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おじさんと幼女のデスゲーム攻略  作者: 文字書きA


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32/41

第32話:2日目の夜(後編)

「……あの人って、特別だよね」


テントの中心に立てられた木の枝を見つめて、根巳(ねみ)(つぶや)く。


「1人だけ、明らかに年が違うし。あの部屋でも、目立ってたけど」


「……確かに。背も高いし、1番最初に目についたのは、あの人かも」


深命(しんめい)が友人の言葉に同意する。このゲームが始まった時のことを、彼らはよく覚えていた。


「僕たちはあの白い部屋から動けなかったのに、あの人は真っ先に、外に出た。ゲームにだって、すぐに参加を決めていて……」


「ちょっと待って」


坂井(さかい)が冷たい声をだす。彼女は少年たちを(にら)んだまま、言葉を続けた。


「おじさんは、全然本気じゃなかったわよ。ただ、なりゆきで、私とホリーちゃんを守ってくれただけ。勘違(かんちが)いしないで」


「……それは、ごめん」


少女の迫力(はくりょく)に、何も言えなくなった根巳の代わりに。深命が頭を下げた。彼女はため息をついて返す。


「……別に、わざわざ(あやま)らなくていいわ。あなたたちにも、悪意があったわけじゃないんでしょ」


テントの中に、気まずい雰囲気(ふんいき)(ただよ)う。十矢(とおや)が小さな声で言った。


「……うん。ボクも、あの人のことは好きだよ。最初は怖かったけど、優しい人だって分かったから」


その場の空気が(ゆる)む。根巳が床に座りこんで、入口の方に目を向けた。


「警察官の、浦見(うらみ)さんか。あんなに強い人まで、ここに連れてこられるなんて……。ゲームって、いったい誰が、何のためにしているのかな」


その問いは、誰もが考えることだった。記憶もなく、見知らぬ場所にいる。状況は同じだ。


(……それはそうよね)


離れた場所で、坂井も同じように(こし)を下ろす。彼女は自分の(ひざ)を、両腕(りょううで)(かか)えた。


(おじさんも、私たちも、あの子たちも。この、わけの分からない場所から出られない)


(さび)しげに、目を細める彼女に。ホリーが自分の体を寄せた。


「……平気だよ」


透明(とうめい)な目をして、少女は告げる。


「お姉ちゃんは、1人じゃないから」


「……ええ、ありがとう。ホリーちゃん」


坂井が表情を(やわ)らげる。2人は並んで、笑いあった。


「……ねえ。坂井さんって、笑うとかわいいよね。今まではキツイ感じだったから、気づかなかったけど」


その姿を見て、根巳はひそめた声で言う。十矢は目を丸くして、深命は(しぶ)い顔をした。


「……本当、裕太(ゆうた)のその気楽さだけは尊敬するよ。見習いたいとは思わないけど」


友人の言葉に、根巳は不思議そうな顔をする。その様子を見て、十矢は笑いそうになった。口元を押さえて、彼はそっと目をそらす。こうして穏やかな空気の中で、子供たちの夜は()けていった。

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