表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おじさんと幼女のデスゲーム攻略  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/88

第87話:物言わぬ味方

やがて、大人たちの話はようやく終わる。そして堀井(ほりい)は、加々美(かがみ)に連れられて子供たちのところへ戻った。


「どうだった?」


「これからも、ここにいるの?」


同い年の子供たちに囲まれて、少女は戸惑(とまど)い、目を伏せる。その様子を見て、後ろにいた女性が口を開いた。


「いいえ。アメリちゃんは、伯母さんが迎えに来られるそうよ。それまで、ここで(あず)かっておくだけ。……少ししかいられないけど、みんな仲良くしてあげて」


その言葉に、子供たちが(そろ)って(うなず)く。彼らの先頭にいた名越(なごし)は、前に進み出てきて、堀井の手を(にぎ)った。


「じゃあ、もう少し遊ぼ! 夕ご飯まで、まだあるから」


「……うん」


(つな)いだ手を見つめながら、堀井が返す。子供たちの反応を気にしていた加々美は、そのやり取りにホッとした。


(これなら明後日まで、何事もなく過ごせそうね)


堀井には、面倒を見てくれる親戚がいる。そのことを、彼女は良いことだと思っていた。ただ。堀井があまり笑わないのは、気になっていたけれど。


緊張(きんちょう)しているだけよね、きっと)


そう考えて、加々美は自分を納得させる。その一方(いっぽう)で、堀井は他の子と遊んでいても、猫のことが気になっていた。


(あの子はどこにいるんだろう。お腹はすいてないのかな)


ときどき、窓の方に目を向けながら。彼女は猫を探そうとして、そのたびに(あきら)める。その姿を見て、名越が聞いた。


「……ねえ、アメリちゃん。外に出たいの?」


「……ううん。そんなこと、ないよ」


「じゃあ、何か探してるのね。窓、開けてもらう?」


「いいよ、別に」


短い会話の後に。堀井は目線を下に向けて、名越は加々美に向かって言った。


「ねえ先生。ちょっとだけ外に出てもいい?」


「ええ、どうぞ。中に入るときは、ちゃんと手を洗ってね」


女性は笑顔でそう返す。大人に許可(きょか)(もら)った名越は、堀井に向かって笑いかけた。


「行こう、アメリちゃん。(くつ)はこっちだよ」


庭に(めん)したガラス()を開けて、外に出るときのために用意されているスリッパを()きながら。彼女は優しい笑顔で告げる。堀井は黙って、ついていった。知らない場所に出た少女は、なんとなく周囲を確認する。その目線が、(へい)の上に向けられて。そこで彼女は固まった。


「……あ……」


高い塀の上から、三毛(みけ)猫が建物を見下ろしている。その猫は少女と視線が合うと、横の木を(つた)って下りてきた。


「ニャアン」


どうかしたかと言いたげに。少女に近づいて、猫が()く。堀井はそっと、猫に近寄ってしゃがんだ。


「ねえ。あなたもここに、一緒に……」


「それは無理だよ、アメリちゃん」


名越が悲しそうな顔をする。


「ここは施設だから。動物は、飼えないと思う」


「ニャン。ニャー」


彼女の言葉に。猫は気にした様子もなく、尻尾を軽く振って答える。そして堀井の手を()めた。ザラザラとした舌の感触に、少女はまた、泣きたくなる。


「ニャアー」


猫はしばらくそこにいたが、やがて堀井から離れて、また塀の上に戻る。その黄色い目が、語っていた。また、いつでもここに来ると。


(……そっか、あなたは。何があっても、私の(そば)に、いてくれるんだね)


猫に舐められた手の(こう)を、反対の手で(おお)うように、(にぎ)りしめて。堀井は加々美から中に戻るように言われるまで、ずっとその目を見つめていた。





1/面する

「向く。向き合って接する。対する」


2/伝う

「物に沿って移動する」


この後書き内での説明は、コトバンクのデジタル大辞泉から引用したものです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