表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅びかけた貧困村から始まった教育革命が、やがて世界文明そのものを変えるまでの物語  作者: 慈架太子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

236/290

210話 海底都市計画

海底鉱脈の発見は、世界の常識を変えた。


鉄。


銅。


銀。


金。


魔鉄。


ミスリル。


高純度魔石。


その埋蔵量は莫大だった。


海洋連盟とアルカディア連邦は共同で開発を進めていたが、ある日、海洋都市アクアマリナで開かれた会議において、一つの提案が出された。


発言したのはイルカ族代表ルミナだった。


「鉱脈だけじゃありません」


「私たちは海そのものを利用できます」


会議室が静まり返る。


巨大な海図が広げられていた。


深海地形。


海流。


魔力流動。


海底火山。


鉱脈。


様々な情報が描かれている。


ルミナは海図の中央を指差した。


「ここです」


深海平原。


巨大な海底盆地。


地震も少ない。


海流も安定している。


さらに近隣には鉱脈。


魔石鉱床。


深海植物群生地。


食料資源も豊富だった。


オルカが腕を組む。


「海底都市か」


ガルシャも笑った。


「面白い」


セリナは即座に計算を始めていた。


物流。


建築費。


維持費。


防衛。


人口。


全てを組み立てていく。


やがて彼女は頷いた。


「可能です」


その一言で空気が変わった。


アルカディア連邦は不可能を不可能のまま放置しない。


教育する。


研究する。


試す。


改善する。


そして実現する。


それがこの国だった。


こうして。


アルカディア連邦と海洋連盟は共同事業を開始する。


海底都市計画。


後に世界史を変える巨大事業だった。


まず始まったのは設計だった。


設計者は数万人。


建築士。


魔道具士。


鍛冶師。


土木技師。


教師。


研究者。


全員が意見を出す。


ソートグラフィーによる念写技術も活躍した。


構想が映像化される。


誰でも理解できる。


改善案も共有される。


結果として。


設計速度は異常だった。


一週間で基本設計。


一か月で詳細設計。


三か月で実行計画。


普通の国家なら数十年かかる。


アルカディア連邦では違う。


人材がいる。


教育がある。


だから速い。


都市名も決まった。


海底新都市。


ネプトリア。


海と陸を繋ぐ象徴。


そんな意味が込められていた。


建設開始の日。


数百万人規模の作業員が集まった。


全員が教育を受けている。


全員が魔法を扱える。


全員が仕事を理解している。


まず行われたのは地盤整備だった。


土魔法部隊が動く。


海底岩盤を調査。


地震魔法部隊が振動解析。


重力魔法部隊が安定化。


鉄魔法部隊が補強材を形成。


全てが同時進行だった。


海底は静かだった。


だが作業は凄まじい。


巨大な平原が形成されていく。


そこへ建築部隊が投入される。


石壁。


鉄骨。


魔鉄柱。


透明水晶壁。


巨大構造物が次々と建設される。


海中呼吸装置がある。


海中作業に問題はない。


さらに。


魔力循環技術も利用された。


都市全体に魔力流路を敷設する。


まるで血管だった。


魔力が流れる。


照明。


空調。


浄水。


通信。


防壁。


全てを支える。


海洋連盟の技術も活躍した。


シャチ族。


イルカ族。


サメ族。


彼らは海を知っている。


海流の変化。


深海生物。


地形。


危険区域。


全て把握していた。


オルカは巨大な海底図を見ながら指示する。


「その先は深海魔物の通り道だ」


「避けろ」


建築部隊は即座に修正する。


無駄な衝突を避ける。


環境を壊さない。


共存を選ぶ。


これも教育の成果だった。


半年後。


都市の骨格が完成した。


巨大なドーム群。


水晶壁に囲まれた街区。


中央広場。


研究区画。


住宅区画。


商業区画。


農業区画。


全て整備される。


農業区画は特に注目された。


普通なら海底で農業など不可能。


しかしアルカディア連邦は違う。


土魔法。


光魔法。


水魔法。


全てが利用できる。


人工太陽が作られた。


巨大な光魔法装置。


昼夜を再現する。


根菜が育つ。


葉物が育つ。


果樹まで育つ。


マーガレットが視察に訪れた時。


彼女は目を丸くした。


「海底なのに畑があるの?」


セリナが頷く。


「あります」


「むしろ環境制御できます」


温度。


湿度。


光量。


害虫。


病気。


全て管理できる。


収穫量は地上以上だった。


さらに漁業区画も作られた。


魚類養殖。


海藻栽培。


貝類養殖。


巨大な水産施設。


海洋連盟の技術が最大限活かされる。


ルミナは笑顔だった。


「私たちの子供たちも安心して暮らせる」


その言葉には重みがあった。


海は豊かだ。


しかし危険でもある。


嵐。


魔物。


海流。


事故。


数多くの脅威が存在する。


海底都市は安全だった。


防壁。


魔法。


教育。


全てが揃っている。


だから未来がある。


一年後。


人口移住が始まった。


海洋連盟から数十万人。


アルカディア連邦から数十万人。


研究者。


職人。


商人。


教師。


学生。


様々な人材が集まる。


新しい学校も作られた。


教師数は莫大だった。


教導スキル覚醒者も数え切れない。


教育水準は高い。


子供たちは種族を超えて学ぶ。


シャチ族。


イルカ族。


サメ族。


ヒューマン。


エルフ。


ドワーフ。


魔族。


獣人。


全員が同じ教室で学ぶ。


かつての世界では考えられなかった光景だった。


マイケルが視察に訪れた時。


授業を見学した。


講師は若いイルカ族教師。


生徒たちは真剣に聞いている。


海流学。


深海生態学。


魔法工学。


鉱物学。


学問の幅も広い。


マイケルは微笑んだ。


「本当に育ってるな」


かつて貧困村だった世界。


教育がなかった世界。


それが今。


海底都市で未来を教えている。


環境が人を育てる。


ケルナインが残した思想は生きていた。


そして二年後。


海底都市ネプトリアは完成した。


人口三百万人。


巨大な海底国家都市。


研究。


産業。


教育。


物流。


全てが機能している。


完成記念式典の日。


オルカ。


ルミナ。


ガルシャ。


セリナ。


トミー。


マイケル。


多くの代表者が集まった。


巨大な透明ドームの外では魚群が泳いでいる。


発光魚が光る。


幻想的な景色だった。


オルカが静かに語る。


「昔は海を生きる場所だと思っていた」


「今は違う」


「海は未来だ」


会場から拍手が起こる。


ルミナも続ける。


「私たちは助けられた」


「でも今は違う」


「共に作った」


誇りがあった。


誰かに与えられた未来ではない。


自分たちで作った未来だった。


セリナは窓の外を見る。


深海。


魚群。


巨大な都市。


その向こうにはまだ未知が広がっている。


深海火山。


未発見資源。


新種の魔物。


新しい学問。


新しい産業。


可能性は無限だった。


アルカディア連邦と海洋連盟。


二つの共同体は。


陸だけではなく海までも生活圏に変えた。


それは支配ではない。


略奪でもない。


教育による発展だった。


人材が育つ。


環境が人を育てる。


その積み重ねが。


海底都市ネプトリアという奇跡を生み出したのである。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