第11話:第2ゲームの始まり
浦見がホリーを連れて体を起こす。その瞬間に、暗かった部屋に明かりがついた。そこは床に大きなマットが敷かれて、天井が吹き抜けになっている正方形の部屋。壁もマットも真っ白で、最初の部屋とよく似ていた。壁に木製の扉があることまで同じだ。
(……先に様子を見てみるか)
とまどう周囲の人間を置いて、男は扉に近づく。耳を当ててみるが、向こう側の音は聞こえない。
(開けるしかないな)
ドアノブを握って、扉を押す。少し開いた隙間からは、木々が生い茂る森が見えた。
「……外だ!」
近くにいた青年が叫ぶ。人々がざわめき、扉の方に視線を向けた。
「……いや、ここが出口に繋がってるとは……」
「外に出られるのか?!」
「これで助かる!」
「山か森か? どっちにしても、町に行ければ何とかなるぞ!」
彼らを止めようと声を上げた浦見は、期待のこめられた言葉を耳にして、ため息をついた。
(……これは、何を言っても聞かねえだろうな)
彼は扉を押し開けて、外に出る。その後から、大勢の人々がなだれこんできた。人の波が収まってから、彼は室内を覗きこむ。中には坂井とホリーの他にも、数人ほどの人間が残っていた。
(流石に警戒する奴もいるか。扉を俺が押さえておけば、自由に行き来できそうだ)
彼がそう思った瞬間に、甲高い電子音が鳴った。大地が揺れて、部屋の床に亀裂が入る。分厚いマットが波うって、地面が少し傾いた。残っていた人が、慌てて外に飛び出していく。黒髪の少女は、子供の手を引いて扉に近づいた。彼女は無言で、彼に問いかけるようなまなざしを向ける。
「……しゃーねーな。お前らも来い」
浦見の言葉に、2人は頷き扉を潜る。彼はドアノブから手を離した。扉は閉まり、鍵のかかる音がする。
「……やっぱり、先に進むしかないのかしら」
坂井が扉を見ながら呟く。浦見は無言で頭をかいた。深い森のどこかから、機械の声が響いてくる。
「2つ目のゲームは鬼ごっこ。制限時間は3日間。なんとかして、この森の中で生き残ってね。それじゃあ、始め!」
甲高い声に、男が顔をしかめる。周囲を見回したが、既に人々はいなくなっていた。
「……まあ、こんな状況じゃあな」
「それにしたって、ひどくない? こんな所で、3日間も……水や食べ物はどうするのよ」
「そりゃあ、どこかで取ってくるしかねえだろ。……ひとまず川を探そうぜ」
男は言って、少女たちと共に、森の奥へと進んでいく。後ろにある茂みから、2つの赤い目が覗いていたことには気づかずに。
1/生い茂る
「草木が枝葉を広げて生え重なる」
2/亀裂
「亀の甲の模様のように、ひびが入ること。また、その割れ目」
この後書き内での説明は、コトバンクのデジタル大辞泉から引用したものです。




