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アルカディアリベル  作者: 描空


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97話 テレビと憶測

 俺がカイルムから帰ってきてから学校に登校した日の夜、世間では俺の無事を知らせる記事や先生たちの会見の様子が報道されていた。SNSや動画配信サービスなどでは俺の身に何があったのかで盛り上がっていた。インターネット上やテレビだけで盛り上がってくれているのなら俺に実害が出ないからまだマシだ。そこから俺に直接取材をしに来たり、学校に来たりしなければいい。そんなふうに思っていた。その時勝からメールが来た。内容は取材陣から助けてくれた謝意と取材陣に対する愚痴だった。そのメールに俺は当たり障りのない返答に加えてこれから先また取材陣が押し寄せてくるかも知れないという内容を添えた。


 翌日、いつも通り学校に向かうと取材陣はおらず学校の人も誰一人俺たちにあの日何があったのかは聞いてこなかった。こちらとしても説明する面倒さも聞かれるダルさもなく平穏を保てるというものだ。学校に着くとクラスのみんなは話を聞かれたりしなかったか心配してくれた。俺はみんなに大丈夫だと笑顔で答えた。


 いつも通り授業を受けているこの時間だけは誰からも何も聞かれず平穏な心を保てていた。座学の授業を受け終わり休憩時間になった。今俺についてどんな情報が出回っているのか知りたいなと思いSNSを開いてみた。すると、龍の正体を探る考察や空間の切れ目はどんな魔法なのか情報を募る投稿が多々見られた。その中には龍の正体は俺の関係者なのではないかとなどの根も葉もない噂を流している者までいた。こういう時に変な噂を流す奴ってどういう思考回路してるんだろうとシンプルに疑問に思った。ただの考察だと言ってしまえばそれだけだが、民衆を煽るような事を言うのは控えた方がいいのではと感じた。そんな事を思っていると授業が始まった。スマホをしまい授業に集中することにした。いつも通り授業を受け放課後になった。俺と勝は部活に行き汗を流した。そして、いつも通り帰ろうとしたが、今日も取材陣がいては面倒だと風魔法で飛んで帰ることにした。街並みを眺めてみると至る所に取材陣と思しき人たちがいた。昨日の一回だけでは効果がないと思い学校に相談しようと思った。


 家に帰ると母さんがテレビを見ていた。そこには校長先生と教頭先生、鷲田先生が写っており記者会見をしているようだった。生中継らしく先生たちがどんな回答をするのか見守っていると記者が質問を投げかけた。


「今回の件、詳しくなくてもいいので何があったのか教えていただけませんか?」


「小出本人と話し合った結果お話することは出来ません」


 鷲田先生がそう答えると記者たちは口々に質問を投げかけた。龍の正体に関わる質問や俺が二週間も行方不明だったのに急に見つかった理由など様々だった。場は混沌とし始め収集がつかなくなってきた。すると、場を収めるために校長先生が言った。


「小出くんは光正の一生徒です。世間様からの説明責任は我々教師陣にあります。そして、我々は小出くんの意見を尊重し皆様にお話ししています。これは小出くんのプライバシーであり個人情報です。これ以上踏み入った質問をするのであれば会見はこれっきりと致します。大人なのですから恥ずかしいと思われるような言動は謹んでいただきたい」


 校長先生の言葉にその場にいた記者の人たちはしんと静まり返った。この沈黙を誰が破るのかと楽しく見ていると教頭先生が言った。


「質問がないのであれば私たちはこれで失礼します。加えて言っておきますが、小出くんに直接聞き込みを行うなどは迷惑ですのでお控えください」


 記者会見はそれで終わった。校長先生たちカッコいいなと思っていると母さんが言った。


「さすが校長先生たちね。人生の先輩って感じでカッコよかったわね」


「そうだね。それに、教頭先生が直接聞き込みはやらないように言ってくれたからそれも安心出来るしほんとありがたい」


「もしかしてもう聞き込みされてたの?」


「まぁね。一喝したから面倒ごとにはならなかったけどね」


「ほんとマスコミって人のこと考えないわよね」


「そうだね」


 俺は自室に行きカバンを置いたりしてリビングに戻った。晩ご飯が出来るまでテレビを見ていると俺のことを取り扱ったテレビ番組が始まった。その番組はニュース番組でありゲストを呼んで何があったのか解説していた。その番組には動画も使われており龍王が喋っているところも使われていた。生徒の誰かが撮ったものであろう画角に攻略者のゲストや番組の人たちはこの龍はどの地位に属している龍なのかなどを話し合っていた。攻略者のゲストはかなり高地位の龍であると考察していた。見た目から、使っている魔法の高度さなどかなり的を得ている発言をしていた。でも、その場にいる人たちは現実味がないのか否定的な意見をあげていた。そんな光景を眺めていると父さんが帰ってきた。


「ただいま」


「「おかえり」」


 父さんが帰ってくるのとほぼ同時に晩ご飯が出来た。俺たち一家が晩ご飯を食べながらテレビを見ていると、他のテレビ番組でも俺の一件を取り上げていた。すると父さんが言った。


「会社でも健斗のこと聞かれたよ。まぁ心配する声がほとんどだったけど、若い子たちはテレビと一緒で何があったのか知りたくて話しかけてきたよ。何も知らないって答えるとあからさまに肩を落としてだけど、最近の子たちは刺激が少なくて退屈してるのかな?」


「分かんないけど、攻略者じゃない人たちにとって今までにない経験だから知りたいんじゃない? 俺からしたらやめてほしいけど」


「そうだとしてもそこまでして知りたいかなぁ?」


 そんな話をしていると食べるのが遅くなり母さんに早く食べなさいと怒られてしまった。俺と父さんは喋らず黙々と晩ご飯を食べ終えた。お風呂に入り歯を磨き後は寝るだけとなりベッドでゴロゴロSNSを見ているとトールさんのアカウントを見つけた。攻略者チャート最上位のトールさんは何を発言しているのかなと思い見てみると俺の件についての投稿は一切なく、企業とのコラボしている商品などの投稿しかなかった。リスクマネジメントしっかりしているなと感心していると他の著名な人も気になり一年生の頃に特別講師として来た間藤さんのアカウントを検索した。すぐにヒットし見てみると、俺の一件に大興奮な様子が投稿から見てとれた。間藤さんらしいと言えばらしいが感情丸出し過ぎないかと少し笑ってしまった。


 いつの間にか眠っていてしまったようで目を覚ますといつもより早い時間に起きてしまった。ちょうどいいし朝のニュース番組を見てみようとリビングでテレビを見ていると俺の一件は何も報道されておらずほっとした。でも、朝の時間帯だから俺の情報より優先される情報が多いだけで朝のピークを過ぎ、ワイドショーなどに変われば話されるのだろうなと感じた。別に俺には関係ないし放っておけばいつか誰も興味を示さなくなるだろうから今は我慢だと忍び耐えることにした。

次回もお楽しみに


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