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滅びかけた貧困村から始まった教育革命が、やがて世界文明そのものを変えるまでの物語  作者: 慈架太子


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128話 将軍スキル覚醒者続々

春だった。


かつて貧困村だった土地は、


今では巨大な連合圏へ変わっていた。


畑が続く。


工房が続く。


学校が続く。


治療院が続く。


人が働き、


人が学び、


人が育つ。


そんな光景が地平線まで広がっている。


二十万人の難民受け入れから半年。


連合圏の人口は三十万人を超えていた。


驚くべきことに、


混乱は起きていない。


食料は足りる。


住居も足りる。


教師も足りる。


治癒師も足りる。


なぜか。


教育があるからだった。


環境があるからだった。


人材が人材を育てる仕組みが完成していた。


その中心にいたのは、


もはやケルナインではない。


ロバートだった。


エミリーだった。


マイケルだった。


彼ら自身が、


新しい世代を育てていた。


・・・


連合軍本部。


巨大な会議室。


ロバートの前に、


各軍団長が集まっていた。


エミリー。


ミシェル。


ティグリス。


リーヴ。


リリー。


誰もが連合軍の中核である。


ロバートは資料を見る。


「西部の新移住区。」


「人口三万八千。」


「戦闘訓練修了率九十三%。」


「魔法覚醒率百%。」


セリナが報告する。


エミリーが笑う。


「十分だね。」


昔なら信じられない数字だった。


村人達は戦えなかった。


魔法も使えなかった。


盗賊が来れば逃げるしかなかった。


今は違う。


農民も戦える。


職人も戦える。


教師も戦える。


そして何より。


自分で考えられる。


・・・


その瞬間だった。


エミリーの身体が光る。


暖かな金色。


狼獣人の耳がぴくりと動く。


鑑定を使ったマイケルが息を呑む。


「将軍スキル。」


会議室が静まった。


エミリー自身も驚いている。


するとさらに。


彼女の周囲に立つ部下達も光り始めた。


ミシェル。


リーヴ。


ティグリス。


リリー。


全員だった。


・・・


将軍スキル


覚醒。


・・・


エミリーが苦笑する。


「何だいこれは。」


ロバートが笑った。


「当然だろ。」


元帥の声は静かだった。


「お前達は何万人育てたと思ってる。」


その言葉で全員が理解する。


将軍とは。


強い戦士ではない。


多くの人を導いた者。


多くの人を育てた者。


多くの人を守った者。


その証だった。


・・・


エミリーの瞳に表示される。


将軍スキル。


・部隊統率


・士気上昇


・新人育成補正


・恐怖耐性付与


・民兵教育補正


・索敵連携補正


・集団戦闘補正


・生活安定補正


・・・


エミリーは思わず笑った。


昔の自分なら考えられない。


戦うことしか知らなかった。


守ることしか知らなかった。


だが今は違う。


育てることを知っている。


・・・


ミシェルも将軍スキルを確認する。


鳥人族の索敵教師。


彼女の能力は少し違った。


・広域索敵


・情報共有


・伝令強化


・偵察育成


・飛行部隊統率


・危険察知共有


索敵特化だった。


彼女らしい。


・・・


リーヴも同じだった。


狼獣人の戦士。


奴隷商に村を奪われた少女。


今は一万人を率いる指揮官。


・前衛育成


・近接戦補正


・士気上昇


・恐怖抑制


・戦闘継続補正


・集団訓練補正


・・・


ティグリスもまた。


・身体強化補正


・重装歩兵統率


・土属性強化


・耐久力上昇


・防衛戦補正


・新人戦士育成


・・・


リリーも同じ。


長弓隊指揮官。


・遠距離補正


・命中率向上


・風属性強化


・索敵連携


・狙撃育成


・後衛統率


・・・


全員違う。


全員同じ。


共通するものは一つ。


育てた人数だった。


・・・


ロバートが立ち上がる。


「理解したか。」


誰もが頷いた。


将軍スキルは強者の証ではない。


教育者の証だ。


指揮官の証だ。


人を育てた証だ。


・・・


窓の外。


連合軍訓練場。


新たな難民達が訓練している。


農民だった者。


鍛冶師だった者。


孤児だった者。


病人だった者。


誰もが学んでいる。


誰もが成長している。


・・・


その姿を見ながら、


エミリーは小さく呟く。


「環境が人を育てる。」


昔、


ケルナインが言った言葉だった。


ようやく分かった気がした。


人は弱い。


才能も埋もれる。


だが。


環境が変われば。


教育があれば。


仲間がいれば。


人は育つ。


・・・


そして。


その育った人間が。


さらに次の人間を育てる。


だから国家になる。


だから文明になる。


だから滅びない。


・・・


連合軍本部。


元帥ロバート。


五人の将軍。


三十万人の連合圏。


かつて盗賊に怯えた貧困村は、


今や世界最大級の人材国家へ成長していた。


そして成長はまだ止まらない。


人が人を育てる限り。


その勢いは、


誰にも止められなかった。







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