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滅びかけた貧困村から始まった教育革命が、やがて世界文明そのものを変えるまでの物語  作者: 慈架太子


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129話 将軍スキル覚醒者続々

連合圏の拡大は止まらなかった。


二十万人の難民受け入れ。


三十万人を超えた人口。


農業革命による圧倒的食料生産。


紡織産業の発展。


教育制度の完成。


治療網の整備。


かつて盗賊に怯えていた貧困村は、もはや巨大な国家連合へ変貌していた。


その変化は戦場にも現れていた。


ロバート元帥率いる連合軍。


エミリー軍。


ソフィア軍。


ガイル軍。


それぞれが独立して機能する軍団へ成長していた。


そして。


ある日。


ソフィア軍訓練場。


巨大な演習場では五万人近い兵士達が訓練を行っていた。


火属性。


水属性。


風属性。


土属性。


光属性。


闇属性。


さらに超能力。


訓練生達は実戦形式で能力を磨いている。


その中央。


巨大な斧槍を担ぐ女がいた。


ソフィア。


鬼人族。


かつて食えない冒険者だった女。


今では五万人を率いる軍団長。


「突撃班前進!」


怒号ではない。


よく通る声だった。


兵士達が動く。


統率は乱れない。


土壁が築かれる。


風が流れる。


索敵隊が動く。


後衛が支援する。


まるで巨大な生き物だった。


その時だった。


ソフィアの身体が光った。


黄金色。


暖かな光。


兵士達が驚く。


鑑定士達が息を呑む。


「将軍スキル……」


誰かが呟いた。


ソフィア自身が一番驚いていた。


「私が?」


能力欄が変化する。


将軍スキル


覚醒。


・重突撃補正


・前衛育成


・士気上昇


・恐怖抑制


・身体強化共有


・集団突破補正


・戦場安定


・新人育成補正


ソフィアは言葉を失った。


思い出したからだ。


昔の自分を。


依頼を失い。


仲間を失い。


食う金も無く。


野宿していた冒険者だった頃。


誰も育てられなかった。


自分すら守れなかった。


それが今では。


五万人を育てている。


五万人を守っている。


将軍とは。


強い者ではない。


人を育てた者だった。


・・・


その隣。


カタリナも訓練を見守っていた。


巨大なグレイブを肩に担ぐエルフ。


筋骨隆々。


戦闘狂と呼ばれた女。


だが今は違う。


彼女もまた教師だった。


槍術。


近接戦。


身体強化。


前衛運用。


数万人の兵士を鍛え上げていた。


その身体が光る。


黄金色。


兵士達がざわつく。


カタリナが目を見開く。


「私もか。」


将軍スキル。


覚醒。


・近接戦術補正


・槍兵統率


・身体強化共有


・前衛育成


・戦技教育


・白兵戦補正


・突撃隊育成


・実戦経験継承


カタリナは笑った。


豪快に。


「なるほどな。」


「育てた数か。」


かつてなら理解できなかった。


戦うことしか知らなかったから。


今は違う。


教える喜びを知った。


成長を見る喜びを知った。


だから将軍になった。


・・・


さらに別の場所。


ガイル軍本部。


巨大工房だった。


普通の軍とは違う。


鍛冶師。


建築士。


工兵。


土属性魔法師。


全てが集まっている。


戦うだけの軍ではない。


造る軍だった。


城壁を造る。


橋を造る。


道路を造る。


砦を造る。


農地を造る。


国家そのものを造る軍団。


その中心。


ドワーフの戦士。


ガイルがいた。


巨大な戦槌を肩に担ぐ。


職人でもあり戦士でもある。


彼は兵士達へ指導していた。


「壁は厚くしろ。」


「構造を理解しろ。」


「支える力を考えろ。」


「強さは理屈だ。」


土属性魔法師達が頷く。


若い工兵達が学ぶ。


その瞬間。


ガイルの身体が光った。


黄金色。


工房全体が静まり返る。


「おお?」


本人が一番驚いていた。


鑑定結果が表示される。


将軍スキル。


覚醒。


・工兵統率


・建築補正


・土属性強化


・構造理解共有


・城壁建設補正


・新人職人育成


・防衛設備強化


・兵站補正


ガイルは大笑いした。


「戦うだけが軍じゃねぇ。」


その通りだった。


連合軍は変わった。


兵士だけではない。


教師。


鍛冶師。


農民。


工兵。


治癒師。


全員が国家を支える。


だから強い。


・・・


その報告はロバート元帥の元へ届く。


元帥執務室。


報告書を読み終えたロバートは静かに笑った。


「当然だな。」


側にいたセリナも頷く。


「ええ。」


「人を育てた結果です。」


それだけだった。


不思議ではない。


奇跡でもない。


才能でもない。


環境だった。


教育だった。


積み重ねだった。


・・・


窓の外。


広大な連合圏。


学校。


工房。


農地。


治療院。


訓練場。


至る所で人が学んでいる。


至る所で人が育っている。


かつての貧困村は存在しない。


病に苦しむだけの土地もない。


教育を受けられない子供もいない。


だから人が育つ。


育った人間が次を育てる。


その連鎖は止まらない。


元帥一人。


将軍八人。


教師数六万人以上。


教導スキル覚醒者四万人以上。


三十万人の民。


そして。


まだ成長は終わらない。


環境が人を育てる。


その証明が。


連合圏そのものだった。







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