第44話 窮地
─────しつこい男は嫌われるぜ!
横を…えび反りが通り過ぎる!
「そこ!」
─────ドドドドドド!
照準眼鏡なんて覗いている暇はない…
もう感覚だ!
少しずつ基地からも引き離している。
「こっちこいやー!」
基地への攻撃を逸らす為にも…
引き付けなくては…。
「新米!残弾は!?」
「まだ行けるべ!!」
「了解!」
敵の攻撃を避けることは出来る!
落とす事は…無理でも…。
視界の隅に…不思議な物が見えた…。
「あ!バカ!今はダメだー!やめろ!!」
水飛沫を上げ二式水戦が離水しようとしている!
「バカ野郎!こんな時に上がって来るんじゃねぇ!」
離水直後、まだ速度が出てない時に襲われれば…
─────最悪だ。
だが…それを見守る余裕もない。
ひっきりなしに撃ち込まれている。
新米の後部機銃も撃ちっ放しだ!
「旦那!そろそろ弾丸が少なくなってきたべ…
残り2弾倉!」
「了解!」
視界の片隅で…離水直後の二式水戦に…
敵が襲いかかった!
「だから、言ったのに…バカ野郎!」
だが…踊るように…弾を…躱した…。
「なに…を…した…んだ…。」
だが、こちらも余裕はない。
「弾倉交換!!残り1だべ!」
新米の言葉が飛ぶ!
「撃ち惜しみするな!ぶち撒けろ!」
「了解だべ!!」
…もう…やるしかない!
曳光弾を避けながら…飛び続ける。
ふと、違和感に気がついた…。
海岸線が…見える…だと…!?
─────まさか!!
上を見ると…
上空で数機が旋回している…。
あいつら…あそこで…誘導してる…のか…。
「クソ!追い込まれてんじゃねーか!」
避けてるつもりが…追い込まれてたのか!?
確かに左側からの攻撃が多かった…多かったが…。
「新米!弾倉は!!」
「もうすぐ交換だべ!残り弾倉なし!!」
熱くなりすぎていたのか…
─────俺としたことが!!
「旦那!下から突き上げ!撃てないべ!」
咄嗟にフットバーを蹴りこみ…
操縦桿を引きつける!
「こんちくしょー!」
─────ガン…ガンガン!
「新米!大丈夫か!!」
「後部と翼に被弾!!おらは大丈夫だべ!」
「弾が来たら避けろ!命令だ!」
「えぇー!旦那が避けてけろ。」
俺だってそうしたい…したいが…。
─────ドドドドドド!
いきなり新米の機銃が連射された!
「旦那!!!!」
ガンガンガン…ガン!
─────ブフォー!
操縦席が真っ白になる!
「6時方向、上深い!」
新米の声だけを頼りに、操縦桿を倒す!
前は全く見えない…計器すらも…。
「旦那!来るべー!ゲホゲホ…。」
もう何がなんだか分からない…。
必死に操縦していた…。
「旦那…逃げ…ゲホゲホ…。」
「クソがー!死んでたまるかー!」
初めて後ろを振り向いた…
大きく迫る…敵機の姿…。
翼から…放たれた曳光弾が…
近づいて…来る…。
「これは…無理…か…。」
─────ガンガンガンガン!
機体に弾が当たる振動…。
次の瞬間…
敵が火を吹いた!!
「え…!?」
二式水戦が翼を振りながら駆け上がっていく!
「かっこいいじゃねーか!ありがとう。」
─────ガガガ!
「熱っ!!」
「旦那!旦那ぁー!!!─────
お読み下さりありがとうございます。
次回公開日は
10月6日(火)の予定です。




