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倒産中年社長、異世界で孤児達と逆転再生経営!番外編 異邦人の神を追う羊たちの旅  作者: 神永ちろる


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ニセモノと本物の神

第13話 ニセモノと本物の神



忍の隠れ里をあとにしたヤマタニは、ハングスの街へとやって来た。


「殿、装甲車の上に誰か乗ってますよ」


「ほんにほんに、ゲンバが乗っておりますなぁ。」


「ん? 何でゲンバが乗っているんだ。」


ゲンバは装甲車から飛び降りて、ヤマタニの前で膝をついた。


「どうしたんだ、ゲンバ。忘れ物か?」


「いえ、ヤマタニ様に命を助けられ、俺は神ヤマタニ様にお仕えしたいと思いました。」


「どうか、末席にお加えくださいませ。」


「隠れ里はいいのか?」


「はい。かまいません。」


「俺のところは最低賃金で待遇が悪いぞ?」


「はい、かまいません。」


「獣人、鬼人、竜人、神獣、妖精、古代文明メイドもいるが大丈夫か?」


「はい、かまいません。」


「それでは俺の部下になれ。」


「ははっ、ありがたき幸せ。」


忍のゲンバがヤマタニの配下に加わった。


「ゲンバに頼みがある。」


「ゲンバのその腰の刀を見せてくれないか?」


「ははっ。どうぞ。」


ゲンバが刀の鞘ごとヤマタニに手渡した。

ヤマタニがゲンバから刀を受け取って、鞘から抜いてみた。


「やはりズッシリと重い日本刀だな。」


「気をつけて下さい。刃に触れると簡単に指が落ちますから。」


「うむ。」


落ちた指はヒーリングで回復できるのだろうかとヤマタニは思ったが、そんなバカな真似はしなかった。


「やはり研ぎ澄まされた刀身は美しいな。」


そう言って刀を鞘に収めてゲンバに返した。


「もしよかったら、里の鍛冶屋に一振り作らせましょうか?」


「あ、それ確かに欲しいな。」


「若い頃は剣道やってたしな、まだ形を覚えているぞ」

「ほう、それは凄い。」


ヤマタニはそんな話をしてゲンバとしばし和んだ。



◆



ミリーナ達もヤマタニを探し求めて、ハングスに滞在していた。


「神はジリンとグスタヴ以来、噂を聞かなくなりましたな。」


「そうね、ゲイル。神は何処にいるのかしら。」


飲食店のテラスでお茶をしているミリーナのすぐ隣を、ヤマタニ達が通り過ぎていった。


「お嬢さん、今日手掛かりが見つからなかったら、他の街へ行きませんか?」


「そうねー。」


「いったい神様は何処に行ったんでしょう。」



◆



「ゲンバ。」


「はっ。」


「お前、このハングスの街は詳しいか?」


「はい、たまに買い物などに来ております。」


「俺はこのハングスの街は初めてだから、案内してくれ。」


「わかりました。」


ゲンバは街のあちこちを案内してくれた。


「この街は職人が多く住んでおりまして、自分で作った靴や鞄などの店が並んでます。」


「職人というと鍛冶屋もか?」


「鍛冶屋ももちろんありますよ。」


「ではドワーフもいるのか?」


「どうでしょう、いるかもしれませんね。」


「まぁ、いいか。」


「宿屋を先に探したい。」


「はい、知っている宿屋がありますが、そちらでよろしいですか?」


「あぁ、かまわないよ。」


ゲンバの知っている知り合いの宿屋『黄昏の都亭』へ案内された。


「あら、ゲンバさんじゃないか。」


「やぁ、おばちゃん、変わりないな。」


「今日は俺の新しい御主人様一行と宿泊したいのだがね」


「どちらの偉い方かい?」


「へへへ、聞いて驚かないでくれよ。」


「この方は、あの噂の神様のヤマタニ様なんだ。」


「えっ!?」


宿屋のおばちゃんは驚いていた。


「まぁ、驚くのも無理はないか。」


「え、でも、だって、さっきさ……。」


おばちゃんはよくわからないことを言っていた。


「さっきさ、ヤマタニ様がやって来て、部屋が粗末で気に入らないとか出ていったからさ。」


「え?」


そんなはずはないと、ゲンバは思った。

あのバケモノ大亀を退治し、瀕死の自分を一瞬で回復してくれた。

この人こそが本当の聖人ヤマタニ様その人だと、確信して家臣になったはずだ。


「それで、そのヤマタニ様だと名乗った人はどんなだったんだ?」


「それが、立派な男の人で、共に三人の女と犬を連れていたよ。」


「へぇ~。それは興味深いな。」



◆



ミリーナ達はハングス街で、神がやって来たという噂を耳にした。

その噂の神は貧民街へ行って、救済をしていると街の人から聞いた。

昨日までそんな話は聞かなかったが、いつの間にか神はこの街にやって来ていたのかもしれない。


「その噂の神の銀の馬車が、高級宿屋に入って行ったのを俺は見たんだよ。」


「つい、神をもっと知りたくてね、あとをつけ回したんだ。」


「そしたら、貧民街で転んだ子供の怪我を治していたのを目撃したんだ。」


「あれは、間違いなく神だと思ったね。」


「うん、うん。」


「まさに神様に間違いなさそうだわ。」


ミリーナ達は貧民街へ行って、噂のヤマタニ卿を見に行った。

貧民街に行くと、人だかりがあったので、人々を掻き分けて見てみた。

立派な男の人がいて、お年寄りと何か話をしていた。

共に三人の女や犬を連れている。


「やった! この方があの神ヤマタニ卿よ。」


ミリーナ達はこのヤマタニ卿の側に駆け寄って話しかけた。

しかし、噂の神とお婆さんは何か言い合っていた。


「あんたの回復では、あたしのリュウマチは治らないのかい?」


「だからね、老化によるものだから、ヒーリングでは治らないのだよ。」


「なんだい、なんだい!」


「噂の神だっていうから、凄い回復能力だと思っていたのにさ。」


「とんだ食わせ物じゃないかい。」


「無礼者。ヤマタニ卿に対して口が過ぎますぞ!」


お付きの女がお婆さんを睨みつけた。

その睨みに威圧された老婆は、仕方なく退散して行った。


人だかりの中で、一部始終を見ていたゲンバがそこにいた。



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