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294話 深夜徘徊する人の話

あああああ。


遅くなってしまってすみません。

やっと150話と、周の追憶のあたりの伏線を回収する時が来ました。


色々過去の設定漁ってたらこのような時間に。

真面目にアホな話です。

よろしくお願いいたします!


 


「回収回収♪ 物資を回収♪」



 書斎を出ると、リズミカルな声がリビングに響く。

 テレビから流れる壮大なBGM。小気味良いSEがカチカチという音と共に鳴り響く。


「おおっと残党だぁ! 菅笠野郎!」


 鍔迫り合い、低い太鼓の音。


 地面を転がる音。



「このっこのぉ!!!」



 ゆらりと揺れる澪桜のうしろの大きな影。



「みーーーーーおーーーーー。結婚証明書の澪桜の欄、考えたの? 3項目考えて今週中に提出って俺言ったよね?」



 周はスマホのタスクを見ながら片眉を上げて呟く。


 テレビ画面に向かったまま、澪桜はカチカチと音を立てながら生返事をする。


「んー? まーだー。でもあと半年もあるよ? そんな急がなくても大丈夫じゃあないか」



「あのね。式まで半年あるって毎回言ってるけど、他にもしなきゃいけない事がたくさんあるの! 終わらせられる所は早めに決めておかないと。何があるか分からないでしょ? しかも誓いの言葉だよ? ちゃんと考えてよ」



「へいへーい」


「それと招待状や引き出物はネットより実物がいいって参列者様からのご要望だったでしょ? 招待状、デザイン決めたの? 引き出物は俺が担当する代わりに招待状は澪桜が決めるって言ったよね?」


「ああ〜忘れてた〜」


 周は眉をひくつかせながら澪桜から重要なアイテムを没収した。


 コントローラーだ。


「ぬあああああああ!? 兵が押し寄せてきているのにぃぃぃ」


「人が真面目な話をしてるのにながらで返事するとは何事ですか? 失礼でしょう? 没収です」


「返してぇぇえ。君が買ってくれたんじゃないか〜休みの日に楽しんでって〜」


「そうだよ? 君が楽しんでくれて俺は嬉しい。でも今はPauseするべきだったのではないですか?」


 叱り方が完全に母親


 澪桜はしょげながら、画面をチラ見した。

 主人公の侍が袋叩きにされ、呆気なくリトライ画面が表示される。


「……結城マネージャーがウザい」


「余裕を持ってお願いしていたのに、提出日を守らない安達さんの責任です。違いますか?」


「むぐぐぅ」


 簡単には言い負かせないマネージャー。澪桜はソファの背もたれに顎を乗せて恨めしそうに呟いた。



「……自分だって。ご両親にお伝えしたの? 結婚の事」



 一瞬止まり、不貞腐れる澪桜に視線を落とす。



「……ちゃんと言うよ。ごめん」



 周は困ったように眉を下げた。

 付き合って半年、彼が家族と連絡を取ったという話は……一度も聞かなかった。


 だが流石に澪桜も焦っていた。ご両親が知らないところで勝手に籍に入ってしまうことを。


 彼の寂しそうな顔に弱くてこれ以上強く言えない。

 きっと、ご両親とまだうまくいってないんだろう。


 澪桜には分からない

 親と仲が悪いなんて。

 周の孤独が垣間見れる度に、悲しい。



 澪桜は隣に来いとソファの空いてる方を手で叩いた。


 周は嬉しそうに隣に座り、コントローラーを返して澪桜の肩に甘える。



「……結婚の報告は流石にね……。もし呼ベたら来て頂こう? 君がしたくないなら宿泊場所とかは私が手配するから。私もご挨拶するよ」


 二人で、報告しようと提案する澪桜に申し訳なさそうな声で俯いて呟いた。


「……分かった」


 沈んだままの周の空気に耐えられなくなった澪桜はゲームを終了させ、周の頭をぐちゃぐちゃにした。



「うっうわぁぁぁ!?」


「んもう! さっきまでの威勢はどうした!? 結城マネージャー、君はストレス溜めすぎだ! ほら、私からのプレゼント受け取れ!」


 そう言って澪桜はコントローラーを周に渡した。

 ポカンと、口を開けたまま首を傾げる。


「え、何?? プレゼント? ……ゲーム買ってくれたの?俺、ゲームしないけど……」


「ふふふふ。遠慮するなよ。さぁ、スタートだ」


 

