本格的救済活動と驚異のヒーリング
第4話 本格的救済活動と驚異のヒーリング
ミリーナ達はヤマタニを追って旅をしていた。 しかしサンブレロには既に出かけた後だった。
ミリーナ達はヤマタニの行方を追ってヤナークの街へやって来た。
「神のヤマタニ様を見ませんでしたか?」
ミリーナは、ヤナークの街の人達に聞いて回っていた。
「あー、隣の街の領主様ね。前はこの街に住んでいたよね。」
「でも最近は競馬場へよく来ているって話はきいたよ。」
「神が何故、競馬場に?」
「さぁーね。そこまでは知らんさ。」
「俺は配達の仕事があるんでな。じゃあな。」
手押し車の男はさっさと行ってしまった。
「ありがとうございます。」
「じゃあ、競馬場へ行きましょうか。」
ミリーナ達は早速、競馬場へと向かった。
◆
競馬場に着くと、目についた人に神の事を聞いた。
「今日は神様を見ませんでしたか?」
「神?」
中年の男は誰の事か考えていた。
「神ってあれか、あの連戦連勝の神の事か?」
「たぶん、その神です。」
「俺はいつも神に祈っているのさ。いつの日か、神のようになってみたかったんだ。」
「神はたまにやってきては、的中させていくんだよ……。」
中年の男の神についての長い話がはじまりそうになってしまう。
「その話はいいですから、神の居場所を知りませんか?」
「ここにいなければ、サンブレロの街ではないかね。」
…と神の居場所はわからなかった。
あちこちに聞いて回ったが、どうやら今日はまだ来ていないことがわかった。
結局分からないまま、街の中心部の市場にやって来た。
市場の八百屋が客と話していた事が、偶然ミリーナの耳に入った。
「朝早くだったけどさ、神の銀の馬車を見たんだよ。」
「へぇ〜。神の馬車ってどんなだったんだ?」
「何かやたら長くて速かったね。」
「なるほど、噂通りだな。」
「朝から神の馬車を見れたんだから、これは今日は良いことあるかも。」
「はははっ。良い日だといいな。」
「はい、馬鈴薯ちょっとサービスしといたよ。」
「やった。良い事早速あったね。」
「ちょっと、すいません。」
「ん?」
「神の馬車は、どちらへ行きましたか?」
「あー、巡礼者かなんかかね?」
「まぁ、そんなところです。」
「神の馬車は東の街へ向かって行ったよ。」
「ありがとうございます。」
ミリーナは笑ってお礼を言って去っていった。
「最近、巡礼者が増えたね~。」
「そうだな。神に縋るのもいいが、野菜も買っていってほしいな。」
「あたしは、また来るからオマケしてくださいよ。」
「まいどどうも。また来てよ。」
八百屋はおばちゃんに、ウィンクして言った。
◆
一方ヤマタニ達は宿屋に行って、一階の食堂で夕食の定食とエールを楽しんでいた。
「歩き回って疲れたが、明日は北地区を回ってみようかな。」
「そうですね~殿。」
「殿はなんだか、疲れたよりも気が滅入っておりましたなぁ。」
「ほんに、今晩は私の胸の中で癒して差し上げましょう。」
「それなら私の、カクより大きい胸がよろしいですよ。」
「私の胸がよいの!」
「私のが大きくてよい!」
二人で癒したいらしいが、理性が吹っ飛ぶから止めてほしい。
「部屋はそれぞれ用意したから、自室でゆっくりしてくれ。」
「マスター、今晩はマッサージいたしますか。」
「ああ、コメリア、頼むよ。」
会話をきいた酔っぱらい達が絡んできた。
「おれっちも、その胸で癒やされたいでちゅ。」
「おれっちは、こっちの大っきな胸がいいでちゅね。」
「ぼくちゃんは、こっちの小娘メイドちゃんにされたいなぁ。」
「がっはははっ!」
「お前達、この女達は止めた方がよいぞ。」
「あとで泣きをみるからな。」
ヤマタニの言葉にムッときた男が言った。
「どっかの金持ちかなんか知らんが、美女をはべらしていい気になるなよ?」
「いやいや、お前達の身の心配をしてやったんだよ。」
「なんだと!」
男はヤマタニに殴りかかるが、上げた拳の腕が力を込めてもそれ以上動かなかった。
男が腕を見るとカクさんが男の腕を押さえていた。
その他二人の男がヤマタニを殴ろうとしたが、やはり殴れなかった。
スケさんやコメリアに腕を掴まれて動けない。
「ほらなぁ、三人とも美人だけど強いからやめときなって。」
男達はさらに暴れ出すものだから、スケさんカクさんコメリアにやられてしまった。
一人はスケさんに尻を蹴られ、リフティングされていた。
一人は床に植え付けられてしまった。
一人はコマの様にコメリアにクルクル回されて倒れてしまった。
しかも、三人はさらに頭を叩かれてタンコブを作って泣いていた。
「ほらみろ、言ったコッチャない。」
男達は泣きながら退散して行った。
「カクさん、床を直してね。」
「はい、かしこまりました。」
カクさんは宿屋の人に大工道具を借りてきて、あっという間に床を修理した。
「けっこう、けっこう。」
ヤマタニ達は、食事を済ませると2階の部屋に行った。
◆
翌朝、ヤマタニ達は北地区に足を運んだ。
北地区の裏路地には貧民街があり、いかにもボロボロな家々が立ち並んでいた。
「やはり、どこの街にもあるんだな。」
ヤマタニは裏路地の影に壁にもたれかかった虚ろな目をした少年を発見した。
「ああ。こういう目をした者を何度か見たが、もう長くないかもしれないな。」
そう言いながらも、ヤマタニは覚えたてのヒーリングをかけて回復させた。
そして、正気を取り戻した少年に水筒のスポーツドリンクをコップに入れて飲ませた。
「コクコクコク。」
コップに入ったスポーツドリンクを一気に飲んでしまう。
「空腹には一気飲みはよくないな。」
ヤマタニは鞄から、スープの入った水筒を取り出しカップに入れて飲ませた。
すると少年は、さっきよりも、みるみるうちに元気になっていった。
「マスター凄い。」
妖精メルルも現れて、その様子に驚いた。
「ヤマタニの癒しは、あたしの何倍も凄い。」
「そうか?まだ覚えたてだぞ。」
「殿の逆転再生能力は凄まじい。ヒーリングとの相性も良い様ですなぁ。」
「ほんにほんに。」
ヤマタニは少年に持っていたパンや菓子、銀貨を渡してやった。
少年は元気になって歩いて去っていった。
気をよくしたヤマタニは、あちこちで倒れていた人達を、ヒーリングなどして回復させていった。
「ふぅ〜。だいぶ回復した人達がいて、鞄の食料も空になったし、疲れたな。」
「補給したら、またやってきて救済活動をつづけるとしよう。」
「はい、マスター。スープとパンを用意します。」
「頼む、俺はスポーツドリンク作りだな。」
こうして、この街の北地区のスラムの人達の救済活動が始まったのだった。
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