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倒産中年社長、異世界で孤児達と逆転再生経営!番外編 異邦人の神を追う羊たちの旅  作者: 神永ちろる


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美青年の神より中年の神に惹かれた

第19話 美青年の神より中年の神に惹かれた



ニセモノヤマタニは、フィングスの街に来て、まずやった事は宿屋探しと飲み食いするくらいだ。


「今日こそは、救済活動をやってやりますよ。」


「ミリーナ殿、私の活躍をどうかご覧下さいませ。」


ニセモノヤマタニは、颯爽とフィングスの貧民街に現れて救済活動を開始しようとした。

しかし、中年の男が既にやって来て、倒れていた者や病人などを全て回復させていた。


「あれ?」


「私の出番は無さそうな気がする。」


「我らの神ヤマタニ様の救済活動をじゃまするとは、なんたる無礼者だ。」


「まったくだ、ちょっと行って文句を言ってやるぞ。」

「まあ、待ちなさい。」


「この中年男の手柄も我らがやったということにしとけばよいのだ。」


「おお、流石だ。」


「流石、ずる賢い。」


ニセモノヤマタニはこの場を後にし、繁華街へ行って御札を売ることにした。

ミリーナはニセモノヤマタニよりも、倒れている者に対して、必死になって回復している中年男の方が気になった。


「ほら、ミリーナ殿、いきますよ。」


ニセモノのメイドがミリーナを引っ張って行った。



◆



ヤマタニは一日救済活動に費やした。 そして夕方、最後の一人を回復させていた。


「ありがとうございました。」


「ふむ。」


「顔色もよくなったが、やはり普段から栄養のある食事が大事だ。」


「そんなこと言われても、稼ぎが少ないんだから仕方ないよ。」


「すまなかった。」


「あ、いえ、ごめんなさい。」


「少ないがこの金で、なんか食べなさい。」


ヤマタニは、回復した女に銀貨を渡した。


「あら、すいませんね〜。」


「ではな。」


そしてヤマタニは立ち上がり仲間を連れて宿屋に戻った。


「殿、今日の悪人退治はサッパリでした。」


「ほんにほんに。二人合わせて金貨5枚ですのぅ。」


「そうか、昨日悪代官とかをやっつけたからな。仕方ないな。」


「殿のご活躍で、我ら一同スカッとしました。」


「俺、何もやってないからね?」


「殿は後からやって来て、ビシッと決めましたな。」


「俺、決めてないからね?」


「暗黒地帯関係者だったのを最初から、見抜いていたなんて、殿は奥ゆかしい。」


「見抜いてないからね?」


などと言ってちょっと落ち込んでいたヤマタニを二人は慰めてくれた。

ヤマタニが落ち込んでいた理由は、救済活動は一時しのぎにしかならないことだった。


自分の領地ならば、仕事を世話したりできるのだが、他領地の住民ではどうしようもできない。


所詮ヤマタニがやっている活動はその場限りの独りよがりなんだと思った。


「今日でこの街の救済活動を終わりにして、明日はまた別の街へ行くとするか。」


「そうですな、殿。」


「またハチと一緒に悪人退治しましょうぞ。」



◆



ミリーナは一日ニセモノヤマタニの側にいたが、御札やアイテムがそんなに売れるのが不思議だった。


神様に、救いを求める人達は意外に多い。 ミリーナもまたその一人なのだから。


酒場で酔いつぶれる青年ヤマタニよりも、あの懸命に人々を回復させていた中年の男が、なんだか気になって頭から離れなかった。


ミリーナはだんだんと、本物のヤマタニに惹かれはじめているのだった。



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