 ***



 周が視線をテレビ画面に向けると、そこにはルイーナ(廃墟)と書かれている夕日に映える美しい洋館のCG画像のスタートページ。


 正直、何を貰っても澪桜からのプレゼントは嬉しい。

 ゲームなんて興味はないけど、こうやって澪桜と並んで休みの日にゲームするのも悪くないのかもしれない。


(操作とかも分からないから慣れるまで時間かかりそうだけど……かっこいいとこ見せたいから夜な夜なしれっとリスタートしたりして練習……頑張るか)


 少しでもかっこいいと思われたい周は裏工作を計算する。

 すると、澪桜がコントローラーを指さした。



「カメラワークは一人称がいいと思ったから固定だ。エイムの感度は自分で設定してくれ。酔うといけないからモーションブラーは切っといた」



 澪桜は専門用語を並べ立て、ワクワクとまたテレビ画面に集中する。

 ほぼ実写映画のようなオープニングの映像と日本語字幕。


 よく分からずに、内容を耳で追いながら、映像に集中きていった。


 なにやら……FBIが独りで捜査に繰り出す話なようだ……。


 ざらり。



 嫌な……予感がする。



「うひょぉ♪ 最新作はやはり違うなぁ! 前は亮太と二人でよくやったもんさ〜。今度は周さんと出来るなんて夢のよう! ……あ、チュートリアルだ。大丈夫、まだ何も起きないよ☆」



「澪桜……ま、まさかこのゲーム……」


「ほら、集中集中! 憂さ晴らししないと!」


 なにやら澪桜のセリフも怪しい。

 だが、画面はまだ暗い誰もいない廃屋をFBIである主人公が調査してるだけ。


 何も起きない。


 大丈夫、きっと……違うよな。


 あからさまにおかしいが、周は自分にそう言い聞かせて

 進めていった。



 すると、廃墟の入口を警備をしていたはずの警察官が、何故か……室内を徘徊している。


 次の瞬間……強制的にムービーになった。


 主人公が不審そうに話しかけると、

 警察官は腕を庇ったまま呟く。



『先程外で犬に噛まれてしまって……なんだか変なんです』



 いや、手当しろよ。

 そして仕事サボんな。

 変なのはずっとそうだよ。何なんだこのゲーム。


 なんでこんなもん選んだんだよ。澪桜は。

 俺はずっとゾワゾワしてるよ。


 そう、画面の中の警察官にツッコミながら隣の澪桜を見た。

 ……ホラー映画の時と同じ。

 ニヤニヤしながら周のうしろに隠れようとしている。


 やはりこれは……


 周は、澪桜を愛するあまり現実に気付くのが遅すぎた。


 徐々に肌の血色を失い、様子がおかしくなる警察官。

 一気に襲いかかって来る。


 アレだ。



 深夜徘徊する人達。



 周が色んな意味澪桜と付き合ってからトラウマになった


 アイツら。


「「ぎゃーーーーーーーーー」」


 何故かこの状況を作った張本人まで叫んでる。


 焦りの余り、操作が上手くいかない。


 両親との事や


 仕事の疲れ


 確かに今はそんなもんどうでもいい。


「はっ……はやく避けるんだァァァ! 周さぁん」


「わかっ分かってるけど、操作がぁぁぁ!?!?」


「周さんが死ぬぅぅぅ」


 澪桜が縁起でもないことを言った瞬間、ショットガンでヘッドショットされ


 ゲームオーバーした。


「……」


 無駄にリアルなカメラワークと、臨場感のある演出に恐怖し、周が放心状態になっていると


 隣から可愛い声がした。



「さあ、リスタートだよ! レッツ憂さ晴らしだね☆」



(くそう。コノヤロウ。むしろ恐怖で禿げそうだよ)



 嬉しそうに白目をむく天使に周は黙ってデコピンをかました。



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― 新着の感想 ―
読了しました!! これはまさかツシマ&バイオじゃ……(*´ω`*) めちゃくちゃ笑わせて頂きました!! 今日も二人の幸せな日常が拝読できて幸せです!
結婚式までの準備は夏休みの宿題に似ている、と思った澪桜の態度。周さん、こっそりゲームの動作練習するつもりが∑(゜Д゜) 大声出すのもストレス発散ですよねー!白目剥いている彼がちょっとだけ気の毒な面白い…
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