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アルカディアリベル  作者: 描空


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98話 予定

 俺がカイルムから帰って来てはや二ヶ月経った。取材陣の人たちに情報を話さないように徹底して避けていたらいつの間にか話を聞きに来ることもなくなり、テレビではもう話題性がなくなってきたからか取り上げられなくなっていた。街行く人も俺を見ても何も言ってこず、今回の件はこれで終わったかなと思った。そんなことをしていると夏休みに入り取材陣は余計俺に聞き込みを出来なくなり俺の件は完全に過ぎたものになった。


 今年の夏休みは去年のような夏休みを過ごすのではなく、あまり人目につかないような夏休みを過ごしていた。みんなと遊ぶ時は普通に遊びに行くが、それ以外の時は家でゴロゴロと有意義な時間を過ごしていた。ダンジョンにも行かず家でゴロゴロしているとユースから体が鈍るよと言われたが、忘れられた記憶の断片(アルカディアリベル)の中でじいちゃんや武帝、シロ、水戸さんたちと多種多様な訓練は欠かさずやっていたため一切鈍っておらず、ユースは少し不服そうだった。そんな夏休みを過ごしているとひと月なんてあっという間に過ぎてしまい学校が始まった。


 夏休み明けいつも通り学校に行きみんなと楽しく話しているとクラスのみんながいつも以上にソワソワしている感じがした。俺たちは何かあるのかなと思っているとユースが登校してきた。俺たちはユースに何かあるのかなと問いかけるとユースは呆れたような表情で言った。


「二年生のこの時期と言えば修学旅行が定番でしょ。あなたたちの中学にもあったでしょ?」


「「「あー!」」」


 俺たちは納得の声をあげた。言われてみれば今は夏が終わりもうそろそろ秋になりそうという時期であり、修学旅行をするにはもってこいの気温と季節感になってきている。俺たちは修学旅行のことをすっかり忘れていたから余計にインパクトが強く興奮した。


「どこに行くんだろうね!」


「沖縄とか!?」


「北海道もいいんじゃないか?」


 そんな話をしていると塩田先生が教室にやってきて口を開いた。


「おいおい、もう修学旅行の話題で持ちきりか? サプライズ的な感じで話そうと思ってたのに一歩遅かったか」


「ということは?」


「修学旅行の予定が全て組み終わりました!」


「「「イェーイ!」」」


 クラスは過去一の盛り上がりを見せた。修学旅行なんて学生生活一番のイベントと言っても誰も反論出来ないイベントであるため仕方ないのだろうが、あまりにも盛り上がり過ぎて塩田先生の話を一切聞かなくなってしまった。塩田先生が話を聞くように言っても大半の生徒の耳には届いておらず、どうしようかと塩田先生が困っているので俺は手のひらの上で小さな爆発魔法を作り出し爆発させた。音の大きな爆発魔法をイメージしたため教室中に広がる爆音が鳴った。その音でクラスはしんと静まり返り、その隙に塩田先生が話し始めた。


「はい修学旅行の話なんだけど、まだ日程は発表しません。みんなにはワクワクしててほしいからね。修学旅行の一週間前に発表するから。日程は今話すけど、後はお楽しみってことで。日程としては六泊七日のまるまる一週間の修学旅行で、最初の二日はその行く場所の様々な施設に行って歴史を学んでもらい、真ん中三日は地元以外のダンジョンも体験しようってことでダンジョン攻略をして、最後の二日は自由行動って日程になってるから。ちなみに行き先だけど、大体みんなの予想通りだから楽しみにしてて」


 塩田先生の話にクラスは大盛り上がりだった。一週間まるまる修学旅行という贅沢さといつか分からない焦燥感、行き先を考えさせる高揚感全てが相まって修学旅行の話題が下火になることはなかった。授業中も修学旅行の話をしていて怒られた生徒が何人もいた。楽しみなのは分かるが、もう少し自重しなよと思った。昼休みになり食堂で昼ご飯を食べながら修学旅行の話をしているとすみれちゃんがやって来た。


「先輩たちお久しぶりです。なんだかいつもより楽しそうですけど何かあったんですか?」


「修学旅行の話をしてたんだ。担任の先生がわざと一部の情報を隠して伝えてきたからみんなで予想してるんだけどすみれちゃんの中学の修学旅行ってどのぐらいだった?」


 俺が聞くとすみれちゃんは思い出しながら話すように少し上を向いて言った。


「えーと、十月前後だったと思います。時期的にはちょうど今ですね。光正も大体同じぐらいじゃないですかね。夏より前か後かの違いだと思うので本当にもうすぐですね」


「そうなんだよ。ちなみにすみれちゃんは修学旅行どこ行きたい?」


 そんな感じで修学旅行話に花を咲かせているとあっという間に授業開始間際まで話し込んでしまった。俺たちは話を切り上げ授業に向かった。幸い座学であったためなんとか間に合った。座学の授業が始まると担当教諭である石田先生が話し始めた。


「今日は沖縄にあるダンジョンについて話していきたいと思います。それじゃあみんなこのスライド見てね」


 石田先生の話にクラスはザワザワし始めた。修学旅行の話が出てきたタイミングで沖縄のダンジョンの話。しかも、修学旅行の真ん中三日はダンジョン攻略。こんなのもう確定だとみんな察したのだ。


「はいはいみんな静かに。それじゃあ説明していくわね。沖縄のダンジョンは本島と少し変わったモンスターが多いの。熱帯に棲んでいるような動物のモンスターだったり、熱帯の気候に適した身体を持つモンスターが多々いるの。だけど、それを今説明しちゃったら新鮮味が無くなるからダンジョンだけ説明するわね。沖縄で有名なダンジョンは二つあって、一つが猛暑のダンジョン。名前の通り気温は三十五度以上の猛暑日が一年中キープされてて、まともに攻略出来ないししたくないって理由で有名になったの。もう一つはマングローブ林のダンジョン。沖縄っぽいダンジョンで一見綺麗な所なんだけど、モンスターは普通に強いから痛い目に遭った攻略者が多くて、このダンジョンは油断大敵の代名詞とも言われてるぐらいってところだね。それじゃあその二つのダンジョンについてはなんとなく理解出来ただろうから、簡単なダンジョン内の説明してるサイト見てみるね」


 そう言うと石田先生ネットのサイトを表示した。そこには二つのダンジョンの大まかなマップとモンスターの写真が載せられていた。そのモンスターの見た目はヤドカリのような奴もいれば嘴の大きな鳥のようなモンスターもいた。ダンジョンの大まかなマップはゲームに出てきそうな感じで細長くかなり奥まで続いているようだった。


「こんな感じで大まかなことが書かれてるから行こうと思ってる人は事前に調べておいたら楽になるかも知れないよ。それと、モンスターについても調べたらいいけど、調べ過ぎても発見がなくて楽しくないだろうから程々にね」


 そんな話を聞いていると授業が終わった。石田先生が教室を後にするとクラスのみんなはスマホで調べ物をし始めたようだ。俺としてはモンスターとはダンジョン内で初めて会ってみたいなと思い調べずに現地で会うのを楽しみにした。

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