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滅びかけた貧困村から始まった教育革命が、やがて世界文明そのものを変えるまでの物語  作者: 慈架太子


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237話 異界移住計画

人口は増え続けていた。


全世界人口百五十億人。


出生数は毎年増加している。


結婚ブーム。


出生ブーム。


学校建設革命。


教育都市建設。


全てが順調だった。


しかし。


会議の議題には新しい問題が上がっていた。


「住宅地が足りません。」


セリナが静かに言った。


巨大な魔導映像が空中へ浮かぶ。


世界地図。


人口密度。


住宅需要。


農地需要。


全てが表示される。


人口増加は良い。


未来がある証拠だ。


だが。


都市によっては土地不足が始まっていた。


サンナ・マリン王国。


海洋都市アクアマリナ。


アルカディア連邦中央都市。


人気都市には人が集まる。


当然の結果だった。


マリン・アルベルト女王が口を開く。


「新都市建設では足りませんか?」


セリナは頷く。


「足ります。」


「ですがもっと良い方法があります。」


巨大な地図が切り替わった。


会場が静まる。


そこに映し出されたのは。


異界。


無限に広がる大地だった。


誰もが知っている。


誰もが行ける。


誰もが住める。


現在の世界最大の未開発地帯。


異界。


トミーが笑う。


「そうだよな。」


「土地が無いなら異界へ行けばいい。」


その言葉は単純だった。


そして正しかった。


異界は広大だった。


世界最大の農地候補。


世界最大の住宅候補。


世界最大の工業地帯候補。


そして。


まだ開発率一パーセント未満。


会場から驚きの声が上がる。


「そんなに残っているのか?」


アリアが答えた。


「残っています。」


「百年研究しても終わらないほど。」


「千年開発しても余るでしょう。」


異界は広すぎた。


大陸が存在する。


山脈が存在する。


海が存在する。


巨大河川が存在する。


森林もある。


草原もある。


砂漠もある。


雪原もある。


そして。


魔王国領。


悪魔領。


竜族領。


それぞれの巨大国家も存在していた。


魔王が笑う。


「我らの領土も余っておる。」


悪魔王も頷く。


「好きに使えばいい。」


竜王は豪快に笑った。


「人間は面白いな。」


「土地不足で悩むとは。」


竜族からすれば理解できない。


彼らの領域は広大すぎる。


人口密度が極端に低い。


使われていない土地の方が圧倒的に多いのだ。


ロバートが腕を組んだ。


「なら決まりだな。」


「移住計画を始める。」


反対者はいなかった。


むしろ歓迎だった。


異界には可能性しかない。


農業革命。


工業革命。


教育革命。


全てを最初から設計できる。


マイケルが言う。


「学校も最初から建てられます。」


エルナも微笑む。


「病院もですね。」


ガイルが笑う。


「都市設計は任せろ。」


ベルンも頷く。


「鍛冶師も行く。」


リーザ。


リーブ。


リーゼ。


三人もやる気満々だった。


「紡織工場を作ります。」


「最初から理想的な配置に。」


「物流も考慮できます。」


まさに白紙の世界だった。


トミーは巨大な計画書を広げる。


商売人の目が輝いている。


「住宅地。」


「商業区。」


「農業区。」


「工業区。」


「教育区。」


「全部最初から設計できる。」


商人にとって夢だった。


後付けではない。


最初から理想都市を作れる。


そんな機会は普通存在しない。


セリナが続ける。


「第一期移住計画。」


「移住希望者一億人。」


会場がざわついた。


一億人。


国家規模だった。


しかし誰も驚かない。


今の世界では珍しくない。


教師百五十億人。


教導スキル百五十億人。


全員が教育を受けている。


だから移住も計画的に行える。


ミシェルが空中へ飛び上がる。


巨大な映像が展開される。


異界の風景。


広大な草原。


巨大河川。


豊かな森林。


無限に近い土地。


会場から感嘆の声が漏れた。


「すごい……。」


「まだこんなに残っているのか。」


「開発し放題じゃないか。」


その通りだった。


土地不足。


住宅不足。


そんな問題は存在しなかった。


世界が狭かっただけ。


異界を含めれば。


土地は無限だった。


魔王が笑う。


「我が国にも来るが良い。」


悪魔王も続く。


「悪魔領も歓迎する。」


竜王は豪快だった。


「竜族領にも都市を作れ。」


「面白そうだ。」


種族の壁は既に存在しない。


人間。


獣人。


エルフ。


ドワーフ。


魔族。


悪魔。


竜族。


全員が同じ会議で笑い合う。


かつてなら想像もできない光景だった。


環境が人を育てる。


教育が偏見を消す。


その結果が今だった。


そして。


世界最大規模の移住計画が始まる。


一億人。


十億人。


百億人。


未来にはさらに多くの人々が異界へ向かうだろう。


土地はある。


食料もある。


学校もある。


仕事もある。


未来もある。


だから人は進む。


新しい世界へ。


新しい都市へ。


新しい文明へ。


異界開発時代。


それは人口爆発の先に生まれた。


新たな文明革命の始まりだった。






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