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276話 パワハラ未満☆御影

お仕事話続いててすみません!


とりあえずお仕事パート、今回で一旦終わりです!



「さてと……忙しくなってきたな」


 デスクに腰を落として少し深呼吸をし、内線に手をかけようとした時


「ゆ、結城マネージャー」


 周の頭上から弱々しい声がかかる。

 視線を向けると、小池だった。


 彼の処分は比較的軽いもので

 1週間の出勤停止+3ヶ月の減給と始末書……という結果だった。


 始末書をまだ受け取っていなかった周は微笑む。


「ああ、始末書ですね? 仕上がりましたか?」


「っそれもですが……こちらを受理して頂きたくて」


 震える手で差し出されたのは……退職届。

 周は静かに目を落としたあと、また見上げる。



「……そうですか」



 彼に対する風当たりが冷たくなっていたのは知っていた。

 懲戒処分が確定した後、新規事業開発部全員に通達が一斉に送信されていたから。


 だが、それは自業自得だし、これからの姿勢次第だと話もしていた。

 盗撮の意図も性的なものでもないのだから、心を変えて一から頑張りましょうと。


 ……小池はプライドが高く打たれ弱いところがある。

 周はしばらく小池の返事を待った後、まつ毛を揺らし、受け取った封筒にまた目を落として呟く。


「もう、意思は固いのですか?」



 引き止めはしない。

 それは彼の意思を尊重しない行為だから。


 小池は泣きそうな顔で頭を下げた。



「っ……本当に申し訳ございませんでした。一から……社会人として出直そうと思います」


「分かりました。受理させて頂きます」

 

 勢いよく頭を下げて周のデスクから離れていこうとする小池に声をかけた。




「……小池さん。貴方のプログラミングの技術は素晴らしい。新しい職場でのご活躍、心からお祈りしています」



「っ! ……結城マネージャー、今まで本当にお世話になりました!!」


 小池はくしゃくしゃの笑顔で悲しそうに笑った。

 周は、眉を下げて微笑む。

 小さくなってしまった小池の背中をいつまでも見つめながら。


 神崎の爪痕は未だに深く刻まれ、毒牙にかかった人達の人生の歯車がまたひとつ外れて行った。



 ***



「お疲れ様です。新規事業開発部の結城と申しますが、少し調べたいことがありまして、パソコンをお借りしたいのですが」


「あっ!! ゆ、結城マネージャーお疲れ様です!久我(くが)GMからお聞きしております。ど、どうぞ私のパソコンでよろしければ」


 若い女性社員が3名ほど周の傍でわらわらしていた。

 気が散って仕方ない。


(仕事中でないなら早く休憩行けばいいのに。まぁ、機密情報もあるから心配か)


 そう思い直し周は微笑む。


「お忙しいのに申し訳ありません。では、遠慮なく。10分程で終わると思いますので」


「わっ私達今から休憩なので、お気になさらず!」


「ありがとうございます」


 はぁぁぁぁ。と何か息が漏れる音が。

 だが周は気にせず淡々と事を済ましていく――



 経理部出入口で周は頭を下げた。


「お邪魔しました。大変助かりました」


「とんでもないです! また何かございましたらいつでも!」


「はい。では失礼します」


 周は静かにオフィスへと戻って行った。


「うわぁ……生猛毒の貴公子、初めて見た……」


 経理部のパソコンを貸した女性が呟く。


「だね……。いいなー、あんなマネージャー。うちのと変えてくんないかな」


「シッ! 聞かれるよぉ〜あのパワハラ未満御影(みかげ)に」


 ケタケタと笑いながら変なあだ名で野次った。


「だって超紳士じゃん! ……あれのどこが猛毒なんだろうねー?」


「そおいえば広報部の噂。本当っぽいね。指輪してたし」


「相手どんな人だろー? 少し前同じ部署の社員と噂になってたよね!」


「ああ。あの懲戒処分されたストーカーの人でしょ? ヤバいよね」



「あ、そんなことより早く休憩行こ! 御影が帰ってきたら休憩取り上げられるよ!? 今日は3Fのテラス行くんでしょー」


 ワタワタしていると、経理部のマネージャー、御影が戻って来た。


「げっ」


 思わず声が漏れる。


「……今の、結城マネージャーじゃなかったか? ここに何の用だ……?」


「あ、なんか調べ事があるとか言ってました。少しデータコピーしてUSBに入れて戻られましたよ」


 御影は目を見開き睨みつける。


「馬鹿野郎!!! なんでそんなことさせた!? 機密情報だってあるんだぞ!!」


 ビクッと肩を揺らす女性社員。すぐさまそばに居た社員がフォローに入る。


「ですが、財務部の久我GMから直接指示メールが来ていました! だから指示通りにしただけです」


 御影より上の統括GMからの指示では文句も言えない。

 なにより……


 ギリっと唇を噛んだ御影は静かに呟いた。


「次来たら門前払いしろ」


「で、ですが……」


「うるさい! 経理部の最高責任者である俺の言う事が聞けないのか!? そして話している暇があるならさっさと仕事に戻れ!」


 苛立ちを隠せない御影の怒鳴り声がオフィスの外まで轟いた。


次回はアホなラブコメ回。

いや、周にとっては深刻……?笑


よろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
蜘蛛女さんのメロン攻撃にあったばかりに……。自業自得なんだけど、人生狂っていきますね。周が認めた技術は生かして彼の人生を頑張って生きてほしいと思います。 そして、怪しいヤツはっけーん!!財務GMからの…
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