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倒産中年社長、異世界で孤児達と逆転再生経営!番外編 異邦人の神を追う羊たちの旅  作者: 神永ちろる


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フィングスの街の様子と迷える子羊

第17話 フィングスの街の様子と迷える子羊



バルカスで救済活動を終えたヤマタニは、また東へ向かった。

東へ行くとフィングスの街がある。


「この街はどうなんだ?」


「まぁ、また歩き回ればわかるか。」


ヤマタニは一人で自問自答して呟く。

しばらくは、あちこち歩き回ってみたが、どこにでもある普通の街に見えた。


「ゲンバ。」


「はっ。」


「この街に異常がないか、調べてくれ。」


「はい、心得ました。」


ゲンバはパッと消えて、どこかへ走り去って行った。


「何も変わった感じはしないが、やはり平和な日常が一番だな。」


「わん。」


「おや、ハチもそう思うか。」


「殿はハチと意思疎通が出来てきましたな。」


スケさんがヤマタニとハチのやり取りをみて言った。


「ほんに、殿はどんどんと能力が開花していく感じがいたしますのぅ。」


「そうか、しかし前からハチとはこんな感じだった気がする。」


「動物はテレパシーみたいな感情のやり取りで意思疎通しますからのぅ。」


「あぁ、そうだな。人みたいに言葉では会話しないからな。」


「マスター、ハチはだいぶ人の言葉を理解してますよ?」


「そうなのか?」


「小娘メイドの言う通り、スケも同意見じゃ。」


「その、ハチはフェンリルの幼体の様ですのう。」


カクがハチを見て言った。


「え? ハチって神獣とか呼ばれていたが、フェンリルなのか?」


「はい。」


「でも、犬にしか見えない。」


「普通の犬より強くありませんか?」


「そうだ、強い。」


「犬よりも賢くはないですか?」


「ああ、賢いな。」


「魔法や技は?」


「使っているな。」


「ではもうフェンリルです。」


「強いウルフの魔物かなんかではないか?」


「ウルフよりも、断然ハチは賢いですよ。」


「ふーん。ハチはフェンリルだったんだな。」


ヤマタニはハチの頭を撫でてやった。


「くぅん。」


「ふふふっ、そうじゃな。ハチ。」


「確かにのぅ。」


「なんか会話してるのか?」


「殿はもっとハチに意識を集中して感じ取って下さい。」


「ふむふむ。」


ヤマタニはハチを見て意識を集中した。


「くぅん。」


ヤマタニがハチに意識を集中すると、ハチが思っている感じが伝わってきた。


「あーなるほど、確かにスケさんカクさんが来てから、ハチの活躍が減ったな。」


「すまんのぅ、ハチ。」


「次からはハチの分も残すから、活躍するんじゃぞ。」


「わん。」


「そうかそうか、ハチとの会話はこうやればよかったんだな。」


「つい人語で会話しようとしていたよ。」


「マスターはこれでハチと自由に話せますね。」


「そうだな。」


そんな会話をしながら歩いていたら、裏通りに入っていた。


「おやおや、かもが来やがったぜ。」


「金持ちみたいで、メイドのかわい子ちゃんもいやがる。」


「美女二人は剣と槍もってやがる。」


暗闇から6人の悪そうな奴らが顔を出した。 そしてヤマタニ達を見て品定めをはじめた。


「なんだお前達は?」


「オッサンには用がないな。有り金置いてあっちへいきな。」


「俺らはこっちの女三人と金しか興味ないんでね。」

「はははっ。」


思わずヤマタニは笑ってしまった。


「このオッサン、気が狂ったのか笑ってるぜ。」


「いやぁ、早速ハチの出番がきたからつい笑ってしまったよ。」


「ふふふ、マスターそうですね。」


「ふふふ。ハチ頑張るのじゃぞ。」


「ふふふ。ほんにほんに。」


ハチが先頭に立って悪人と対峙した。


「なんだ笑いやがって、薄気味悪い。」


「それにこんな犬っころなんか、怖くも何ともない。」


