表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おじさんと幼女のデスゲーム攻略  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/88

第82話:決戦(後編)

「……ねえ、お姉ちゃん」


泣きそうな声で、ホリーが言う。


「私……私、いいよ。お姉ちゃんか、おじさんに、残ってほしい……」


その言葉に。浦見(うらみ)は何も言わず、坂井(さかい)は少し、すまなそうにした。


「……ホリーちゃんは、優しいのね。ねえ、おじさん。あなたはどう?」


「……残念だが」


男の顔色は変わらない。鉄のように硬い意志で、彼は告げる。


「俺はホリーを、家に帰してやると決めた。それだけは、何があろうと変わらねえ」


浦見の両手が、坂井の首元に伸ばされる。彼女はその瞬間に、柔らかな笑みを浮かべて、(かく)し持っていたナイフを出した。黒い(やいば)が、男の(のど)に突き()さる。それでも。彼は全力で、女の首をしめ続けた。


(……ああ。これは、ダメ、かも……。ごめんなさい、勇太(ゆうた)……)


坂井の意識が、だんだんと遠くなっていく。やがて彼女は、両手をダラリと()らして息絶(いきた)えた。浦見は女の体を床に横たえて、背負い(ひも)(ほど)く。


「……おじ、さん……! ナイフ、早く、抜かないと……!」


彼の手で、椅子に下ろされた少女が叫ぶ。悲鳴のようなその声に、彼は黙って、首を横に振った。


「でも、でも……! まだおじさんは死んでないのに! 私、私が、先に……!!」


彼女は(あわ)てて、椅子から下りる。そして、男が投げた拳銃(けんじゅう)を取りにいこうとして。ホリーが後ろを向いた瞬間に、男は迷わずナイフを抜いた。赤い血が吹き出す。彼は口から血を()きながら、床に沈んだ。ドサリという、大きな音がして。拳銃を(ひろ)おうとしていた少女は、その手を止めて振り返った。


「……おじさん? どうしたの……?」


答えはない。その代わり。静かな室内に、聞き覚えのあるアナウンスが流れた。


「おめでとう。君は生き残ることができた!」


少女は無言で、天井を見上げる。その目には(たし)かな(いか)りがあった。


「おや、気に入らないのか。……そうだろうね。だが、これはそこで死んでいる男が、命を()けて()た結果だ。君だって、彼の決死の行動を、無駄(むだ)にしたくはないだろう?」


「うるさい。だまって。あなたの、せいで……!」


思いのままに。口走(くちばし)るホリーを、声は否定しなかった。


「なるほど。僕のせいか。……君がそう思うのなら、それでいいかな。どうせ僕たちが会うことは2度とない。このゲームは、そういうものだ」


そんな言葉が聞こえてきて。真っ黒なビルの中に、白い光が()ちていく。


「……ああ、面白かった。今回はわりと、見ているこちらも楽しかったな。だから、そうだね。ほんの少し。おみやげくらいは、あげてもいい」


感情のない声。光の中で、少女が最後に耳にしたのは、それだけだった。真っ白に()まる視界(しかい)の中で、やがて。彼女の意識も、途切(とぎ)れていった。




1/息絶える

「呼吸が止まって死ぬ。息が絶える」


2/横たえる

「横にする。横に寝かせる」


この後書き内での説明は、コトバンクのデジタル大辞泉から引用したものです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