↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『在りし日の空 』~南方無人島の独立飛行隊 零式観測機で 斯く戦えり~  作者: ともぞう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/36

第34話 安堵

 ────来たぞ!!


 誰かの声が聞こえる。


 慌てて浜辺に飛び出した。


 横をみると九州も一緒に

 飛び出しとった。


 いつもの定期便が

 帰っていっても、


 ボンと新米は帰って来んかった。



 だが…今は聞こえる!


 ワイが整備したエンジンの音や!



「九州!灯火や!灯火!!」



 周りの皆も灯火を点け始める。


 上空を一回旋回すると…


 ゆっくりと降下してくる。


 着水直後にワンバウンド…


 そして何度か細かく跳ねさせて…


 着水…いつもの着水や。


 こちらの駐機場に向かってくる。



「九州…灯火消せ!はよ!…皆もおおきに!

 アホが帰ってきましたわ。」



 皆笑いながら、灯火を消していく。


 誰かが、小舟を出して迎えにいってくれた。



「整備長すまん、遅くなっ…た。

 …で、、なんで泣いてるんですか?」



 アカン!涙が出とったようや…



「泣いてへんわ。ゴミや!ゴミが入っただけや!

 なんで泣くねん。どアホ!!」



 新米も降りてきた。



「チーフ…お腹減ったべ。」



 降りてきてすぐに、腹減ったってか…


 困った奴らやで…まったく…



「とりあえず報告いってこいや!飯はその後や!」



 2人の周りには人だかり…


 そりゃそうや…基地上空で


 あんな大立ち回りしてみせたんや。


 皆、興奮して空襲忘れて空見上げとったわ。


 ま、ワイも見惚れてたが…。



「この船借りるで。九州行くぞ!」



 真っ赤な零観に横付けした。



「九州どうや?当たっとるか?」



 九州は首を横に振ると、


 ニコリと笑って親指を立てた。



「ほぉー、1発もか…

 リベットも飛んでおらんし…腕上げたんか?」



 九州が笑いながら小舟に戻る。



「ご飯の用意せんといかんです。

 戻りましょうか。」



 待機所に戻ると、皆が色々な食材を


 持って集まってくる。


 九州が吟味し、料理を始める。


 主計科の奴まで見学しにきとる。



 どんだけ料理上手いねん、九州。



 周りが騒がしくなってきた…。


 報告終わって帰ってきたか。



「ただいま。これ貰っちゃいました。」



 手には2本の一升瓶!


 皆から歓声が上がる!


「なぁ、ボン。どこほっつき歩いとったんや?

 ずっと飛んでた訳じゃないやろ?

 燃料そんなに減っとらんかったし。」


「ちょっと、良い入り江見つけましてね。

 送り狼も怖いんで、ちょっと待機してました。」


「は??待機!?報告せんかい!

 どんだけ待ったと思うとんねん…」


 ボンが親指で新米を指差す。


「無電使えませんので…」


 そうだった…あいつ…アカンのやった。


「新米!無電勉強せんかい!!」


「ひー!!!無理だべー!」


 九州の一品目が机に運ばれる。


「九州兄貴ぃ!これ、、な、なんだべ??」


「カウカウ…さつまいもやね。

 これを主計科の方からもろうた

 オリーブオイルで焼いて…

 塩で味付けしたものばい。」


 皆で、実食…………美味っ!!


「なんや九州!めっちゃ美味いやん!これ!」


 ボンが貰ってきた酒も回りだす。


「大尉!今日は凄かったですね!もう…

 痺れましたよ!」


「特傍班が、顔を真っ赤にしながら

 叫んでましたよ!

 レッド・ファントムが

 この地域にでたー!って!

 ウー信、凄かったみたいですよ!」


 でたわ、悪い癖…


 ボンは褒められると…笑いながら聞き流す…


 まったく…困ったもんやな。


「…で、どうやったんや?今日の敵は?」


「あんまり上手くはなかったですね。

 避けやすかった。ただ、、硬い。」


 皆、真剣に聞いている。


 メモを取っている奴もおる。


 田中一飛曹が割って入る。


「どうやって、あのサンダーボルトに

 火を吹かせたんですか?普通…無理ですよ。」


「あれかぁ…。

 怪我の功名みたいなとこはあるんだ。

 偏差間違って、胴体の後部に当たったんだ…。

 そしたら、火を吹いた。

 何かあるんだろうなぁ。

 新米もそこを撃ち抜いたら

 火を吹いたらしい。」


 皆、必死や。


 今まで倒せなかった相手を、

 無傷でぶっ倒した変人が目の前におる。


 それも一機だけやない…


 しかも、こいつは大尉や!


 待機所に普通に来て…


 普通に下士官と喋ってやがる。


 まったく大した隊長さんやわ。



 しかも、ドヤ!みたいな感じもせん。



 …なんで、昔はあんなに尖ってたんやろか…。



「大尉殿!明日も上がるんですか!?」



 そこや!お前!いい事、聞いたで!


 やるんやったら…整備や!



「んー、明日は上がらない。

 多分…待ち伏せされる。

 波状攻撃されたら…降りれないからな…

 整備長…機体隠せますか??」



「当たり前や!ボン!翼折って隠したる!」



「翼を!折るだべか!!

 そったら事したら…壊れちまうべ!」



 新米が、立ち上がった。


 こいつはこいつで、機体に愛着があるみたいや。



「翼ば格納するために、折れるごとなってると。」



 …そう言いながら新米の前に


 二品目を机に並べる。



「こりゃ、、兄貴…なんだべ??餅け?」



「そげんね!サゴ椰子の澱粉ば

  タピオカ粉で代用して、

 主計科の皆さんが作ってくれた

 海苔ば巻いたっちゃね。

 そりゃあもう、

 モチモチしてまるでお餅の

 ごたる食感になっとろう?」



 皆、恐る恐る口に入れる…



「美味い!」「凄い!なんだこれ!」



 周りから感嘆の声が上がる!


 だが、九州は静かに調理場へ戻っていった。


 アイツはいつもそうやな…自慢せぇへん。



「やったったわー!」



 とかも、出さへん。不器用なやつや…。



 宴は夜中まで続いた。



 今日の戦いが皆を奮起させたようや。


 ただ、楽な戦いでも無さそうや。


 ボンが、いっとった…



「明日は飛ばない。」



 色々判断してのことやろう…


 不器用だからのぉ、アイツも。


 でも、今は…


 これで、えぇ。

 皆、一緒なら…


 なんとかなる!────







 


 お読みいただきありがとうございます。


 次回更新は9月1日(火)

 13:30頃を予定しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。