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『在りし日の空 』~南方無人島の独立飛行隊 零式観測機で 斯く戦えり~  作者: ともぞう


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44/47

第44話 窮地

 ─────しつこい男は嫌われるぜ!



 横を…えび反りが通り過ぎる!



「そこ!」



 ─────ドドドドドド!



 照準眼鏡なんて覗いている暇はない…



 もう感覚だ!



 少しずつ基地からも引き離している。



「こっちこいやー!」



 基地への攻撃を逸らす為にも…



 引き付けなくては…。



「新米!残弾は!?」



「まだ行けるべ!!」



「了解!」



 敵の攻撃を避けることは出来る!


 落とす事は…無理でも…。



 視界の隅に…不思議な物が見えた…。




「あ!バカ!今はダメだー!やめろ!!」




 水飛沫を上げ二式水戦が離水しようとしている!




「バカ野郎!こんな時に上がって来るんじゃねぇ!」




 離水直後、まだ速度が出てない時に襲われれば…



 ─────最悪だ。



 だが…それを見守る余裕もない。



 ひっきりなしに撃ち込まれている。



 新米の後部機銃も撃ちっ放しだ!



「旦那!そろそろ弾丸が少なくなってきたべ…

 残り2弾倉!」



「了解!」



 視界の片隅で…離水直後の二式水戦に…


 敵が襲いかかった!




「だから、言ったのに…バカ野郎!」




 だが…踊るように…弾を…躱した…。



「なに…を…した…んだ…。」



 だが、こちらも余裕はない。



「弾倉交換!!残り1だべ!」



 新米の言葉が飛ぶ!



「撃ち惜しみするな!ぶち撒けろ!」



「了解だべ!!」



 …もう…やるしかない!



 曳光弾を避けながら…飛び続ける。



 ふと、違和感に気がついた…。



 海岸線が…見える…だと…!?



 ─────まさか!!



 上を見ると…

 上空で数機が旋回している…。




 あいつら…あそこで…誘導してる…のか…。




「クソ!追い込まれてんじゃねーか!」



 避けてるつもりが…追い込まれてたのか!?



 確かに左側からの攻撃が多かった…多かったが…。



「新米!弾倉は!!」



「もうすぐ交換だべ!残り弾倉なし!!」



 熱くなりすぎていたのか…



 ─────俺としたことが!!



「旦那!下から突き上げ!撃てないべ!」



 咄嗟にフットバーを蹴りこみ…


 操縦桿を引きつける!



「こんちくしょー!」



 ─────ガン…ガンガン!




「新米!大丈夫か!!」



「後部と翼に被弾!!おらは大丈夫だべ!」



「弾が来たら避けろ!命令だ!」




「えぇー!旦那が避けてけろ。」




 俺だってそうしたい…したいが…。




 ─────ドドドドドド!




 いきなり新米の機銃が連射された!



「旦那!!!!」



 ガンガンガン…ガン!



 ─────ブフォー!



 操縦席が真っ白になる!



「6時方向、上深い!」



 新米の声だけを頼りに、操縦桿を倒す!



 前は全く見えない…計器すらも…。



「旦那!来るべー!ゲホゲホ…。」



 もう何がなんだか分からない…。



 必死に操縦していた…。



「旦那…逃げ…ゲホゲホ…。」





「クソがー!死んでたまるかー!」





 初めて後ろを振り向いた…





 大きく迫る…敵機の姿…。




 翼から…放たれた曳光弾が…


 近づいて…来る…。




「これは…無理…か…。」




 ─────ガンガンガンガン!



 機体に弾が当たる振動…。



 次の瞬間…



 敵が火を吹いた!!



「え…!?」



 二式水戦が翼を振りながら駆け上がっていく!



「かっこいいじゃねーか!ありがとう。」



 ─────ガガガ!



「熱っ!!」



「旦那!旦那ぁー!!!─────










 お読み下さりありがとうございます。


 次回公開日は


 10月6日(火)の予定です。

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