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滅びかけた貧困村から始まった教育革命が、やがて世界文明そのものを変えるまでの物語  作者: 慈架太子


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127話 ロバート総司令

連合軍本部。


ケルナインはいない。


呼ばれてもいない。


必要がないからだ。


---


昔。


盗賊に怯えていた村があった。


食う物もない。


病が流行る。


奴隷商が人を攫う。


冬を越せず死ぬ者もいた。


そんな村だった。


今。


人口二十八万人。


連合軍三十二万人。


教師八万人。


食料自給率五〇〇%超。


魔法覚醒率一〇〇%。


国家ですら到達できない規模へ成長していた。


そして。


その国家を率いる男がいる。


ロバート。


元冒険者。


元食い詰め。


元傭兵崩れ。


今は連合軍総司令。


---


会議室。


各軍団長が揃う。


エミリー。


セリナ。


ミシェル。


ティグリス。


マイケル。


全員が席につく。


ロバートは地図を見る。


誰もケルナインの判断を待たない。


その必要がない。


育ったからだ。


---


「北方三国家が陥落した。」


ロバートが言う。


「難民予測。」


セリナが答える。


「五十万人。」


「受け入れ可能か。」


「可能。」


即答だった。


マイケルが補足する。


「教師も足りています。」


ミシェルが頷く。


「索敵部隊も足ります。」


エミリーが笑う。


「兵士も足りる。」


誰も不安がない。


なぜなら。


仕組みがある。


教育がある。


だから人が増えても崩れない。


---


その時だった。


ロバートの身体が光る。


静かな光。


温かい光。


圧倒ではない。


安心感。


信頼感。


人をまとめる力。


それが溢れた。


---


将軍



元帥


---


セリナが立ち上がる。


「元帥……。」


マイケルが鑑定する。


そして息を飲んだ。


「国家運営補正。」


「教育補正。」


「物流補正。」


「行政補正。」


「組織成長補正。」


「人材発掘補正。」


「未熟者育成補正。」


---


軍人のスキルじゃない。


国家のスキルだった。


---


ロバートは理解する。


将軍は軍を率いる。


元帥は国家を率いる。


違うのだ。


戦争のための力ではない。


人を活かす力。


育てる力。


環境を整える力。


---


ロバートは笑った。


「なるほどな。」


その瞬間。


初めて理解した。


なぜケルナインが前に出なかったのか。


なぜ命令しなかったのか。


なぜ放置したのか。


育てていたからだ。


---


「総司令を引き受ける。」


ロバートが言う。


全員が頷く。


異論はない。


---


元帥ロバート。


第一軍団長エミリー。


第二軍団長ティグリス。


第三軍団長ミシェル。


第四軍団長セリナ。


第五軍団長マイケル。


---


連合軍。


総兵力三十二万人。


教師八万人。


治癒師三万人。


索敵兵一万人。


職人十万人。


農業従事者十五万人。


---


人材こそ国家。


その思想が形になった。


---


同じ頃。


農業研究所。


ケルナインは若い教師達に肥料の配合を教えていた。


北方三国家陥落。


元帥誕生。


連合軍再編。


そんなことは知らない。


興味もない。


もう自分の仕事ではないからだ。


老人は若者の仕事を奪わない。


育ったなら任せる。


それでいい。


---


窓の外では子供達が走り回っていた。


ケルナインは少しだけ笑う。


それだけだった。


国家はもう。


彼がいなくても動いていた。


---








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