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おじさんと幼女のデスゲーム攻略  作者: 文字書きA


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57/88

第57話:どうする?

1つだけ。解決策を、思いついて。浦見(うらみ)はジッと、そのときを待った。


「だ〜るま……」


歌が流れ始める。両足に力をこめて、男は走る。坂井(さかい)を追いこし、全速力で。


(……あれ、は……!)


部屋を()け抜けた、その先に。彼は鬼の姿を見た。長く大きな、2本の角。背に()えている、コウモリの羽。


(悪魔……?)


大きな異形(いぎょう)のバケモノは、男の方を見ていない。歌は最後の「だ」の文字に差し()かっている。


(……くっ!)


スピードを落とし、足を止める。そして浦見(うらみ)は、息を(ととの)えながら前を見た。歌が終わり、バケモノが彼の方を向く。


(……どうだ?)


(あか)い色の(ゆが)んだ()。口元からは、大きな(きば)が突き出ている。その目はギョロギョロと、周りを見ていた。


(……やっぱりか)


悪魔が目を止めることはなく、床から黒い手が伸びてくることもない。その様子を見て、彼は確信する。息が切れていることは、動いているとは思われないと。


(まあ、だろうな。呼吸は人間に不可欠だ。これがゲームだっていうなら、クリアのための抜け道はある。俺1人なら、どうとでも……)


しばらくして、また歌が流れる。その間に、彼は口を開いた。


「……なあ、ホリー。ここで、1人で待てるか?」


なぜ、とは。少女は聞かず、目を伏せる。


「……うん。でも、駄目だよ」


()き通る声に、感情はなかった。ただの事実として、彼女は告げる。


「あれ、怖いから。見たらみんな、ビックリする」


歌がやむ。悪魔が再び、彼らを見る。そのせいで、浦見は口を閉じるしかなかった、


(……お前は、驚かねえのか)


思えばずっとそうだった。子供らしくない落ち着きと、感情の起伏(きふく)がない姿。それはまるで、人形のようだと。


「……それで? ビックリすることの、何が駄目なんだ」


思いながら、男は歌が流れる横で、彼女に問いかける。ホリーは変わらず、淡々とした声で答えた。


「ビックリしたら、動くから。(かか)えている人が動いたら、おじさんも動いたと思われちゃうかも。そしたら一緒に、死んじゃうよ」


その言葉を耳にして、浦見は全てを理解する。


(……こいつはゲームのルールが分かってる。その上で、俺がやろうとしてることを理解して、俺を心配してるんだな。……らしくねえ、なんて。何を考えてんだ。こいつがどういうやつだろうと、守ると決めたのは俺自身だろうが)


歌が終わる前に。彼は深々と息を吐いた。


「……そうか。死ぬのは、駄目だな」


「……うん」


少女が(うなず)く。悪魔の顔が動きだす。その恐ろしい顔から、けして目をそらさずに。2人はまっすぐ、前を見ていた。




1/差し掛かる

「ちょうどその時期になる。ある場面になる」


2/不可欠

「ぜひ必要なこと。なくてはならないこと。また、そのさま」


3/起伏

「盛んになったり衰えたり、さまざまな変化があること」


この後書き内での説明は、コトバンクのデジタル大辞泉から引用したものです。

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