表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/45

23話 美人とウーパールーパー

今回ちょっと話長めです。


「いっそげぇぇぇぇ!!!」

バタバタ走る澪桜。

器用にバブーシュでアスリート走りする女。

正直、可愛くは無い。


公園が近づく。

走りながら見回してみるが……結城らしき人物は見当たらない。


ただ、入口付近で撮影があってるようだった。

公園には似つかわしくないオシャレな出で立ち。

高身長のスタイルの良い男性がポーズして立っていた。

柔らかめな色味の透けるような茶髪、小さい顔。

海外モデルか?


そう思いながら通り過ぎるが……撮影班がいない。

まぁそんなことはどうでも───


「あっ……安達さん!?」


聞きなれた声が後ろからした。

先程横切ったモデルから声を掛けられたみたいだ。

何で?そう思いながら

ズザザザザザー!!!砂埃を上げ急ブレーキをかける。



……なんか見覚えのある幻想的な顔。

……結城だった。


「結城さん!?!?」


慌てて近づく結城。

「通り過ぎるからびっくりしました。違う人かと……」


(てかなんで俺スルーされたの!?変だったから!?)

混乱する。


「それ私も思いました。何かの撮影なのかと。公園に似つかわしくないモデル立ってたので……まさか結城さんだったとは」


そう言って ははは…… と笑う澪桜。

ポケーっと見つめられ

不思議に思う。


「?」


「一瞬分かりませんでした。お昼に会うのは初めてですので。……身長高かったんですね。俺と頭1つ分しか変わらない。」


「一応これでも168cmあります。

そう言えば結城さんも。こんなに身長高かったんですね!何cmですか?」


「ひゃっ……185……」

そう言って顔を赤くする結城。

目線を逸らされた。

ハッとする。


「というかすっ……すみません!遅刻してしまったのに普通に会話してしまっていました!!!!ごめんなさい!!」


(遅刻の上に普通に話すとか最悪だ私……)

一気に現実に引き戻される澪桜。

謝りもしないで結局公園に到着したのは14:03。

罪悪感でいたたまれなくなる。


「あっ!全然!ていうか俺が早く来すぎてしまっただけで、時間ピッタリですよ!

ただその……前の時と雰囲気が違うので……その……。」



ゴニョゴニョ言いながら

チラチラとこちらを見てくる。


……ん?

そう言えば今日、なんか顔に皮膜感が無い……

ゆっくり顔を触る。

指に何も付かない。


「!?!?

しまったぁぁぁ!!!

顔描くの忘れてたーーーーー!!!」


痛恨の一撃。

澪桜は1番大事な作業を忘れていた。


それは……メイク。

女子力 -1500。


思わず公園の入口付近で突っ立ったまま顔を隠した。

耳は真っ赤だ。


「安達さん!?あの……嫌な意味ではなくて……可愛いなというか……その方がむしろいいと言うか……その。オレ何言ってるんでしょうか」


フォローしたつもりが本音が出てしまい顔面真っ赤にする結城、ワタワタする。


(やばい可愛すぎる……すっぴんめっちゃいい!!!!好みどストライク……天使か?)


目の前の澪桜が可愛すぎて堪らない。

2人ともその場に固まったままだ。


「ありがとう……優しいね結城さん。

化粧しないとウーパールーパーな私を慰めてくれるんだね。

すっぴんで遅刻した女……最低だ……」


自分の失態にフォローまでさせてしまった。

およよよと顔を隠したまま自虐する澪桜。

結城さんごめんよと何度も呟いていた。


「もー!そんなこと本当に無いですってば!……確かに遠くから走ってくる姿は一瞬本気でアスリートのランニングかなとは思いました。走り方がカッコよくて。」


なるべく平静を装い慰める。

向こうから人が走ってきて物凄いスピードで通り過ぎた瞬間

その横顔が美形すぎて心臓撃ち抜かれたのは事実。

幼さと色気を感じ、今も直視はできない。

ガン見したいけど。


「陸上していたからね……」

恥ずかしすぎて無駄な情報に逃げたくなる澪桜。


「なるほど!……て、ほら、ベンチ……行きましょう?ね?」


優しく誘導する結城。

なるべく触れないように気をつけてエスコートした。


「ああああ。ごめんよぉ……」

ベンチにゆっくり腰を落とし、

顔を隠したままの澪桜。


ずっと謝る。

よっぽどすっぴんと遅刻の2連コンボが効いたらしい。


「もう!遅刻してないですって!気にし過ぎ!

それに俺は安達さんのすっぴん好きですよ。自然で」


目線を外し少し頬を紅潮させて言う結城。

素の澪桜を垣間みることが出来て、

思わず口から出てしまう。


気付かれ無い程度の───本音。

口元は緩んでいた。


「……自然……?このままで良い?」


少し顔を上げ結城を指の隙間から見つめた。

目が合ってドキッとしてしまい息を飲んだ。

でも、安心させるため……視線は逸らさない。


「もちろん!むしろそのままがいい。

ね?……あ、そうそう。これ良かったら……もう冷めちゃったかな」


そう言って手に持つ紙袋からスタパのコーヒーを取り出した。


「あ!スタパ!」


隠していた顔をパッとさらけ出し、

ふわふわした緩めのお団子が揺れる。


(っ……可愛すぎる……)


「……カフェラテとチャイティーラテ……どちらがいいですか?こないだアーモンドミルク大好きって言ってたので両方カスタムしてみました。」


それを聞いて一気にテンションが上がる。

自らの顔は……結城さんが良いと言うならもう気にするまい!

