20話 検索
今回は少し長めです。
後半は澪桜のキモい趣味トーク、被害者は結城さんです(笑)
※寄生虫の話が苦手な方は、後半はスキップ推奨です。ごめんなさい。
煌々とブルーライトを浴び
パソコンの画面をひたすら睨む男性がいた。
とても真剣に……何かを検索している。
卑猥なものでは無い、ちなみにね
彼は時折スマホを気にして何か通知があったら慌ててそちらのブルーライトに釘付けになる
『安達さんの肩凝りが心配ですね。少しレス、控えた方がいいかな?
続きは電話でお話しましょうか?
……安達さんのご都合がよければですが、いかがでしょうか?』
行動とは全く逆の内容。
LINUも楽しいが……できれば電話したい。
毎回電話誘う度に未だに緊張する。
(これでよし……自然かな……)
すると澪桜からすぐ返信が来た
『肩凝りめっちゃ弄られる笑
そうですね、この位なら全く問題ないですが初めの頃はレスが1日200位ありましたからね!
いやぁ海外のお話面白いです!イギリスのお話とても新鮮でした。もっと聞きたいです。
私はご飯食べてからお風呂入ってきますのでその後なら何時でも大丈夫ですよ!上がったらLINUします』
だいぶ打ち解けてきたおかげか、砕けた感じで返すようになった澪桜。
仲良くなれた気がして嬉しい。それになにより……
風呂……。
安達さんの裸……。
一人妄想する。
はっ!!!!
ダメだダメだ!!!何考えてる俺!!!
想像するな!!!
まだ2回しか会ったことないのに!!
一呼吸おいて自分を落ち着かせる
……明日もし会えたらたくさん話ししたいな
お昼の安達さん……きっとキラキラして綺麗だろうな
背はどのくらいかな?
あの日は終始緊張しすぎてよく覚えていない。
小柄っぽい気がしたけど。
俺がデカイから身長差エグくなるかな。
でもそれはそれで激烈可愛い……
思考加速しているのかと思うほど一瞬で頭をグルグル駆け回る
恋する男の煩悩が。
(いけないいけない!また脱線した。)
意識をまたパソコンに戻す
「……早く自然な口実を探さなくては」
カタカタと慣れた手つきでキーボードを打ち
カチっとマウスをクリックした。
【気になる女性 昼 会う口実 自然】
検索
……関連は出るが該当なし
【公園 会う 自然 口実】
検索
該当なし
【女友達 会う 自然な口実 】
検索
……方向性が違う
ついでにちょっとこれも。
【気になる女性 嫌われない方法】
検索
(……うん。……あ、しつこいのはだめなんだ
キモがられるのか……でもそれは分かる。
……え?! 質問攻めは重いと思われる!?
俺……今日……物凄く質問しまくってたけど大丈夫だった!?)
余計な検索をしたせいで不安に駆られる結城
今更自分が不自然な質問ばかりしていた事に気付くがもう後の祭り。
【女性に好意があるか チェックリスト】
本来の目的からどんどん脱線し始める。
いや、結城にとっては1番気になること
(……全然当てはまらない……)
悲しくなった
でもまだ2回しか会ったことないのにわかるわけが無い。
そう自分を慰め気を取り直してまた検索する
だが一向に分からない。答えが見つからない
すると
《相手の印象が悪くなる誘い方、ダサい男の誘い方》
という項目が目に入る
恐る恐るクリックした
『無駄に口実付けて会おうとするやつキモい。』
『男なら堂々と誘ってほしい。』
『ついでに〜とか言ってくるやつは最低』
『誘い慣れてる感じがする。』
グッサ!!!!
(そっ……そんなぁぁぁぁ!!!)
クリーンヒットした。
だって何か口実付けて会おうとしてたから。
そうしないとだって……安達さんとこ行くの変じゃない?
その方がキモくない?
ただ会いたいなんて……俺がどう思ってるのかがバレるじゃないか。
安達さんは……人を好きになったことないって山本が言っていた。
だから告白された男と友達になってみたが上手くいかなかったって。
告白すらしてない俺は……安達さんにどう映る?
ポコン
スマホがなった
『お待たせしました。いつでも大丈夫ですのでお待ちしています』
ドキッ!!!!
心臓が跳ね上がる。
答えが何も出ないまま
通話を押す。
『もしもし、こんばんは』
結城にとって極上の癒しの声
「こんばんは、安達さん。今日は大変だったんですね。カビ退治。」
なるべく自然に……ユーモア交えて話し始めた
『そうなんですよ!!!どんなに掃除しても……根っこが……根っこが退治できない!!アルカリ性に弱い性質があるので食酢にクエン酸を混ぜ、そしてそこに片栗粉を混ぜ込んで一撃必殺を狙ったんですが……7割という中途半端な結果になりました』
……化学実験?と思わず吹いてしまった。
でも澪桜は真剣だ。
とりあえずその功績を労うことにした。
「それだけ倒せたら凄いですよ。猛者ですね。」
『……そうですかねぇ……仕方ないこの位で満足するか。ハイターでは倒せないんですよね。結構頻繁にしてるんですけど。建物が古いからでしょうね。』
「なるほど……後はプロフェッショナル用の薬液試すとかですかね。ほら、ホームセンターとかにあるやつ。正しく使わないと危ないけど。」
『それは盲点!試してみます!!』
ふんふんとやる気になる澪桜
いやいや、カビのアドバイスしてどうするよ俺。
と凹む結城
「と……ところで明日はどこの掃除を?
