第10話:宝探しの終わり
手当てを終えた浦見が、椅子に座りなおして、少ししたころ。コンビニの店内に電子音が響きわたり、機械の声でアナウンスが流れた。
「さきほど、10人目の死亡者が出ました。おめでとうございます。生き残った皆さんは、自動的に次のステージへ進めます。道路の標示に従って、広場までお集まりください。繰り返します……」
感情のない声に、男が渋い顔をする。坂井は机の上にある紙皿と紙コップをゴミ箱に捨てて、立ち上がった。
「……行くしかないよね」
「……ここに残って、2度と出られなくなっても困るからな」
首を傾げるホリーを連れて、2人はコンビニの外に出る。黒いアスファルトの道、その中央には、白い矢印の絵があった。誰がいつ、そこに矢印を描いたのか。それは3人には分からない。黒髪の少女は、険しい表情で矢印を見た。
「これを辿れってことかしら」
「だろうな。……気をつけていくぞ。お前らも、俺から離れないようにしろ」
男の言葉に、少女たちが無言で頷く。3人は矢印にそって戻った。しばらく歩くと、遠くから人の声が聞こえ始める。遠くの方に、複数の男女が集まっている広場が見えた。浦見と坂井は、周囲を警戒しながら、ホリーと共に広場の端の方に立つ。その瞬間に、ビルの壁面にあるウインドウに、最初と同じ人影が映った。
「改めて、おめでとう。君たちは幸運にも生き残った。次のゲームに、進んでいいよ」
男か女かも分からない影が言うと同時に、足元の地面が消えさった。集まった人々が悲鳴をあげる。男はとっさに、少女たちを抱き寄せて、自分が下になるように位置を変えた。どこまでも続くような、暗く深い穴に落ちている、その途中で。彼はふと、自分の過去を思い出す。
(……そうだ、俺は昔、警察官をやっていたな。だからこれだけ、動けるのか)
生死がかかった理不尽なゲームは初めてだが、危機的な状況は何度も潜り抜けてきた。そんな記憶を取り戻した瞬間に、彼はマットが敷かれた床に、背中から落ちる。体に衝撃が伝わるが、マットで軽減されたことで、浦見はなんとか助かった。抱えていた少女たちから手を離して、彼は2人に声をかける。
「……ケガはないか?」
「……大丈夫」
坂井が起き上がり、彼から離れる。彼女は硬い表情で答えた。ホリーは男の上に乗ったまま、エメラルドのような瞳を向ける。
「おじさんは?」
「平気だよ。……下にマットがあったしな」
黒く長い髪で顔を隠して、俯く少女を横目で見ながら。彼は柔らかな声で返した。
1/険しい
「怒りや緊張のため、言葉や表情などがとげとげしいさま」
2/理不尽
「道理をつくさないこと。道理に合わないこと。また、そのさま」
ーー道理 「物事の正しいすじみち。また、人として行うべき正しい道」
この後書き内での説明は、コトバンクのデジタル大辞泉から引用したものです。




