神様の啓示と隠された能力
第4部から第5部の間の番外編を、新たに作りました。
これまで主人公がやってきた積み重ねの裏付ける話と、国を回って弱者救済を目的に旅立ちます。
これまで読んでくれた読者様や、新たな読者様にも楽しんでもらえるように書いてみました。
倒産中年社長、異世界で孤児達と逆転再生経営!
番外編 異邦人の神を追う羊たちの旅
第1話 神様の啓示と隠された能力
「ヤマタニよ。」
「ヤマタニよ。」
「ヤマタニよ。起きなさい。」
「だれだ? 俺の数少ない安らぎのときを妨げる愚か者は。」
「ヤマタニよ。いいから起きなさい。」
「せっかくいい心持ちで惰眠を貪っているのを妨げるものは?」
ヤマタニがようやく起きると、光り輝く美しい女が立っていた。
「あなたは誰なんだ?」
「私は天界の一柱、女神セレスティア。」
「…………。」
「帰ってくれ。」
「え?」
「神なんていない。」
「ここに………。」
「神がもしいたら、裏路地で死んでいった者達はいなかったはずだ。」
「…………。」
「神とて、万能ではありません。」
「そして直接救うこともできません。」
女神セレスティアは悲しそうに言った。
「ヤマタニ。これまでよく人々を救って来ましたね。」
「あなたには、異世界からやって来たことで、再生と逆転の能力があります。」
「俺にはそんな大した能力はない。」
「いいえ。」
「この世界に来たときに持っています。」
「そして、最近は能力のレベルが上がってきています。」
「人間が都合よく、そんな便利になれるわけがない。」
「いいえ、信じられなかったのなら、大聖堂にある能力鑑定の水晶で、確かめてみるといいでしょう。」
「それと、神官の能力を私からあなたに授けましょう。」
女神から強い光が瞬いたと思ったら、ヤマタニの全身が光り輝いた。
「なんだこれは?」
しばらくすると光は消え去った。
「信じられん……。」
「まだ疑っているようですね。」
「それでは今起きている事を、よく考えてみて下さい。」
「あなたはよく人に慕われていませんか?」
妻達やコメリアやスケさんカクさんの事が脳裏に浮かんだ。
「確かに………。」
「物事が上手く行き過ぎではありませんか?」
戦いは全て勝利し、暗黒地帯統一も果たした。
「うむ、それはあるか。」
「あなたの周りの者が異常に働いてくれてはいませんか?」
スケさんカクさんを始め、センターホースの街はあっという間に完成した。
「それは、……あるな。」
「その逆転と再生の能力とはなんなんだ?」
「逆転の能力は、己や周囲の者達がやる気を起こし、奮起して困難な状態に立ち向かうようにする能力です。」
「再生の能力は、人々を癒し、倒れたものを再生させる能力です。」
「ははは、そんなバカな。」
「では思い出して下さい。」
「蛮族に襲われた辺境伯軍の士気を上げ、勝利に導いたでしょう。」
「うむ。」
「あなたがやって来たときに、エルフ軍の士気が異常に上がり、倒れた兵は立ち上がり、魔法の尽きた兵は魔法を使って戦いました。」
「うーむ。」
「暗黒地帯でも似たような事が、あったんではないですか?」
「………。」
「それから、最近は多くの人々に慕われ敬われてはいませんか?」
あの崇拝者の一団や、街の人々が俺をやたらと拝むようになっていた。
「うむ。」
「そう、それがあなたの逆転再生能力です。」
「しかし、そんな能力使った記憶はないぞ。」
「いいえ、あなたの能力は無自覚に発動していますよ。」
「目覚めたら大聖堂に行って確認しなさい。」
「それから、神に代わって人々を救済し、導きを行って下さい。」
「頼みましたよ。」
だんだんと女神セレスティアが遠ざかっていく。
「まってくれ。」
「きっとですよ。」
「神がもし本当なら、全力で示してくれ!」
しかし光は消え、女神セレスティアの姿はすでになかった。
「はっ!」
ヤマタニは目が覚めた。
窓からは朝日の光が燦々と降り注いでいた。
「変な夢みたな。」
ヤマタニは息苦しさを感じていたが、よく見たら妻達やスケさんカクさんまでもが同じベッドで寝ていた。
しかも全員がヤマタニにくっついて寝ている。
「俺は、人間ミノムシか?」
◆
ヤマタニは朝食を済ませてから、王都の大聖堂へ向かった。
「殿、仕事には行かないのですかな?」
