第37話:第3ゲームの始まり
「……あー、あー。さて、それじゃあ次のゲームだよ」
しばらくして。ノイズが消えた放送が流れる。
「次は、かくれんぼ。鬼に見つからないように、頑張ってね。鬼の視界に入らなければ、死ぬことはないよ。だから隠れる場所を、途中で変えるのもオッケー。……でも、逃げるのは絶対に許さないから」
最後の言葉に、圧がこもる。そして放送は、始まったときと同じように唐突に切れた。
「……仕方ねえな。とりあえず、行くぞ」
浦見はそう、子供たちに声をかける。その声は予想以上に、静まりかえった室内に響いた。子供たちだけでなく、参加者は全員、彼を見る。
「……何だ?」
その視線を。睨み返して、男は告げた。
「鬼に見つかったら死ぬんだろ。なら、今から隠れる場所を探すべきだ」
「……そうだよね!」
根巳が空気を変えようとして、裏返った声で言う。彼は続けて、浦見に聞いた。
「ねーねー、おじさん。オレたちも分かれるべきなのかな? オレたち3人と、おじさんとお姉さんたちで」
その問いに。男は目を細めて、坂井とホリーの方を見る。
「……いや。俺はできれば、お前たちとは別の場所に隠れたい。もし俺が見つかっても、お前たちが生き残れるように。……とは言っても、1人でいるのも不安だろう。ちょうどいいのは、2人組だな」
口元に手を当てて、思案するような顔をしながら。男はあらかじめ、決めていた組分けを伝えた。
「……で、そうなると……。ホリーのことは坂井に任せるとして、どうすっかな。お前さんは、俺と一緒でもいいか?」
「もちろんだよ! オレはおじさんを信じてるし!」
元気よく、根巳が返す。十矢と深命は、浦見に尊敬のまなざしを向けた。そして坂井は、呆れ顔で口を開く。
「……本当に、自分から苦労を背負いこむ人なんだから。行きましょ、ホリーちゃん。隠れる場所を探さないと」
少女の手を引いて、彼女は2つ折りのドールハウスの陰に入る。十矢と深命は、列車の模型の方に向かった。その背を見つめながら、根巳が呟く。
「……アキとルイは、何を思い出したのかな。ツラいことじゃ、ないといいけど……」
「……ああ、そうだな。お前さんは、夢の中で何を見たんだ?」
少年の手を引いて、パンダのぬいぐるみが着ている服の下に潜りこみながら。男は低い声で問いかけた。彼と手を繋いでいる根巳は、明るい笑みを浮かべている。
「オレは大したことじゃないよ。友達と、休み時間に遊んでたの。それこそ、物を隠したりしてさ。そのとき一緒にいたのは、あの2人じゃなかったけどね」
1/視界
「目で見通すことのできる範囲」
2/思案
「あれこれと考えめぐらすこと」
この後書き内での説明は、コトバンクのデジタル大辞泉から引用したものです。




