第40話 煙跡
────旦那どうしただ?
兵舎に戻ろうとすると、
新米に声をかけられた。
「ん?何でもないぞ。星が綺麗でな…。
眺めていたんだよ。」
「ロマンテックだべなぁ。
そんなに綺麗なんだべか??」
咥えタバコでこちらに歩いてくる。
「おいおい!吸えるようになったのかよ!?」
「頭はクラクラするべな!」
咥えタバコで歩く姿は
ベテラン搭乗員そのものだった。
「いい風だべなぁ…。ん?」
「どうした?」
「夜、出撃した時に
煙がいっぱい上がってたべな。
今も、匂いがするべ。」
俺には、まったく分からないが…。
「なんか…燃えてる匂いだべなぁ。」
まぁ、新米なら…分かるのか。
熊の匂いを嗅いで追う…とか言ってたもんな…。
「どこら辺から匂うか、分かるか?」
「そんなに遠くはないべなぁ。」
なぜ煙が出ているのだろう…。
ゲリラ?じゃないよな?
「旦那どうしたんだべ??」
「ゲリラじゃないよな…。みたいな…さ。」
「ゲリア!?なんだべ!?」
「ゲリラな!!俺たちに攻撃してくる奴らだよ。」
新米がキョロキョロしている。
……こいつ…絶対、銃を探してるな。
「大丈夫だよ。
…と、いうか…銃は置いてきただろ。」
こいつには銃が必要そうだな。
警備隊にでも頼んでみるか…。
「なんや?こんなところでデートしとんのか??」
チーフと九州が酒と荷物を片手にやってきた。
「ん?九州…なにやってるんだ?」
「これ貼っとかんと、砂浜でも刺されるけんね。
そいで…隊長、全然食べとらんですよね?
これ、よかったら食べりー。」
九州が、手際よく蚊帳を貼る。
蚊帳の中に入り込み…
砂浜に座り込み、4人で空を見上げた。
「戦争なんてしてへんみたいやなぁ。」
「本当だべなぁ。魚取りしたいべなぁ。」
「はぁ?魚取り!?…ま、まぁ、やりたいな!」
「隊長はバケツの達人たい!」
4人で座って酒を酌み交わす…落ち着くな…。
「そうや!2人で、なに話しとったんや?」
夜間出撃した時の事を話してみた。
「煙?てか、新米は匂いが分かるか?
犬みたいな奴やなぁ…
可愛い顔しとるけどな!犬みたいな!」
「警戒はしておいた方が良いと思うんだ。
俺たちだけで、見回りした方がいいかな?
何故煙が出てるのかも知りたいしな。」
「隊長、夜は蚊の多かけん……
行くなら昼がよかと。」
横では新米がチーフにほっぺたを
つねられて、悶えている。
「一応、明日は枠から外れている。
周囲偵察ってことで野田大尉に頼んでみるよ。
一応、何があるか分からん。
全員武器を持って集合な。」
「了解!!」
満天の星空の下…蚊帳の中で…
4人で朝方まで飲み明かした。
────ボンのやつ遅いな!
浜辺には3人が集結していた。
「旦那…寝坊だべか??
それとも虫が怖くなって…。」
「大丈夫ばい。さっき司令部に許可取りに
行ってくるって言いよったけん。」
少しすると…ゾロゾロと兵隊を引き連れて…
エースが帰ってきた。
「なんやボン!えらい引き連れて来たんやなぁ。」
「新米!これ!」
それを受け取ると…新米の目が輝く!
「これ!最新式のやつだべ!すんげぇべなぁ!」
「弾がデカイからな。
取り扱いには気をつけろよ!」
「旦那…1発だけ撃ってもいいだべか?
撃ってみねぇと、分からんべ。」
「1発だけな。」
────バァーン!
兵舎から、ゾロゾロと人が出てくる。
九州が、両手を合わせお辞儀している。
「どうだ?新米?いけそうか?」
「やったら蹴るべなぁ。
当たったら、つぇーんだべなぁ。」
「蹴る??」
「反動のことだべ。でも、大丈夫だ!
これなら使えるべな。」
ひょいと肩に担ぐと、嬉しそうな顔をしている。
皆に武器を持ってこいと言ったが…
「チーフそれ…大きいスパナじゃ…。」
「何言うとんねん!
これで頭叩いたら、かち割れるで!」
まぁ、新米は大丈夫だとして…
「九州…それは…包丁…か?」
「とっても綺麗に切れますばい……とってもね。」
刃を見せながら喋る…
不気味な雰囲気に…
それ以上…
何も言えなかった。
「よ、よし!行くぞ!」
「待ちや!ボン!お前は、何持ってきたんや?」
「俺は…これだな。」
腰に下げている拳銃を抜いてみせた。
「なんや!えぇもん持ってるやないかい!」
「一応、士官だからな…一応。」
一個分隊と俺たち4名でジャングルに入る。
道無き道を…
と、いう予想をしていたのだが…
普通に道があった。
「道があるんだな。」
「現地民とも交流は若干あります。」
「ただ、言葉が分からなくて…。
特設通信隊なら、分かるみたいですが…。」
特設通信隊かぁ…。流石にいないな。
1時間くらい歩いただろうか…。
「大尉殿こちらです。」
なに!────
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次回公開日は
9月23日(火)の予定です。




