第41話 歓待
─────木々の隙間から
白い煙がゆっくりと上がっている。
「新米、昨日のはこれか?」
「この匂いだべ!」
銃を構えた兵が周囲を警戒する。
俺も拳銃に手をかけた。
────ガサッ
「旦那!なんかいるべ!!」
新米が銃を向ける。
「待て!撃つな!!」
茂みから出てきたのは…
人だった。
上半身裸の男…
腰には布を巻いている。
「おいおい、あれじゃ蚊に刺されるじゃないか?」
手招きをしているようだが…
「……旦那ぁ。」
「なんだ?」
「俺たち…警戒しすぎだったんでねえべか??
なんかみんな朗らかだべ!」
確かに…ゲリラではなさそうだが…。
とりあえず警備隊には周囲に残ってもらい
俺たち4人で村に入る事にした。
「この匂いだべ!独特な匂いがするべなぁ。」
「聞きたいけどなぁ…言葉が…。」
「If you don't mind, I'd like to know
what this smoke is for.」
チーフが現地民と話をしている!
「なんやボン、英語習わんかったんか?兵学校で。
これくらい当たり前やろ。」
いやいやいや…習ったことは習ったが…
ここまで流暢に…。
「あんなぁ、この煙…蚊除けらしいわ。
家が、高床式になっとるやろ?
その下で…夜はこうやって煙をたくらしいわ。」
その時…
九州が肩に掛けていた袋から何かを取り出した。
「チーフこれを。」
包みを受け取り…現地民に差し出す。
「Here, have some of this.
Could you tell me a little more
about how you keep the mosquitoes away?」
「チーフ何言ってんだべな?旦那…分かるべか?」
「これ食べろみたいな…?教えて…みたいな?」
チーフが笑いながらこちらを向いた。
「九州さすがや!
…最強の武器持ってきてたんやな!
あれ、最強やわ!」
男が何かを指差しながら、
チーフに話しかけている。
「そうなんやなぁ……。」
「なんだって?」
「乾かした葉っぱやら、
木ぃやらを燻しとるらしいわ。
燃やすんやなくて、煙を出すんやと。」
「へぇ……。」
「旦那!これ基地でもやるべ!」
「煙出したら敵に見つからないか?」
「旦那に蚊が寄り付かなくなるべ!」
…でも…確かに…刺されて苦しむよりは
いいのかもしれない。
村の中に案内され、色々見せて貰った。
九州がしきりにメモを取っている。
よく見ると…挿絵まで入れている。
「九州…お前凄いな!絵も上手いな!」
「こうしよった方が分かりよかやけん。」
ふと見ると、チーフが小銃を持っていた。
「チーフ?その小銃は?」
チーフが指さす方を見ると…
新米が、村の子供達と追いかけっこをして
走り回っていた。
「早ぇべな!でも、オラも負けねぇべよ!」
笑い声が絶えない…いい村じゃないか。
九州の包みを食べた村民も笑顔だ。
「ここは元々オーストラリアが統治しとったからな。
英語を話せる人がおんねん。」
「それにしても流暢過ぎるでしょ。
ビックリしましたよ。」
そんな話をしていると、チーフの所に
年配の男性が近づいてきた。
何かを話している。
「He's in charge.」
チーフが俺を指さした。
責任者…?なんの話だ?
「旦那あ、どうしたべ?」
「良くわからん。良くわからんが…。」
チーフと年配の男性がこちらに歩いてくる。
チーフがニヤニヤしているのが、気になるが…。
「さっきの包みのお礼らしいわ。
ボン責任者やし…食べや!」
覗きこむと…
「ちょ、ちょっと待てー!こ、これは…。」
大きなイモムシのようなモノが見える。
「これは…これは、料理するんだよな…。」
「そのまま食べるらしいで。」
「……………。」
無理だ、こればっかりは…無理だ!!
これを掴むのも無理なのに、口の中に入れる!?
横を見ると、新米がニヤニヤしている。
「旦那ぁ、しょうがないべなぁ!
食べさせてあげるべ。アーンして!!」
あとずさりしようとした時…
九州に押さえつけられた!
「九州!裏切ったな!やめろー!!」
─────ゴックン
俺は…
未知の領域に踏み込んでいった─────
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次回公開日は
9月26日(土)の予定です。




