第2話
2話目になります。読み飛ばしご注意を。
この後最終話を投稿します。
気が付くと、千枝利夫は、何も無い白い空間に居た。
そして、普段から持て剰しすぎた時間を潰す為に、流行りのラノベ等も、ウェブ小説等で読み漁っていた、千枝利夫は、自分の置かれている状況を、瞬時に理解する。
「ぐふっ、ぐふっ、ここは……間違いない……」
1人興奮する千枝利夫の耳に、どこからとも無く声が聞こえてきた。
『千枝利夫……千枝利夫……聞こえますか? 千枝利夫』
「聞こえる! 聞こえるぞ! 俺は、死んだんだろ? そして、これから新しい世界へと旅立つ! そうなんだろ?」
『そうです、お前はこれから、記憶を持ったまま、新しい世界へと旅立ちます』
『お前には、1つの特別な能力が与えられます、上手く活用して、より良い人生を、歩んで行きなさい……』
チートの少なさに、憮然とした顔をありありと見せては、居るが、夢にまで見た、異世界転生に、興奮も止まらない。
そして、千枝利夫は誓う……。
次の人生では、必ず、処女の可愛い子と、清い体のまま、結ばれようと……。
そんな誓いを立てていた千枝利夫は、薄れ行く意識のまま、まぶたを閉じた。
『チェリボちゃん、チェリボちゃん、起きて』
女の声と共に体を揺すられていると共に、意識を覚醒して行った千枝利夫は、目を開けて周りの状況を確認した。
「ここは……。」
『あ~チェリボちゃん、良かったわ、目を覚ましてくれて』
どうやら、俺はベッドに寝かされているようだ。
周りを見渡すと、豪華な調度品らしき物に囲まれた部屋の中に居て、天蓋の付いたベッドに寝ている。
『チェリボちゃんは、馬に乗ってて、落馬したのよ、覚えてる?』
そう声を掛けてきた方に顔を向けると……。
何と表現すれば、伝わるのか……。【脂肪の塊】とでも呼べばいいのか、とにかく、とんでもない程に体を膨らませた、二重アゴのブサイクな女が椅子に座っていた。
「な……何だ? コイツは……」
そうして、その脂肪の塊に視線を向けていると、自分の脳内に、ある情報が自然と入ってきた。
【名前】エリザベート・ドーティー(女性)
【年齢】34歳
【職業】アカン国第一王妃
【性交人数】1人(非処女)
「これは……俗に言う、鑑定能力か?」
千枝利夫は、自分に与えられた特別な能力が、異世界ラノベの定番チートである、鑑定である事に喜んだ。
そして、転生した自分自身の事を把握する為に、自分で自分を鑑定してみる。
【名前】チェリボ・ドーティー
【年齢】14歳
【職業】アカン国第一王太子
【性交人数】0人(童貞)
自分が、1つの国の王太子、次の国王に生まれた事に、喜び、隣に座っている豚女が、自分の母親である事を認識した。
「お母様、大丈夫です……心配させてしまいましたね」
そう豚女に声を掛けると、涙を流し喜んでいた。
千枝利夫改めチェリボは、その姿を見て、心の中で思った……。
「泣くな、醜い顔が、更に酷くなる」
『明日は、チェリボちゃんの、15歳の誕生日、そして将来の妃選定の大事な儀式ですよ、その前日に馬から落ちて意識が無いなんて、聞かされて……母は……』
「妃って要するに将来の嫁って事だよな?
