神罰の雷を受けた死の大亀
第12話 神罰の雷を受けた死の大亀
ヤマタニは、バケモノ大亀のデッドブラッティトータス退治を、村長に無理やり押し付けられてしまった。
「ゲンゾウ様、それではこのゲンバがヤマタニ様についていきます。」
「うむ。頼んだぞ。ゲンバ。」
「後処理はサスケにやらせる。」
「はっ。」
それを聞いたヤマタニはピクンと眉を揺らした。
◆
「作戦を説明する。」
「この森での装甲車機動戦は出来ない。よって、バケモノ大亀を射程内におびき出して、一気に全装甲車の火力を食らわせる事にした。」
「アドバイザーはこのゲンバにしてもらう。」
ゲンバはヤマタニ一同にお辞儀をした。
「おびき出しには、スケさんカクさんにやってもらう。」
「あとバケモノ大亀は疫病を振りまいて森中を徘徊しているので、全員マスクと手袋を着用する。」
「バケモノ大亀を退治した後は、速やかに焼き払い疫病を広げないようにしてくれ。」
「了解!」
ヤマタニの指示で作戦はスタートした。
おびき出し班はスケさんカクさんとゲンバだった。
「ゲンバとやら、お主なかなかやるのぅ。」
「ほんにほんに。我らの足についてこれるとはなぁ。」
「そちらこそ、わしの足と同列とはな。」
「同列ではないぞ、疲れるからやらないだけじゃ、まだまだ加速はできるぞ。」
スケさんカクさんはさらに加速して見せた。 それはもはや残像にしか見えない。
鍛えられたゲンバにも目で追うことは出来なかった。
「どうじゃ?見えたかのぅ。」
「まったく見えなかった!」
「ふふふ。」
森のあちこちからスケさんカクさんの笑い声が聞こえてきた。
「我ももっと精進いたしますぞ。」
スケさんカクさん達は森の奥へと分け入った。
「カクさん、あれじゃな。」
「うむ、あれじゃ。」
「二人ともバケモノ大亀の気配を探知できるのか?」
「うむ、この森にいるバケモノの中でも一番強く感じるのぅ。」
「凄く感じるのぅ。」
バケモノ大亀が見えるとこれまで三人は接近して行った。
「なんじゃあのバケモノ大亀から漂う瘴気は?」
「周りの木が枯れているぞ。」
「それに腐った死体ね死臭がただよってくる。」
三人はしばらくの間、バケモノ大亀を観察した。
「ではぼちぼちやるかのぅ。」
「やりましょうぞ。」
二人はミスリルの剣を抜いた。
「おおっ!それはミスリルの剣。」
「しかも背中にはミスリルの槍ですな?」
「そうとも、よく似合うじゃろう?」
「殿が買ってくれたのじゃ、似合じゃろう?」
ゲンバはとりあえず頷いた。
「それでは!」
スケさんカクさんは近くにあった大木の枝打ちをすると、ミスリルの剣を使い高速で大木を切って巨大な杭を作り上げた。
「うわっ!色んな意味で凄い!」
ゲンバは驚いたが、さらにスケさんカクさんは巨大な杭をバケモノ大亀に向かって投げつけた。
「グサッ!」
「グサッ!」
二本の巨大な杭が見事にバケモノ大亀に、ぶっ刺さった。
「ギャォォォォォォォォンッ!!」
巨大な足をばたつかせて、バケモノ大亀は暴れ出した。
そして赤い目を輝かせて、スケさんカクさん目掛けて突進してきた。
「ドドドドドドドッ!」
「それっ逃げろ!」
三人は予定通り逃げ出した。
バケモノ大亀は森の木を次々となぎ倒して猛烈な勢いで突進した。
そしてクロスファイヤーポイントに上手く誘導されていくのだった。
しかしバケモノ大亀がなぎ倒した木片がゲンバに飛んできて刺さってしまった。
「不覚!」
ゲンバはそのまま意識を失い倒れてしまう。
スケさんカクさんが倒れたゲンバを拾い、迫りくるバケモノ大亀から逃げ出した。
そして装甲車の射程圏内にバケモノ大亀が入ってきた。
双眼鏡を眺めていたヤマタニが命令した。
「今だ!全車一斉砲撃!」
各装甲車の全武装兵器が一斉に火を吹いた。
「バシュバシュバシュバシュ!」
「シュッシュッシュッシュッ!」
「ダダダダダダダタッ!」
「バババババババッ!」
「バォーン!バォーン!」
オレンジ色のバレットがバケモノ大亀に吸い込まれるように命中していく。
「シュルルルルルッ!」
ロケット弾は綺麗な放物線を描き、バケモノ大亀に当たって爆発した。
「ドンドドドンドンドンドッドッカーン!」
トミーのミサイル装甲車から発射されたミサイルは、陽の光を一瞬輝かせて一直線に飛んでいった。
「シュルルルルルッ!」
「ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!」
「ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!」
「ギャオオオーッ!」
バケモノ大亀は断末魔の叫びを上げた。
ミサイルやロケット弾が命中し爆発する度に、辺りが真っ白になるくらいの閃光を放ち、爆発音は雷鳴のごとく森に鳴り響いた!
辺りが緑から白に変わるとき、波動で木々が吹き飛ばされた。
そして緑の世界から一斉に光が輝いた瞬間、辺りが真っ白に変わっていった。
そのあとには大亀の無惨な姿と、森には静寂が戻っていった。
村人達は全てを目撃し、一斉に歓声を上げた。
「うぉーーーーーっ!」
さらに歓声が次第にヤマタニへの称賛の声に変わっていった。
「おー神よ!」
「神様ヤマタニ様バンザーイ!」
「村を救ってくれて、ありがとう神様!」
「よし、死骸は疫病の塊だから、全て燃やし尽くせ!」
ヤマタニの命令でバケモノ大亀の死骸は燃やされていった。
ヤマタニ装甲車が村に帰還すると、さらに村人から大きな歓声が上がった。
しかし、スケさんカクさんが、負傷したゲンバを運び込んだ瞬間に再び静まりかえった。
ゲンバの腹には木片が突き刺さったまま、気を失っていた。
ヤマタニがそれを見て駆け寄り、回復のヒーリングをかけた。
するとたちまちゲンバの腹に刺さった木片が抜け、傷口が塞がった。
青ざめていたゲンバの顔に、再び生気が蘇っていった。
「なんて回復力だ!」
ゲンバは瘴気を取り戻し目を覚ました。
「神の奇跡だ!」
それを見ていた民衆はまた歓声を上げるのであった。
◆
「おい村長。ちょっと来い。」
ヤマタニが村長を呼び寄せた。
「この村は忍の隠れ里かなんかだろう?」
「何故それを?」
「だって、お前達の名前が、ハンゾウ、ゲンバ、サスケとかだろう。」
「この国の名前でない事くらいわかるさ。」
「流石は神と称賛されたヤマタニ様。全てお見通しですな。」
「いかにも我らは忍の末裔。戦を避け旅の果てにやって来た地がこの国だったのです。」
「そしてひっそりと暮らしていましたのじゃ。」
「なるほどな。」
「じゃあ黙っておくから、引き続き隠れ里のまま生活すればよい。」
そう言ってヤマタニは黙って去って行った。
「ありがとうございますじゃ。ヤマタニ様。」
この国に忍の隠れ里が存在していた事は、誰も知らないままであった………。
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