切り替えの早い女、澪桜。


「嬉しい!!良いんですか?頂いても!?

そしてなんとセンスのいいチョイス!……チャイティーラテがいいなぁ!その組み合わせ美味しそうっ!」


嬉しそうにはにかんで言った。


「……かな?と思いました。スパイス好きって言ってたし。良かったこれ買ってきて。はい、どうぞ」


「わざわざありがとうございます。頂きます」


そう言って一度口に近づけたが止めて、

膝の上に置いた澪桜。


結城は自分の分を持ち、不思議そうに聞く。


「あれ?どうされましたか?」


「あ、すみません気にしないで先に飲んでてください。……待ってるだけなので。」


「え?」

そう言いながらカフェラテを口にする。


「熱気がまだ危険そうだったので多分まだ飲めそうも無いから……私猫舌なんですよ」


へへへ……と笑う澪桜。


ズギューーーーーーン。

スナイパーで狙われる結城。


「うっぐふぅ!!」


思わず胸を掻きむしる。


「えっ!?どうしました!?むせた!?むせたんですか!?美人なのに!?」


なのにの意味がわからない。

美人て何。


「だっ……大丈夫です……

今飲みましたけどそんなもう熱くないですよ?」


そう言って、

チャイを持ったままずっと待ってる目の前の可愛い生き物を

目に焼き付けようとする結城。


だが破壊力が凄すぎて、

まだ会ってから10分も経ってないのに

クリティカルを受けてしまった


(心臓……もつかな俺)


「そうですか?……じゃあ信じます」


そう言って恐る恐る口を近づける。


「!?」


ビクッ!跳ねる肩。

思わず口を離す。


「だっ大丈夫!?熱かったですか!?」


オロオロする結城。

完全に保護者だ。


「……嘘つき……上唇と舌を火傷した……

なぜ結城さんはこんな熱いの平気で飲めるんだ。原理がわからない……」


そう言ってまたチャイを見つめる。


「ごめんなさい!!あれ?おかしいな……

うん。やっぱそんな熱くない」


確認するがやっぱり適温。むしろ温かめで美味しい温度。

それを見て澪桜は言う。


「……何故だ……なぜ飲み物のサイズやミルクはカスタム出来るのに温度はカスタムしてくれないんだ……

“ぬるい”があってもいいだろうに……」


ぬるい!?いるそれ!?

すぐ常温じゃん!!

と思わず笑ってしまう結城。


「なんか……あれらしいですね。猫舌ってようは飲み方の問題。舌の動かし方のせいとか言ってましたよ、テレビで」


「舌の動かし方?……なるほど」


そう言って結城が飲むのを凝視する。

思わず吹き出しそうになる結城。


「がっ……ガン見はやめてください……飲めない」


「だって……動きを観察しようと思ったんですよ……」


「舌の動き透ける体してませんよ」


笑って眉を下げた。

それはそうだと澪桜は思考する。


(また何か考えてる?)

澪桜は見ていて飽きない。そう思う結城。


「そのテレビ、ちゃんと舌の動きを分かりやすくレクチャーしてくれたら良かったのに。そしたら結城さんに口頭で教えてもらえたのに。」


「……俺にはそんな口頭で伝える技術はないですよ。」

普通にツッコんだ。


「だって!生まれた時からこの体しか使った事ない!この舌の動かし方しか知らない!テレビめ分かったような事を宣いよって!!!猫舌になってからものを言え!!」


恨みの矛先がテレビに向かう

飲みたすぎるチャイを天に掲げプルプル震えている。


「……そしてもう絶対大丈夫ですよそれ。

だって俺のめっちゃぬるいもん。」


天に掲げたチャイに向けて指を指した。

澪桜にちょっとそれ貸してと言い、

一応触ってみる。


……やっぱぬるい。


また澪桜はブツブツ言いながら

恐る恐る口をつける。


「この……飲み口がね……狭いのがまた意味がわからんのですよ……

これじゃ熱気が逃げないし、外すと付けるの難しい……ゴクッ

あ!!!本当だ適温!」


「ね?今度こそ大丈夫だったでしょ」


何故か得意げな結城。


「そして何これ!?もの凄く美味しい!

結城さんも飲んでみます?

……て、あ!すみません、口付けちゃったからだめだ。ははは、失敬失敬」


オッサンのような動きなのに言う事が衝撃すぎた。


ズギューーーーーーン!!!!!

本日2度目のスナイパーライフル。


「うごふぉっ……」


また胸を掻きむしる。


(自然にかっ……間接キスしようとするとはっっっ

あわよくば飲みたい……飲みたいけど……言うと変態……)


スマートに

“俺そんなの気にしませんよ、1口もらっても?”

て言えば良かった……でももう言える雰囲気じゃない……


一世一代の好機を逃す結城。

人生初の間接キス……見送りだ。


「……あはははは!!

そんなこっち飲みたかったですか??じゃあ次は私がご馳走しますよ!!

……にしても

結城さんて思ってたより変な人ですね!

ものすごく変!!!美人だけど!!」


ニコニコ笑いながら言う澪桜。

悪意の無い直球の暴言に

結城は瀕死の重症を負った。


「だけどの意味がわからない……」


クソっ!次こそはっ……絶対に言ってやる

と心に決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