第56話:第4ゲームの始まり
扉の先にあったのは、最初に見たのと同じような、白い正方形の部屋だった。その部屋には、他にも人がいる。おそらくは、生き残った参加者たちだ。浦見たちを加えて、その人数は15人。そして誰もが、浮かない顔をしている。
「……テステス、あー。ここまで、お疲れ様!」
男が扉を閉めると同時に、電子音が聞こえてきた。その声に、参加者たちは一様に体を強ばらせる。
「さて、次のゲームだけど……。先に説明だけしちゃおうか。ゲームの名前は『だるまさんが転んだ』だよ」
声は気にせず、明るく続けた。
「もう少ししたら、ゲームが始まる。そうしたらこの部屋は縦に伸びて、端には鬼が現れる。君たちは鬼に見られている間は動かずに、鬼が顔を隠すまで待つんだ。無事に向こう側について、鬼にタッチできたら君たちの勝ち。次のゲームに進ませてあげる」
「……それなら、誰か1人がタッチできれば、全員がクリアしたことになるのか?」
説明の途中で、浦見が低い声をだす。電子音は一瞬だけ止まってから、再び聞こえだした。
「……そんなことはないよ。クリアできるのは、タッチした人だけ。鬼が君たちを見てないときには、歌が流れているから……。耳をすまして、頑張ってね。それじゃあ、ゲームスタート!」
アナウンスが消えて、正方形の部屋が目の前で引き伸ばされ、長方形に変わっていく。参加者たちは戸惑ったような様子で、その光景を見つめていた。
「だ~るまさんが、こ~ろんだ」
長方形の室内に、不気味な調子の歌が流れる。浦見は前を見すえて、ため息をついた。
「おい、お前ら。音が止まったら、動くなよ」
男がそう言うのと同時に、歌がやむ。子供たちは、青い顔のまま、その場に留まっていた。
「だ~るまさんが……」
次に歌が聞こえてきたとき。坂井は前を見ながら、歩き始めた。歌が終わる前に、彼女は少し先の場所で、足を止める。
「……次は俺も行く。お前らも、タイミングを見て合わせろよ」
浦見はホリーを抱えたまま、硬い声で告げた。少年たちが小さく頷き、その直後に歌が止まる。参加者の中の1人が、フラリと床に倒れこんだ。その瞬間に、床から真っ黒な手が伸びる。黒い手は倒れた人を包みこんで、そのまま床に沈んでいった。
「ヒッ……!」
別の参加者が、悲鳴を上げる。その人物も、また。床から生えた手によって、引きこまれていった。
(……声を上げるのも、動いたことになるのか。ホリーは平気か……?)
そう思いながらも、浦見は動いたと判定されることを恐れて、目線を動かすことができなかった。
1/一様
「全部同じようすであること。また、そのさま。同様」
2/強ばる
「柔らかいものが固くなる。不自然に突っ張る」
3/耳をすます
「聞こうとして注意を集中する。耳をそばだてる」
この後書き内での説明は、コトバンクのデジタル大辞泉から引用したものです。




