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滅びかけた貧困村から始まった教育革命が、やがて世界文明そのものを変えるまでの物語  作者: 慈架太子


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236.5話 学校建設革命

人口爆発。


それは誰も予想していなかった問題を生み出していた。


飢餓ではない。


病でもない。


戦争でもない。


子供が多すぎるのである。


全世界人口百五十億人。


出生数は毎年過去最高を更新していた。


サンナ・マリン王国。


セレンスキー王国。


海洋連盟。


アルカディア連邦。


魔王領。


竜王領。


悪魔王領。


全ての国で同じ現象が起きていた。


子供。


子供。


子供。


とにかく子供だらけだった。


ある日。


アルカディア連邦中央会議場。


世界規模の会議が開催された。


巨大な魔導映像が空中に浮かぶ。


発表者はセリナだった。


冷静なダークエルフは数字を示す。


「今年の新生児数。」


「二億八千万人。」


会場が静まり返る。


次の数字。


「来年予測。」


「三億二千万人。」


さらに次。


「五年後予測。」


「五億人。」


トミーが頭を抱えた。


「待て。」


「商売人の俺でも笑えねぇぞ。」


「学校足りるのか?」


セリナは即答した。


「足りません。」


「全く足りません。」


会場がざわついた。


食料は足りる。


住宅も足りる。


仕事もある。


しかし。


学校が足りない。


教師がいても建物がない。


教室がない。


机がない。


椅子がない。


運動場がない。


これが新しい問題だった。


エレノア・グランディア侯爵が笑った。


「なんとも贅沢な悩みですね。」


「昔は食べる物が無いと悩んでいたのですから。」


その言葉に全員が頷く。


確かにそうだった。


貧困。


病。


飢餓。


奴隷商。


盗賊。


かつてはそんな問題ばかりだった。


今は違う。


教育施設が足りない。


それだけ世界が豊かになったということだった。


マイケルが立ち上がる。


教導スキル覚醒者。


世界最高峰の教師。


彼は静かに言った。


「なら建てましょう。」


「学校を。」


「世界中に。」


その瞬間。


会場の空気が変わった。


誰も反対しない。


なぜなら答えは単純だったからだ。


建てればいい。


それだけだった。


ロバートが豪快に笑う。


「いいじゃねぇか!」


「兵士を出す!」


「工兵部隊を総動員だ!」


ティグリスも立ち上がる。


「土魔法使いも出す。」


「基礎工事は一日で終わる。」


ガイルは腕を組んだ。


「建物は任せろ。」


「構造理解持ちを十万人集める。」


「設計図も量産する。」


ベルンも笑う。


「机と椅子だな。」


「鍛冶師も総動員だ。」


リーザ。


リーブ。


リーゼ。


三人も頷く。


「制服も作ります。」


「教材も作ります。」


「布はいくらでもあります。」


紡織産業は既に世界最大級だった。


問題はない。


エルナが優しく微笑む。


「保育施設も必要ですね。」


「小さい子供も増えています。」


マイケルが頷く。


「学校だけじゃありません。」


「保育園。」


「幼児教育施設。」


「職業学校。」


「研究機関。」


「全部必要です。」


教育国家。


それが世界の方向性だった。


数日後。


世界中で建設ラッシュが始まった。


土属性魔法。


石属性魔法。


重力魔法。


金属魔法。


空間魔法。


あらゆる技術が投入される。


広大な平原。


荒野。


森林跡地。


海上都市。


海底都市。


空中都市。


あらゆる場所で学校が建設された。


巨大な校舎。


巨大な図書館。


巨大な運動場。


巨大な研究棟。


教師達は驚いた。


建設速度が異常だったのである。


午前。


更地。


午後。


基礎完成。


翌日。


校舎完成。


三日後。


授業開始。


昔なら考えられない。


しかし現在の世界では可能だった。


全世界百五十億人。


全員が魔法を使える。


全員が教育を受けている。


全員が技術者でもある。


だから建設速度も異常になる。


海洋都市アクアマリナ。


巨大な海中学校が完成した。


ルミナが子供達を案内する。


「ここが新しい学校です。」


イルカ族の子供達。


人間の子供達。


獣人の子供達。


全員が歓声を上げた。


「広い!」


「すごい!」


「図書館がある!」


「研究室もある!」


笑顔が溢れる。


海底都市ネプトリアでも同じだった。


オルカは感慨深そうに呟く。


「昔は読み書きできる者が少なかった。」


「今は全員が学者になれる。」


ガルシャも笑った。


「商人としては最高だ。」


「頭のいい客が増える。」


教育は経済を育てる。


それを彼らは理解していた。


サンナ・マリン王国。


女王マリン・アルベルトも視察していた。


新しい学園都市。


人口百万人。


学校数二千校。


教師三十万人。


世界最大級の教育都市だった。


子供達の笑い声が響く。


女王は微笑んだ。


「美しいですね。」


「本当に。」


隣のアルベルトも頷く。


戦争ではない。


征服でもない。


略奪でもない。


学校が国の誇りになる。


そんな時代が来たのである。


その頃。


アルカディア連邦では。


新たな計画が始まっていた。


セリナが巨大な地図を広げる。


「学校だけでは足りません。」


「教師育成都市を作ります。」


マイケルが頷く。


教導スキル。


教師。


教育。


それらをさらに増やす。


教師が教師を育てる。


その教師がまた教師を育てる。


無限に近い増殖。


教育の連鎖だった。


アリアは静かに言った。


「文明は知識で成長する。」


「知識は教育で伝わる。」


「教育は教師が支える。」


誰も異論を唱えない。


それは既に証明されていた。


貧困村から始まった小さな変化。


それが世界を変えた。


環境が人を育てる。


教育が才能を開花させる。


人材こそ国家。


その思想は今や全世界の常識になっていた。


そして。


学校建設革命はまだ始まったばかりだった。


新しい都市。


新しい学校。


新しい教師。


新しい子供達。


世界はさらに成長していく。


百五十億人の文明は。


次の時代へ向かって歩み続けていた。







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