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第四章 扉の向こう
それから一週間、ふたりは毎日のように図書室で調べ続けた。
ケンジが古文書を解読し、愛子が触れて光らせる。光った箇所だけが読める。愛子が読み上げ、ケンジがノートに書き取る。役割分担は自然に決まった。
ある放課後、愛子はふと手を止めた。
「ねえ、ケンジはなんでそんなに調べたいの?」
ケンジはペンを止めずに答えた。「気になるから」
「それだけ?」
「それだけ、というのは語弊がある」彼はノートから目を上げた。「説明できないことが世界にあるのが、気持ち悪い」
「気持ち悪い、か」愛子は少し笑った。「私はね、怖いんだ。なんで私だけこんな力があるのか」
ケンジは黙った。珍しく、すぐに言葉が出なかった。
「……怖くても、調べるの?」
「うん」愛子は古文書に視線を戻した。「だって、怖いままのほうがもっと嫌だから」
ケンジはしばらく愛子の横顔を見ていた。それから、「そうか」とだけ言って、ノートに向かった。
その夜、夢が変わった。
星が降るのは同じだった。でも今回は、手のひらに集まった星が文字を形作った。読めた。
*——扉は校舎の心臓部にある。満月の夜、星詠みと記録者がともに立つとき、扉は開く。*
愛子は目を覚ました。窓の外を見た。月が丸かった。
*今夜だ。*




