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倒産中年社長、異世界で孤児達と逆転再生経営!番外編 異邦人の神を追う羊たちの旅  作者: 神永ちろる


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バルカスの未来を神は救った

第16話 バルカスの未来を神は救った



美しい青年の神とその仲間達は宿屋に戻って、自室で金勘定をしていた。


「この街はけっこう稼げましたね。」


ニセモノスケはニヤニヤしながら喜んでいた。


「これなら、もっと稼げるかもしれませんよ?」


ニヤニヤカクは銀貨を積み上げて言う。


「それならば俺ヤマタニが、明日も稼がせてもらおう。」


「しかし、あのお嬢さんはどうします?」


ニセモノメイドが言った。


「俺が救済活動だとか言って、うまく丸め込むさ。」


ニセモノ達はニヤニヤ笑いながら、金を山分けしていた。



◆



ミリーナ達は近くの酒場で話をしていた。


「どうも俺はあの青年は神ではないと思っている。」


「ガイルもそう思うか。俺もどうも怪しいと思っている。」


「でも、ちゃんと人々を救済するために、御札とか販売しているし、ヒーリングとかを使って怪我をなおしてましたよ?」


「それなんだが、なんというか、普通のヒーリングなんだよな。」


「そうそう、ガイルが言うのと俺も同感だ。」


「神というからには、もっと神がかった能力があると思うんだがな。」


ゲイルは一気にエールを口に流し込んだ。


「まだ本気の神の能力を、出していないだけではないのでしょう。」


「それから神の能力をあまりひけらかして見せないのかもしれませんよ。」


ミリーナはまだ、あの美しい青年をヤマタニ卿だと信じていた。


そこへ神の噂話をしている声が、隣の席から聞こえてきた。


「聞いたか?貧民街が綺麗になってきたって話を。」


「ああ、なんか中年の男とメイドと犬が、貧民街の連中を回復させて、掃除をしたらしいな。」


「よくわからんが、道に石灰を撒いているらしい。」


「お陰で臭くなくなるし、街を綺麗に掃除してくれるなら万々歳だな。」


「あとよ、街の悪人も美女二人が掃除して回っているらしいぜ。」


「どんな美女だ?」


「鬼人と竜人の美女らしい。しかもめちゃくちゃ強いと噂になっていたな。」


「ふーん。」


「しかしよ、今この街にやってきている、神ヤマタニが御札とか売っていたな。」


「神ヤマタニと言えば、辺境伯で総督だろ?何で金稼ぎしているんだ?」


「しらねーけど、かなり売って稼いでいたらしいぜ。」


「俺はその中年男の方が、立派だと思うし、応援したいな。」


「俺も俺も。」


「俺は、その中年に会ったらよ、エールを一杯おごるぜ。」


「そうだな、綺麗な青年の神ヤマタニより、俺もそっちがいいな。」


などと本物のヤマタニを酒の肴にしていた。


「あたしは宿の部屋に戻りますよ。」


「あ、お嬢さん、ちょっと待って下さいよ。」


二人もお嬢さんの後を追っていった。



◆



ヤマタニはというと、宿屋に戻って食堂で定食を食べ、エールを飲んでいた。


「くーっ。やはり働いたあとのエールはうまいな。」


「マスター、お口にエールの泡がついてますよ。」


コメリアはナプキンでヤマタニの口を拭いた。


「すまん。」


「殿、明日はどうなさいますか?」


「それは、もう一度領主に会いに行くのと、金持ちの有力者に話をして、貧民街の人達に清掃などの仕事を継続雇用してもらうことだな。」


「殿、それなら既に思いついてやっていそうな気もしますから、望みは薄そうですね。」


「ふむ。まぁ一応やってみるよ。」


「一番期待できそうなのは、教会や医師達だろう。」


「医師はおそらくは病気の原因を知っているだろうし、無視はしないだろう。」


まさか中世ヨーロッパみたいに、床屋が瀉血しているなんてことはないよな?


「あとは教会だ。こちらは救済活動と言えば協力してくれると思う。多少のお布施はいるがな。」


「では、マスター、コメリアとハチがお供いたします。」


「うむ、コメリアとハチは護衛役にもなってありがたいな。」


「スケさんカクさんは悪人退治をまだやるか?」


「今日殆ど捕まえましたから、明日は殿と一緒にいます。」


「わかった。」



◆



翌日、再び領主の館に行ったが、結局会えなかった。


金持ちの有力者には会えたが、協力はしてもらえなかった。


「町医者の診療所へでもいこうか。」


ヤマタニ達は一件ずつ診療所を巡った。


繁盛している診療所は忙しくて、協力を断られた。


しかし、若い医者が二人協力してくれることになった。


「道に落ちている馬糞などを片付ける者がいないと、いずれ病気が発生するだろう。」


「君達医師に金貨200枚を預けるから、この金で貧民街の人達を雇い、清掃活動を継続しなさい。」


「分かりました。しかし、僕らを信用して、こんな大金を預けてよろしいのですか?」


「うむ、まずは信じることから始めないと、先には進めないからな。」


「それから、着服横領したら、この賞金稼ぎのスケさんカクさんの手柄になるだけだからな。」


「あとはこの契約書にサインをくれ。血判もしてくれよ。」


「はい。」


「あの、もしかして、先日悪人退治していた美女って?」


「そうじゃ。その噂の賞金稼ぎが我らじゃ。」


「ほんにほんに。捕まってボコされて牢屋に行きたいかえ?」


「いえいえいえ、行きたくはないですよ。」


「では、早速貧民街に行って清掃員を募集し、清掃活動を始めてくれ。」


「はい、分かりました。」


二人の医師は活動を開始した。



ヤマタニは教会にも足を運んだ。


神官にお布施の金貨200枚を渡し、川の清掃や石灰を撒いたりなどの協力をしてもらえた。


「さてと、あとは非協力的な領主だけれど、奥の手でやるか。」


「マスター、奥の手を使うのですか?」


「ああ、陛下に頼んで下水施設を作るように領主を動かしてもらおう。」


「マスター、なるほど。理解しました。」


こうしてこの街の未来は、ヤマタニの活躍で救われていくのであった。


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