神の方へ向かう子羊
第21話 神の方へ向かう子羊
ヤマタニ装甲車部隊が圧倒的な火力で、街道にいたロックゴーレムの群れを撃破した。
「うぉぉぉぉぉぉー!」
街道を通過できなかった人々から、一斉に称賛の歓声が上がった。
「これが噂の銀の馬車の神の雷か!」
「凄い、圧倒的な攻撃力だ!」
「あのハイマールをやっつけた神の鉄槌だ!」
などと、ヤマタニを賛美するような声が次々と上がった。
ヤマタニはそんな歓声はいつもの事だからと気にせずに、街道に転がっているロックゴーレムの破片を1号車で片付けた。
「細かな破片は皆で片付けよう。」
「それから魔石の回収も頼む。」
「はい。」
それぞれがテキパキと働いてくれたお陰で、街道がまた使えるようになった。
「片付け終わったら、装甲車の武器の補充や点検をしてほしい。」
ヤマタニが各員に指示していると、いつの間にか人々が集まってきていた。
「あなたがあの噂の神様ですか?」
「神様、ありがとうございます。」
「神ヤマタニ様のご活躍をはじめてみました!」
などとヤマタニは人々に囲まれて、話しかけられた。
「俺は神ではない。街道が使えるようになったから、速やかに通行してくれ。」
とヤマタニは訴えたが、人々の興奮と熱狂は冷めなかった。
そしてミリーナ達もヤマタニの元にやってきていた。
「やはりあなた様が本物のヤマタニ様でしたか。」
「本物?俺は別に隠していた訳ではないがな。」
「ヤマタニ様にお願いがあります。」
「我が領地の民は貧困に喘いでおります。是非ヤマタニ様に再生をお願いしたいのです。」
しかし人々の声に遮られてヤマタニには聞こえていなかった。
「しかし、そんなに俺を拝まないでほしいな。」
「ヤマタニ様、私をお救い下さい。」
「どうか我の悩みを聞いて下さい。」
「持病の腰痛を治して下さい。」
などと周囲の人々は好き勝手なことを言っていた。
「おい!そのヤマタニはニセモノだ。」
明らかに実力が違っていたにも関わらず、ニセモノヤマタニ達が乱入してきた。
「私こそが本当の神ヤマタニである。」
「拝むなら私を拝みなさい。」
この青年は何を言っているのか?
黙って立ち去ればよいものを、何故こだわっているんだ?
「さぁ、ミリーナ殿。ニセモノヤマタニなどに関わらない方がよろしいでしょう。」
「ミリーナ殿、行きましょう。」
などとヤマタニをニセモノ扱いするものだから、集まった人々からの反感を買ってしまった。
「お前の方がニセモノだろーが。」
「チンケな馬車の攻撃がニセモノの証拠だ。」
「顔がいいだけのニセ神め!」
ニセモノヤマタニの青年は、カネヅルのミリーナを奪われたくない一心だった。
「無礼者!神に対してなんたる暴言。」
「この愚か者どもめ!」
ニセモノヤマタニの女護衛が、剣を振りかざした。
「だってよ、お前さんから買った御札は、まったく効果ないって鑑定士が言ってたぞ。」
「このアクセサリーも効果がないわよ。」
「これって詐欺じゃないのか?」
ニセモノヤマタニは散々に言われまくったが、弁解のしようがなかった。
「まぁ、待て!」
ヤマタニがそう言うと、周囲の人々は黙った。
「俺が来るまでの間、この青年は命を張って諸君らを魔物から守ったんだ。」
「今までの事はどうあれ、少しはこの青年に感謝してほしいな。」
周囲の人々はヤマタニの言葉によって、それ以上何も言わなくなった。
「私はこちらのヤマタニ様と同行します。」
ミリーナはニセモノヤマタニにそう言って断った。
ニセモノヤマタニ達は、馬車に乗って何処かへ行ってしまうのだった。
「…ということで、ヤマタニ卿を我が領地へ案内します。」
ミリーナは勝手に装甲車に乗り込んでしまった。
ヤマタニも人々から拝まれたくなかったので、続いて装甲車へと乗り込み、車を発車した。
そして東の街へと装甲車は走り続けるのである……。
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