朝からするんですか?それともお昼ご飯食べてから?」
……知らぬ間にまた質問攻めしてる結城。
全く学習してない
『明日はねぇ……換気扇ですね。ラスボスです。速攻で倒したいので朝からしようかなと思ってますよ、午後はのんびりできるように!』
ラスボスて。
そう心の中でツッコミながら笑った。
言動一つ一つが結城の心をくすぐる
「そうなんですね。それは手強そうだ。」
『結城さんは、明日お休みですか?』
澪桜の方から聞いてくれた
それが堪らなく嬉しい。
でも───
「はい。……俺は何も予定無しですよ。」
寂しそうに呟いた。
会いたいけど、誘い方が分からない。
きっと普通の男なら軽く誘えるんだろう。
俺はその術を知らない
「そうなんですね。天気いいですよ?散歩とかしてみては??」
隙だらけの返しに……胸が疼く
「天気いいんだ、じゃあ……そうだな。
……ねぇ安達さん、明日お昼から会いに行ったらご迷惑ですか?
俺の……明日の予定になってもらう事って……出来ませんか?」
『……え?』
はっ!!!
気付いた時にはもう口から零れていた言葉。
慌てて口を塞ぐがもう後の祭り。
「あっ……ちがっ……すっすみません、あのっ!!」
言い訳をしようとした
『なるほど。結城さんは暇を持て余しているということですね?ぼっちで!!!
分かりますよ〜私もぼっちですからね!!!
仕方ない、じゃあ場所は何処にしますか?
換気扇は手強いので余裕を持って……そうですね……2時からとかでもいいですか?』
何故か澪桜にぼっち認定される。
しかも物凄く同情されてる気がした。
「えっ……ぼっちて!……いや、違わないけどなんか屈辱。……ていうか、いいんですか??」
一応確認する。
『え?……はい。問題ないですよ。
で?何処にしますか?待ち合わせ。』
思いの外あっさりとした返答。
呆気にとられた。
あんなに悩んだのは何だったんだろう……。
「じ……じゃあ、あの安達さん家の近くの公園にしませんか?天気いいなら日向ぼっこしたいです。あの公園広くて雰囲気良かったし。」
安達さんが無理なく来れる場所。
不安にならない人目に付く所。
なるべく無理はさせたくない。
初めて二人で会うのだから。
『セロトニンとビタミンD生成ですか!いいですねぇお供しましょう!』
「……セロトニン……」
そんなつもりじゃないのに。
安達さんてなんか基本ズレてない?
……でも嬉しい!!!明日……会えるんだ。
我に返った結城。誰もいない部屋で一人ガッツポーズをした
(ヤバい!!明日何着ていこう!?オシャレしなきゃ!!!)
心の中ではしゃぎ倒した
「……で、何の話をしますか?海外の話は後でたっぷり聞くとして……助走も兼ねて……寄生虫の話でもしますか!ふふふ」
ピタ……
ガッツポーズした手が宙を泳ぐ
「……え?……き……寄生虫!?」
聞きたくない!!なにそれキモイ!!
なんでいきなりそんな話に飛んだ!?
透き通る綺麗な声で結城を魅了しながら
気色悪い内容を口にする澪桜。
「んふふふ。線虫系にしますか?それとも外部寄生虫にしますか??結城さんはどちらがお好みかな?」
(そんな物にお好みなんてないよ!!!!というか種類あるの!?)
ゾワゾワしながら仰け反る結城
「ビギナーから行きます?アニサキス?それともトキソプラズマ?……それともこの世で1番恐ろしい……あ、それはお楽しみに取っておきましょう!」
「お楽しくないんですけど!!それ全く!!寄生虫ビギナーって何!?」
全否定した。
「んもー!!遠慮して!
結城さんって本当に面白い人ですよね☆ではアニサキスから!
どんな生体か話しますね。実はあれ、私たちが感染する段階が成虫ではないんですよ!
なんと!中間幼虫なんです!
実は初期幼虫はオキアミに入るんですよ!
それを鯖やイカなんかが食べてあの中間幼虫になって……」
「あああああああ。……やめてぇぇぇ。……アレ幼虫なんだ……」
(面白い人って言われた……嬉しい。いや嬉しくない……いや、嬉しい?分からん。会話が全く可愛くないのは分かる。そしてちょっと気になるアニサキスの話。……いや、ちがう……キモイ。)
混乱する
結城にとって癒しの時間。
……のはず。
心の底から無駄な知識が今日もまた……増えていく
(とにかく明日……楽しみだなぁ。)
『結城さん!聞いてますか!?』
「あ、すみません。聞いてません。」
この日浮かれる結城を他所に
澪桜の寄生虫トークが延々と続いたという。