悪人の一人がハチを蹴っ飛ばそうとしたが、逆に前足で叩き返した。

すると悪人は空中に横回転して倒れた。


「この犬っころが!」


ハチに悪人達は向かっていくが、次々と倒されていった。


「お! ハチがあっという間に全員倒したな。」


「流石はハチじゃな。」


「ほんにほんに。」


「マスター、ハチを褒めてやって下さい。」


「うむ。」


「良くやったなハチ。」


「こいつら衛兵に渡したら、手配賞金もらえるかな?」


「あったとしても大したことはないでしょうね。」


「では、いくつか悪人の掃除をしてから、昼食にしようか。」


ヤマタニ達は街にいる悪人を次々と退治していくのだった。



◆



ミリーナ達もこのフィングスの街にやって来ていた。


「ヤマタニ様、この街でも御札などの販売をするのでしょうか?」


「そうですねー。一応販売もやりますが、まずは宿屋ですね。」


救済活動よりも高級な宿屋を探した。

いつもの様に部屋が気に入らないと、別の部屋を探した。


そして気に入ったら、値引き交渉をした。

その様子を生暖かい視線でゲイルとガイルは見た。

ニセモノヤマタニ達は宿屋が決まると、レストランで高そうな料理と酒を飲んでいた。


「昼間からお酒ですか?」


「救済活動はしないのですか?」


「ミリーナ殿、こうして飲み食いするのは、英気を養う大切な行為なのですよ。」


「もう少し我らに対して、察してもよいのではないですかな?」


「はい、出過ぎた事を申しました。」


「分かればよろしい。」


ニセモノヤマタニはワインをガブガブ飲んだ。


「ミリーナ殿、たまにはヤマタニ様に酌をして下さい。」


「はい、気が付きませんでした。」


ミリーナはニセモノヤマタニのグラスにワインを注いだ。


しばらくして、ニセモノヤマタニに付き合ってられなくなり、ミリーナ達はこの場を去った。



◆



「今日はハチが活躍したお陰で、悪人達をかなり退治したな。」


「偉いぞ、ハチ。」


ヤマタニがハチの頭をナデナデしてやったら、ハチは顔を舐めてきた。


「こらこら、ハチ。顔は舐め回さないでくれ。」


あまりにも執拗に顔を舐め回すので、やめさせた。


「くぅ〜ん。」


「マスター、私はハチの気持ちがよくわかります。」


「私もじゃ。」


「ほんにほんに、殿のエナジーは美味しいからのぅ。」


「俺はお前達のオヤツじゃない。」


妖精メルルもヤマタニの首を舐めていたから、ヤマタニは引き剥がして言った。


「この寄生虫メルルは、何処かへ捨ててこようかな。」


「あ〜ん。ごめんなさい。捨てないで〜。」


妖精メルルは消え去った。

悪人達を縄で縛って衛兵に突き出した。

20人ほどで捕まえ、賞金首が数人いて金貨38枚ほどになった。


「よしよし、ハチにこれで美味いものでもたべさせてやろう。」


「わん、わん。」


「だったら俺をペロペロしたいだって?」


「ダメダメ、俺は餌じゃないんだ!」


「くぅん。」


「骨付き肉とかで我慢してくれ。」


ヤマタニとハチのやり取りを聞いていたスケさんカクさんが言った。


「殿ももう立派に会話できてますのじゃ。」


「ほんにほんに。もう通訳はいりませんなぁ。」



◆



ミリーナ達は街を歩き回っていたら、偶然ヤマタニ達を見かけた。

なにやら犬に闘わせて、悪人を捕まえまくっていた。

気になるのはやはりメンバー構成だった。


一人は立派な格好した渋い中年の男、鬼人竜人の女、メイドの娘に、やたら強い犬がいた。


「なんだか、ヤマタニ様と似たようなメンバーですね。」


「あれじゃないですか。」


「この前酒場で噂していた、中年の男が街を綺麗にしたり、悪人退治したとか言ってた。」


「そうだなガイル。その人物達に酷似しているな。」


「ふぅん。あの方も悪くはありませんが、本物のヤマタニ様はもっと美しいですわ。」


ミリーナはニセモノヤマタニを、まだ信じているのであった。



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