「そうですよ、仕事しないのですか?」
馬車の座席のヤマタニの両隣に座ったスケさんカクさんが、ヤマタニの顔をペロペロ舐めて言った。
「マスター、人前ではエッチなことは控えた方がよろしいですよ。」
その様子を見ていた、前の席のコメリアが無表情で言った。
「俺がやってるんじゃないぞ。」
「二人とも俺より力が強いから、抗えないんだよ。」
「そろそろペロペロは止めてくれないか?」
「だって~今日の殿のエナジーが、とても甘くて美味しいのですから。」
「ほんにほんに。」
「小娘、羨ましそうに見るな。」
「小娘も味見してみるとよい。」
「では。」
コメリアはヤマタニの口に吸い付いた。
「コッ、コメリアまでそういう事するようになったのか?」
コメリアは口に手を当てる。
「確かに甘いエナジーを感じました。」
「くぅーん。」
ハチがこの光景を見て不思議そうにしていた。
◆
大聖堂に行くと司教自らがヤマタニを出迎えてくれた。
「お待ちしておりました。」
「ん?」
「何故、待っていた?」
「女神様の啓示がありまして、あなた様を待っておりました。」
「そうだったのか。」
「すると、能力鑑定の水晶を使いに来たことも分かっていたのか?」
「はい、能力鑑定いたします。」
あの変な夢は、やはり女神が本当にいたのか?
「ご案内しますから、こちらへ来て下さい。」
ヤマタニ達は大聖堂にある能力鑑定の部屋に案内された。
「こちらの水晶に手を翳して下さい。」
ヤマタニは司教に言われるがままに水晶に手を向けた。
すると、水晶が眩しく光り輝いた!
「これはっ?」
「これは凄い!」
水晶に再生と逆転の文字が浮かび上がった。
「あなた様は再生の能力と逆転の能力があることが分かりました。」
「実に素晴らしい。」
「それに、レベルはまだ低いですが神官の能力もお持ちのようですね。」
「うっ! あの変な夢はやはり、啓示だったのか?」
スケさんカクさん、コメリアは何のことだか分からなかったが、自分の主人が能力持ちだと知って喜んだ。
「この能力は、やはりあなたは神だったのですね。」
司教を始め神官達はヤマタニを拝んだ。
「神ではない。ただの人だ。」
「しかし、こんな能力どうやって使うんだ?」
「このスキルはアクティブに使うものではなく、自動的に発動するパッシブスキルです。」
そういえば、女神セレスティアもそう言っていたな。
ヤマタニは神官の能力についても司教から聞き、ヒーリングのやり方なども教わって大聖堂を後にした。
帰りの馬車は行きよりも、もっと酷かった。
両隣にスケさんカクさん、膝にコメリア、ハチが足を甘咬みし、メルルが喉を舐めていた。
「殿のエナジーは本当に水蜜桃のように甘露ですのぅ。」
「ほんにほんに。」
「マスター、じたばたしないで下さいませ。コメリアもエナジーをもっと下さい。」
「はうはうはう。」
メルルは言葉にはならない声で何か言っていた。
「お前ら!やめないか。」
「俺はお前らのおやつじゃないぞ!」
全員に舐めるのを止めさせた。
「あの、では働いたら舐めて良いかのぅ?」
「ダメダメ。」
「理性が吹っ飛びそうになったぞ。」
「マスターに提案があります。」
「なんだ?」
「湯浴みの際に体を舐めて綺麗にするのはいかがでしょうか? マスターも綺麗になりますし、こちらもエナジー補給ができますよ。」
「それは良い考えだな。小娘。」
「あっぱれじゃ。られらと小娘が殿を綺麗にいたしましょうぞ。」
「お前らいい加減にしろよ。」
「ハチも甘咬みやめんか!」
「くぅん。」
「なんなんだ! 一体?」
「いつも真面目なコメリアまでが変だぞ。」
「それになぁ。嫁入り前の娘が、そんなはしたない事をしない方がよいぞ。」
「それでは我らも嫁にもらってはくれませぬか?」
「嫁?」
「嫁になれば毎日舐め回せますからのぅ。」
「だめだ。全国の良い子の読者様が悪い道に進んだら、どうするんだ?」
「そんなのかまいませんよ?」
「いやいやいや、あんまりやるとR指定になるから、やっぱり駄目だ!」
ヤマタニに言われ、娘達やハチは残念そうにしていた。
こうしてヤマタニは逆転再生の能力を自覚し、神官の能力を会得したのであった。
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