たんだわ。」
「神様の居場所はご存知ですか?」
「確か、『紅の岬亭』に宿泊してるから、何かあったら来てくれって言ってたよ。」
「あら、その宿なら南側で見かけたわね。」
「またスープやパンでも用意なさっているのかねぇー。徳のある神様さ。」
「ありがとう、お嬢さん。」
「そうそう、もうここには来ない方がよいよ。悪い奴らがお嬢さんみたいな娘をさらっていくからね。」
「はい、気をつけます。」
ミリーナは南側の紅の岬亭へと向かった。
「あの、神様、ヤマタニ卿はこちらにいますか?」
「はい、宿泊していました。」
「というと?」
「今朝方にチェックアウトして帰られましたよ。」
「えっ?」
ミリーナは、またヤマタニと行き違いになっていた。
◆
ヤマタニは、セタンの街の救済活動を終えて、装甲車に乗って、次の場所へと向かっていた。
「殿、運転は小僧に任せて、あちらで休息なさいませ。」
「休息させて、またペロペロと俺をなめ回すのが目的だろう?」
「ふふ。分かりますか?」
「分かる。」
「その手は食わないよ。」
「では、このままいただきましょうぞ。」
運転している無防備なヤマタニに、スケさんカクさんがまとわりついた。
そしてまた、ペロペロと頬を舐め回した。
「ちょっと止めて!」
装甲車は、フラフラしながら東へと走って行くのだった。
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