第三十一話:清掃員のイリア誘拐される
ある日の事。
清掃員のイリアさんが、清掃用具を買いに行ったまま、帰って来ない。
心配していると、イリアさんの悲鳴が頭に響いて来た。
転移者の仕業か。
瞬間移動!
荒地に移動。
この前、逃走した盗賊の残りか。
二十人くらい居る。
「来たな、悪魔の魔法使いのマオ」とボスらしい奴が笑っている。
イリアさんがボロボロにされて、地面に横たわっていた。
私が声をかけても、ほとんど反応が無い。
「俺たち、全員で散々楽しませてもらったんでな。本人も気持ちよくて、何度も失神してたぞ」といやらしく笑うボスの男。
周りの連中も下卑た顔で笑っている。
このろくでなしが。
瞬殺!
ダメだ。
魔法が使えない。
この前のアレクサンドラの反乱の時と一緒だ。
魔法使いが死んだのに、また結界が張られている。
「その剣をこっちへ寄越せ」
私は仕方が無く、魔王の剣を放り投げる。
それと同時に、イリアさんの手足が、転移者どもに叩き斬られる。
血を吹き出しながら、悲鳴を上げて倒れるイリア。
「この外道が!」
私は激怒する。
「何が外道だよ。お前の真似をしただけだろが、瞬殺だ!」
ゲラゲラ笑う盗賊たち。
私を囲んで近づいてくる。
許さん。
袖からナイフを取り出す。
「そんなちっこいナイフでどーすんだ」
私はナイフを投げる。
柄には紐が付いている。
一回転して盗賊、ボスも含めて、十人の首が吹っ飛ぶ。
それを見て、残りは逃げ出した。
一旦、イリアさんの亡骸と一緒に城に戻る。
イリアさんは、私と関わらければ死なずにすんだのか。
秘密警察を潰したのもまずかったか。
いろいろと悩む。
アンナちゃんがやって来て、
「マオちゃんは悪くないよ」と頭をいいこ、いいこしてくれる。
癒される。
「何でマオちゃんはいつも一人で戦いにいくの」
「魔王は一人で戦うものよ」
しかし、どうやら別の魔法使いがいることが確実になったようだ。




