ヤマタニの旅立ち
第2話 ヤマタニの旅立ち
ヤマタニは女神セレスティアから、人々を救済して導けと言われた。
「そういえば経営ばかりで、アキタリスの国の各地域にはあまり行ってなかったな。」
それに嫁達がくっついてきて息苦しい。
「お前達、なんでそんなに俺にひっつくんだ?」
「だって~なんだか心地良いのですもの。」
ヤマタニの膝の上をアンジェリーナが占領し、ヤマタニに抱きついていた。
両隣にはケイトとヒラリー、背中にはユリアーナが抱きついていた。
「いつにもまして、あなたといると心地良いわ。」
「なんだが癒やされますぅ~。」
「はぁん、気持ちいいですわ。」
ヤマタニと妻達の周りには、スケさんカクさん、コメリア、アンジェリーナの執事、メイド、騎士達が顔を赤らめて見ていた。
「うーん。毎日これでは良い子の読者様の悪影響やハーレム過ぎますと言われかねない。」
「何ですか、それ?」
「いや、こっちのことだ。」
「俺は女神セレスティアから啓示をもらった。」
「これからしばらくは、各地を回って人々を救済しに行かねばならない。」
「いや、あなた行かないで。」
俺のパッシブな逆転再生能力の影響で、ハーレム状態なのはよいが、このままでは『倒産エロ中年社長、異世界ハーレムで孤児達と逆転再生経営!』のエロ主人公になってしまう。
ここは女神セレスティアの力を借りて、さっさと旅へ出よう。
ヤマタニはハーレムな状態を名残惜しんで旅立っていった。
当然工場などの経営はケイト、領地運営はヒラリーに任せた。
ユリアーナはラミアとネルの家庭教師を継続してやってもらう。
アンジェリーナには街中へ行って、孤児院へ行ったり病院へ行って患者を励まし、教会などに行って炊き出しや弱者救済活動をしてもらうことにした。
ヤマタニは装甲車に乗って旅立って行った。
◆
一方サンブレロに神が居ると聞いて、遠方からやって来た一人の少女がいた。
少女の名はミリーナ、そして護衛としてついてきている剣士ガイルと老骨戦士ゲイルがいた。
「あのもしー、この街に神がいると聞いてやってまいりました。」
「神はどちらにいらっしゃいますか?」
「神っていうと領主様のことだね。」
街中に買い物にやって来ていた老婆が言った。
老婆の腕には買い物カゴ、中には馬鈴薯と林檎が入っていた。
「領主様はサンブレロのお城か、ソンブレロの工場にいるかもしれないね。」
「お城は高台の位置にある、あの立派な建物だから分かるね。」
「工場はあの煙突が目印さね。」
「お婆さん、ありがとうございます。」
ミリーナはそう言って立ち去ろうとした。
「あっ、ちょっとお嬢さん。」
「はい、なんですか?」
「ちょっと林檎を買い過ぎたから、あんた達にあげるよ。」
お婆さんはミリーナに林檎を3個渡した。
「ありがとうございます。」
「それからね、領主様には美人のお供がいるからね、なかなか取り次いでもらえないよ。」
「えっ?そうなんですか。」
「ああ、そうだとも。」
「それじゃあ、どうしたら会ってもらえますか?」
「うん、そうだねぇ~……。」
お婆さんはちょっと考えた。
「あの領主様に会える一番の方法はね。」
「うんうん。」
「酷い格好をすることだね。」
「酷い格好ですか?」
「ああ、そうだね〜。お嬢さんみたいな立派な服よりも、目を引く酷い格好がいいね。」
「分かりました。親切にありがとう。」
そう言って老婆と別れ立ち去った。
「ねぇ、ガイル。酷い格好ってどんな感じ?」
「ん〜。」
「あそこの服屋で揃えたら、よろしいと思いますよ。」
ガイルが指さした先には、服屋、靴屋、鞄屋などが立ち並んでいた。
「分かったわ。ちょっと服屋に行って買って来る。」
ミリーナはいそいそと服屋に入って行った。
小一時間後、ミリーナは新しい服を着て帰ってきた。
「どうかしら?似合っている?」
ガイルとゲイルはミリーナの格好を見た。
「うわっ。なんて酷い格好をしているんですか?」
「これは確かに酷い格好です。」
二人からそう言われて満足そうにミリーナは笑った。
「うん、二人がそう言うなら間違いない。」
ミリーナは再び歩き出した。
ミリーナはソンブレロモネダ商会の工場事務所を訪ねた。
「すいません。領主様にお会いしたいのですが。」
事務所から事務の女がミリーナの所へやって来た。
「何のご要件でしょうか?」
「あの領主様に面会したいのです。」
「今日はまだきていませんね。」
「ご予約はしてありますか?」
「いいえ、今日この街にやって来たばかりですから。」
「面会は半年先まで埋まっております。予約されますか?」
「えっ!?そんなに……。」
「それでは、お城へ行ってみます。」
「そうですか。それでは…。」
ミリーナ達はサンブレロ城へ向かうのだった。
「すいません。領主様にお会いしたいのですが。」
ミリーナはサンブレロ城の城門前にいた衛兵に言った。
衛兵はミリーナの酷い格好を見て答えた。
「それにしても、お嬢さん酷い格好をしているね。」
「ヤマタニ様は酷い格好をした者がやって来たら、会ってもよいとは言っていたが……。」
「これはこれで酷い格好だから、いいのかな?」
衛兵は口に手を当てながら考え込んだ。
やがて隊長らしき人物の所へ行き相談を始めた。
しばらくすると衛兵がミリーナの元に戻ってきた。
「お嬢さん、残念ながら領主様はお出かけになられたよ。」
「いつお戻りですか?」
「いやね、たぶん他領へ行ってしまわれたから、しばらくは戻らないと思うよ。」
「えっ?そうなんですか。」
「行き先もわからないし、知らない者のあんたにも教えられない決まりなんだ。」
「それは残念です。」
ミリーナは立ち去ろうとした。
「あのー、お嬢さん。」
「?」
「そのなんだ。」
「失礼かとは思うが、その格好はとても酷くてお嬢さんには似合わないと思うよ。」
「お嬢さんには清楚な服が似合うと思うし、そんな奇抜な酷い格好は良くないよ。」
ミリーナは服屋で、出来合いの酷い格好の服を注文して購入した。
その酷い格好とは、奇抜で派手な色合いの酷い格好にしか見えない服だったのだった。
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