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おじさんと幼女のデスゲーム攻略  作者: 文字書きA


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55/88

第55話:第3ゲームの終わり

話すことも、やがて尽きて。暗闇の中で、彼らはただ、待っていた。そして。地下室の扉が開くこともなく、その時は唐突(とうとつ)(おとず)れる。


「パンパカパーン! おめでとう! 今、生き残ってる君たちはゲームクリア! 次のゲームに進めるよ。引き続き、頑張ってね〜」


これまでもたびたび聞こえてきた、奇妙なほどに明るい声。それが(ひび)きわたると同時に、地下室の中は明るくなる。


「っ、く……」


(まぶ)しさに目を細める。そして、その瞬間に。浦見(うらみ)は昔のことを思いだした。


『……助けて』


誰かに(うで)を。いや、服のすそを(つか)まれた。それはいつ、どこで、誰に――


(……関係ねえ)


男は(かぶり)を振って、脳裏(のうり)に浮かんだ過去の情景(じょうけい)を追いはらう。


(俺には必要のねえもんだ)


記憶にある手は、とても小さかった。それが何より、彼の(むね)(なみ)だたせる。


(バカバカしい。こいつは誰かの、代わりなんかじゃねえ)


男の(となり)には、もはや見慣れた少女がいた。金髪碧眼の、美しい子供。目を細めて、その顔を見ながら。彼はゆっくりと深呼吸する。


「……また、扉があるな」


しばらくして。明かりに慣れた浦見は、部屋の中を見回して言った。その目線の先。反対側の(かべ)には、古い木製(もくせい)のドアがある。そのことを確かめて。坂井(さかい)は立ち上がり、歩きだした。


「どうせ進むしかないんでしょう? はやく行きましょ」


作り物のような笑みで、そう告げて。彼女は向こう(がわ)にたどりつき、扉に手をかける。反対に。男は動かず、青い顔をした少年たちを見た。


「……立てねえのなら、手を貸すが」


「……平気、です」


硬い声で(つぶや)いて。深命は、十矢と支えあいながら立つ。その様子からは、明らかに。無理をしていることが分かった。


「……なあ、ホリー」


浦見は(しぶ)い顔のまま、少女に声をかける。


「お前さんは、帰りたいのか?」


「……私は」


彼女はそれまでと何も変わらず、無色透明(むしょくとうめい)な声で答える。


「これから先も、おじさんについていきたい。帰るときは、一緒がいい」


「……そうかよ」


男は真顔で、少女と向かいあう。扉の前にいる坂井たちの視線も無視して、彼は真剣な声をだした。


「だがな、ホリー。覚えておけ。もし、1人しか帰れねえなんて話になれば……」


2人の目が合う。黒と緑の視線が交差(こうさ)した。


「俺はお前を優先する。そうなったら、迷わず進め」


浦見の言葉に、ホリーは肯定も否定も返さなかった。そして、彼も。言うだけ言って、少女を(かか)え、3人が待つ扉に近づく。そこは(せま)い室内だ。声は聞こえていたはずだが、誰も何も言わなかった。




1/脳裏

「頭の中。心の中」


2/情景

「心にある感じを起こさせる光景や場面」


3/波だつ

「心が動揺する」


この後書き内での説明は、コトバンクのデジタル大辞泉から引用したものです。

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