国の王太子ともなれば、沢山の女の中から、選びたい放題だな。
側室なんて物も出来るかもな……そうなりゃハーレムも夢じゃない訳だ」
チェリボは、こんな恵まれた、環境に転生させてくれた事を神に感謝した。
そして翌日……
チェリボは、謁見の間の一段高い場所にある、3つ並ぶ椅子の内の1つに座って、目の前に立つ、数人の、肉の塊を、白けきった目で眺めていた。
先程からずっと目の前に並ぶ、肉の塊達を鑑定し続ける。
【名前】○×△
【年齢】14歳
【職業】○○公爵長女
【性交人数】0人(処女)
「豚……」
【性交人数】0人(処女)
「デブ……」
【性交人数】0人(処女)
「オーク……」
『チェリボよ、今回のその方の妃候補達じゃ』
隣の一際豪家な椅子に、腰を下ろしている自分のこの人生での、父親、この国の国王の放った言葉に、チェリボは、思いっきり顔をしかめた。
「この中から選ぶのかよ……」
チェリボは、日本に住んでた頃の記憶を有している。
故に、女性の好みも変わらない。可愛くて、スリムな女性が好みだった。目の前に並ぶ、妃候補は、いずれもチェリボの好みからは、かけ離れ過ぎている。
ふと……チェリボが、謁見の間の隅に並んでいる、数人の少女達が居る事に気付いた。そして、その少女達の顔を見た時に、チェリボは思った。
「何だよ……肉の塊しか居ないのかと思ってたら、可愛い子もちゃんと居るじゃねぇかよ」
そして、チェリボは、また同じように、隅に並んでいる少女達を、1人1人、鑑定していった。
【性交人数1人(非処女)
「くそ! ビッチかよ!」
【性交人数5人(非処女)
「こいつも、ビッチ」
【性交人数1人(非処女)】
「ビッチ……」
少女達は、全員が、男性との性行為の経験があった。
普通の日本人の千枝利夫と同年代の感覚ならば、決して、チェリボが言うような【ビッチ】とは呼べない普通の性交人数だ。
しかし……千枝利夫は、日本に生きて居た頃から、こじれるだけ、こじらせてしまっていた。童貞と処女以外は、全て何の価値も無いと思い込んで生きて来たのだ。
そして、チェリボとして転生した後も、心は千枝利夫のままなので、その考え方が、変わる事も無かった。
どうせコイツもビッチなんだろうよ。と諦め気味に最後の処女を鑑定してみると……。
【名前】レイラ
【年齢】14歳
【職業】○○公爵家使用人
【性交人数】0人(処女)
唯一、チェリボが価値があると思う処女の可愛い顔の少女だったのだ。チェリボは、横に立っている近衛騎士をまた呼び寄せて、耳元で囁く。そのチェリボからの指示を聞いた騎士は、チェリボの事を、信じられない物を初めて見たかのように、驚き凝視している。
「何だ? 早く連れてこい」
チェリボは、近衛騎士から自分が今、どう見られているのか。など、まったく意にかえさずに、レイラと言う名前の少女の顔を締まりの無い、気持ち悪い笑顔で見続けていた。
近衛騎士に連れられ、国王と王妃、王太子の前に立たされたレイラは、何か粗相をしたのかと、震えてしまっていた。
「父上! 決めました、俺はこの少女を俺の妃に選びます」
チェリボが、高らかに宣言の言葉を言った途端に、謁見の間に居た、チェリボ本人と、事情の飲み込めていないレイラ以外の全ての人間が、チェリボに注目する。その目は、まるで化け物を見るかのまなざしであった。
国王の言葉により、王太子の妃選びの儀式は、中断された。
そして、そのまま、チェリボは、国王と王妃の私室へと連れてこられた。
『お前は、自分が何を言ったのか分かっているのか!?』
『あぁ……チェリボや……チェリボ……母は悲しい……』
このチェリボとしての人生での両親が、何故にここまで、怒っていて、泣いているのかが理解出来ないチェリボ。
「何が駄目なのでしょうか? あんなに見目麗しい少女を妃にしようとする事の何がそんなに、駄目なのですか?」
その言葉を聞いた、国王と王妃、宰相に近衛騎士団長……
宰相は小さな声で囁いた。
『王太子様が、ご乱心なされた……』
その言葉を聞いた、近衛騎士団長も。
『ご乱心なされたのか?』
そして、実の父親である国王からも。
『チェリボよ……そちは、気でも触れたのか?』
そう言われてしまった。
その日の夜、自分の部屋のベッドに寝転がりながら、あの後、話し合った事を思い出していた。
結果、レイラと言う少女と夫婦になるのなら、王族である事を捨て、平民となって、国から出て行け。
王太子として、この国の次の国王となるのなら、我々が選びに選んだ、令嬢の中から妃を選んで夫婦になれ。とまで、言われてしまった。
折角、苦労無く仕事もしないでも生きて行ける王族として、豚女と夫婦になるか、天使の様なレイラと夫婦になる為に、王族である事を捨て平民として、国を出ていくか。
その2択に悩んだ、チェリボは、何かを閃いたようで、ベッドのシーツを剥がし、部屋の梁にシーツを渡した。
次の日、いつまでも姿を見せない、チェリボを心配した母が、チェリボの部屋を訪ねると、梁に渡したシーツを首に巻いた状態で、既に冷たくなっている、チェリボを見付けた……。




