第62話:新しい出会い?
浦見とホリーが小部屋に来てから、しばらくして。4人目のクリア者が、部屋の隅に出現した。
「……ああ。こんにちは」
その人物は黒髪の、痩せた若い男だった。彼は3人を見て、軽く頭を下げる。そして警戒するように、彼らから離れた場所に座った。
「……俺たちも、少し休むか」
挨拶をしたきり、興味をなくしたように顔を伏せた男。彼を刺激しないように、浦見は少女たちを連れて、反対側の壁に近づく。坂井は男に聞かれないように、小さな声で疑問を口にした。
「あと、何人残っているんでしょうね」
「6人だ」
硬い声で、男が答える。彼は渋い表情で続けた。
「クリアの直後に、振り返って確認した。俺が数え間違えてなけりゃあ、そんぐらいだろ」
「……あら。意外と用心深いのね」
「ついでだよ。お前さんの言ったことが、本当かどうか……。疑ってたわけじゃねえが、それも確かめたかったしな」
からかうような坂井の言葉に、浦見は目をそらして返す。彼女もそれ以上は何も言わず、3人は並んで壁際に腰を下ろした。
「……っ!」
その瞬間に、5人目のクリア者が部屋の中に転がりこむ。パーマをかけた、茶髪でショートカットの女性。浦見はその顔に覚えがあった。第3ゲーム、「かくれんぼ」の途中で、鬼を誘導していた女。彼女は油断なく周囲を見ながら、浦見たちとも、新たに来た男とも距離を取る。その姿を見て、浦見は表情を険しくした。
(……まあ、だろうな。ここまで来たら、俺でも同じことをする)
隣にいるホリーに目を向ける。と、坂井もちょうど彼女を見ていたため、互いに目が合った。
「……ねえ」
彼女は優しい笑みを浮かべる。
「次のゲームは、何だと思う?」
「……知るか」
そう言いながらも、男は嫌な予感がした。この状況には似つかわしくない、温かい笑顔で。坂井は話す。
「私はね、次が最後だって思うの。……だからきっと、1番シンプルな……」
「言うな」
彼女の言葉を遮って、浦見は告げた。
「お前の予想は、多分当たってるんだろうよ。……だがな。俺はお前の口から、そんな話を聞きたくはない。……つうか。少しは気を使ってやれよ。ここにはホリーがいるんだぞ」
「……本当、あなたって人は」
坂井はますます、嬉しそうに頬を緩める。
「そんなことで、大丈夫なの? もしも最後に残るのが、たった1人だとしたら……」
「言うなっての。……分かってるさ、そんなことは」
男は女を睨みつけて、吐き捨てる。女は笑みを深めて、口を閉じた。
1/用心深い
「よく注意して十分に心をくばっている。警戒心が強い」
2/似つかわしい
「いかにもふさわしい」
この後書き内での説明は、コトバンクのデジタル大辞泉から引用したものです。




