第48話:ギクシャクする関係(後編)
「なんとなく、分かってきました。鬼が増えるところまで、あなたの予想どおりでしたか」
深命が目をみはり、感心したような様子で呟く。浦見は眉間のシワを深めた。
「……できることなら、当たってほしくはなかったがな」
「でも、すごいですよ。……あの奇妙な音声も、浦見さんを褒めてましたし。あなたはきっと、認められているんでしょうね」
少年は、少し低い声で続ける。十矢が戸惑いながら彼を見上げて、坂井とホリーは動きを止めた。
「……あれか。確かに俺も、気にしてはいた。普通に考えれば、あの音声は、この状況を作りだした奴のものだろうが……」
動揺する子供たちの様子を見ても。男は表情を変えず、ため息をつく。
「あれだけが、どうにもな。俺に向かって語りかけてきたわりに、鬼に俺を追わせるわけでもない。もし、あの鬼が明確に俺を追うようなら……。お前らから離れて、囮として逃げまわるつもりだったんだが」
淡々と発された彼の言葉に、少女たちは暗い顔で俯く。深命は構わず、話を進めた。
「でもそうはならなかった。あなたは狙われず、鬼は他の参加者を殺している」
「頭の痛い話だな。終わりも見えねえ。解決策も、今のところは何もない」
「ないんですか。本当に?」
深命と浦見の視線がぶつかる。男は苦々しげな顔で、言葉を落とした。
「……ねえよ。俺は神でもなんでもない」
「でも、考えていることはありますよね? 解決策とは言えないから、口にしないだけで」
少年の言葉に、全員が浦見の方を見る。彼は外に、目を向けた。
「……まあ、ある。囮になるのも、その1つだ。鬼が俺を狙わねえなら、俺の方から前に出ていけばいいだけだからな。あれには耳も目もねえが、大きな音には反応してた。外には物が、いくらでもある。それを利用して、鬼を引きつけられるなら……。このゲームが終わるまで、俺が1人で、それをやり続ければいいだけだ」
「……そんな……!!」
坂井が思わず、声を上げる。男はその姿を見て、わずかに表情を和らげた。
「心配すんな。見つかったら、俺だって終わりなんだ。たとえ、お前らを守るって理由があっても……。それは最後の手段の1つ。それも1番、選ばねえやつだよ」
そして。浮かない顔で、彼は言う。
「だが。今の俺には、そのくらいの策しか立てられねえ。光の差さねえ地下室に逃げるか、俺だけが外に出て、鬼の相手をするか。後は……」
硬い声が、その場に響く。
「生き残ってる奴らを利用して、囮を増やすか、だな」




