第二十五話:魔王、エスカレーター転生者と会話する
『異世界街道』を歩いている。
坂道をさしかかると、見慣れぬ物体があった。
階段だが、動いている。
これは知っているぞ。
異世界のエスカレーターというものだな。
エスカレーター転生者が話しかけてきた。
「ここは異世界か」
「そうですが、何でこんな機械に転生したんですか。確か電気というものがなければ動かないんじゃないですか」
「神様のはからいで、太陽電池パネルで動くのさ」
太陽電池パネルというものがよくわからないが、
「で、何でエスカレーターに」
「盗撮してたら警官に見つかって、追われて逃げる途中に、トラックに轢かれて死んだからだ」
「盗撮とは何ですか」
「女のスカートの中とかをスマホで撮影することだよ」
なんだ、こいつも変態か。
「エスカレーターになれば、いつも下からスカートの中を覗けるじゃねーか、ウヒヒ。お前も使えよ。坂道を上るとき楽だぞ」
こいつは瞬殺対象かな。
おっと、突然、豚の顔をしたモンスター、オークの大集団が現れた。
百匹はいるぞ。
全員、ブクブクと太っている。
オークたちは、エスカレーター転生者を興味深く観察した後、三匹づつ乗っていく。
「おい、一段二匹までだ、降りろ、豚ども!」とエスカレーター転生者がわめいている。
オークの先頭が上の方まで到達しようかという瞬間、エスカレーターから変な音がした。
ギギギギギ。
逆回転して、オークたちが転げ落ちていく。
「ギャー! 痛いよー! 死にたくないよー!」と悲鳴をあげるエスカレーター転生者。
オークは、全員ゴロゴロと坂道を転げて、どっかへ行ってしまった。
エスカレーターは止まったまんま。
喋らない。
どうやら壊れて、エスカレーター転生者は死んだらしい。
動かないエスカレーターって邪魔ですよね。
なぜか、止まっているエスカレーターを歩こうとすると転びそうになるらしい。
危ないから魔法で消した。
それにしても、なぜ転生したの?




