92話 真相
泣いていた父さんと母さんが落ち着きを取り戻し話をしてくれた。
「実はな、健斗が龍に攫われたって聞いたからもう二週間も経ってるんだ。その間、世間の皆様も色々捜索してくださったりしたんだ。攻略者協会の攻略者の方が調査してくれたりしたけど何の手がかりも無かったんだ。それでようやく帰って来たから……本当に無事で良かった」
「そ、そんな……てことは色んな人様に迷惑かけたってことだよね?」
「そうだな。とりあえず学校に電話してこい。きっと世間様には学校が色々動いてくれるだろ」
「分かった」
ひとまず学校に電話をかけた。
「はい、光正高校の塩田です」
「あっ塩田先生お久しぶりです小出です。つい先ほど龍の所から無事帰って来ました」
「良かった……無事だったんだな」
電話の向こうで塩田先生が鼻を啜る音が聞こえて来た。すると、周りにいた先生たちが塩田先生に話しかけていた。塩田先生は俺が無事帰って来たことを伝えると色んな先生が電話の向こうで様々な声をかけてくれた。
「ありがとうございます。それより色んな人様が俺のために動いてくれたようなんですけど、俺どうすればいいですか?」
「それは先生たちに任せなさい。それより相川たちに会ってこい。アイツら相当堪えてたからな」
「分かりましたありがとうございます。失礼します」
電話を切り送られて来たメールに返信した。勝たち含め金田先輩と藍先輩にもメールを返した。すると、家の玄関がものすごい勢いで開いた。
「健ちゃん!」
涙を浮かべながら春奈が抱きついて来た。俺は咄嗟に春奈を受け止めた。しばらく春奈は俺の腕の中でわんわん泣いていた。すると、勝と透も家にやって来た。
「健斗!」
「健ちゃん!」
二人とも安堵したような表情を浮かべていた。目には少し涙が浮かんでいた。二人は春奈も一緒に抱きしめるように俺を抱きしめた。俺は二人も一緒に抱きしめた。ひとしきり抱きしめ合い感動の再会を喜んでいると春奈が言った。
「さすがにもう暑い」
俺たちは抱擁をやめた。さすがにもう十分かと少し離れると春奈が俺に説明を求めた。
「それで、何があったのかのか説明して」
「あぁ分かってる。まず、あの龍は龍を司る原点の龍らしい。始龍とか龍帝、龍王とか呼ばれてるんだって。それで、龍王が来た理由はこの前俺がワイバーンを殺したからだった。それで、ワイバーンを殺されたって仲間のワイバーンたちを大人しくさせるために俺に決闘をさせに連れて行かれたんだ。まぁさすがに決闘するのにリスクリターンが合ってないってゴネたらアイテムと条約結ぶって言われたからコテンパンにして帰って来たってわけ」
俺の言葉にみんな安堵のため息を吐き何とも言えない表情をしていた。すると、春奈が聞いてきた。
「ていうかアイテムと条約って何?」
「アイテムはこの本で条約は不可侵条約と相互援助の条約。相互援助は互いに助けに行くかどうか選べるようにしてるから、互いに一方的に助けに来いってのは出来ない。それに、俺が個人的に結んだ条約だし人類に対してとか龍種に対してってのは出来ない。俺と龍王が互いに助け合うための条約だから、そんなに心配することはない」
俺の言葉にみんな口々に不安を漏らした。でも、龍王と俺が個人的に結んだ条約だし特に不利益になるような事は無かった。だから大丈夫だろうとみんなを宥めた。そんな話をしていると家の電話が鳴った。俺が出ると塩田先生の声が聞こえてきた。
「小出か。今回件、学校が各方面に説明することになった。詳細について聞かれるだろうが、小出はまだ学生でありショックを受けていると答えることになった。今回のことは相川たちに言うだけにとめておけ。あんなバケモノに人間が敵うわけないからどうとでも言い訳は出来る。だから、お前は何も気にせず学校に来い。しばらく色んな人から何があったのか聞かれるだろうが、何も答えるな。先生たちも学校の全員に話を聞かないように言うから来週から来ればいい。とりあえず今はゆっくり休みなさい」
「分かりました。ありがとうございます失礼します」
電話を切るとみんながどうだったと聞いてきた。塩田先生からの話を簡潔に説明した。みんな良かったと安心していた。少し落ち着きみんなでゆっくりしていると家のインターホンが鳴った。母さんが出ると驚いたように玄関に向かい鍵を開けた。
「健斗!」
ユースが抱きついて来た。もうやった流れだったが、何も言わず受け入れた。
「良かった……本当に良かった」
ユースは泣きそうな声で言った。
「ただいま」
「……おかえり」
しばらくユースと抱き合っていると何があったのか説明を求めて来た。俺はみんなにした説明をもう一度少し簡潔に話した。すると、ユースの興味はミトロシスグリーモに向いた。
「そのアイテムについて教えてよ!」
さっきまでの泣きそうな感じはどこに行ってしまったのかと思うほどテンション上がっていて乾いた笑いが出そうになった。でも、しみじみされるよりこのぐらい気楽な方がいいやと思った。
「この本の名前はミトロシスグリーモって言って、龍王の時代の魔法が使えるんだって」
「「「えー!?」」」
みんなの反応に父さんと母さんが驚いていた。二人はアイテムやダンジョンについて疎く疑問符しか浮かんでいないようだった。
「それって神話級ってこと!?」
ユースがそう言うと俺は思わせぶりな笑みを浮かべて言った。
「ふふふ、多分ね」
俺の言葉にみんなズッコケそうになった。
「「「多分かい!」」」
みんなからツッコまれてしまった。でも、龍王に性能を聞いただけだけだからミトロシスグリーモが本当に神話級アイテムなのかは分からない。でも、ほとんど確実に神話級と言っていいだろう。龍王の時代なんて神代の時代と言ってもいいだろうし、龍王に教えてもらった空間の切れ目の魔法も異次元のレベルだったから神話級だと信じている。
「龍王ってどんな感じだった?」
勝が問うてきた。
「最初は恐ろしくてまともに目を合わせることすら出来なかったけど、話していくうちに案外まともで話の通じる相手だったから案外平気になっていったな。最終的には相互援助も結んだぐらいだからな」
俺の返答にみんな関心を示した。きっとみんな龍王を間近で見てみたいんだろうが、第一印象はマジで恐怖しかなくやめておくように言った。そんな話をしていると俺のスマホに電話がかかってきた。金田先輩からだった。みんなに断りを入れて廊下に行き電話に出ると開口一番金田先輩が心配そうな声で言った。
「大丈夫だったか? 龍に攫われたって聞いたけど」
「はい大丈夫でした。詳しく話すと長くなるので簡潔に話すと、この前ワイバーンを殺した復讐としてワイバーンに決闘を挑まれたから受けて来ただけです。龍王が俺のことを迎えに来たんです。もちろん決闘の報酬は貰いましたよ」
「お、おう……さすが小出だな」
「任せてくださいよ。それと心配してくれてありがとうございます。また今度ご飯でも行きましょ」
「あぁ分かった。その時は俺の奢りだな」
「やった。それじゃあ金田先輩も大学頑張ってください」
「小出も高校生活頑張れ」
金田先輩との電話も終えリビングに戻ろうとした時、藍先輩から電話がかかってきた。
「小出大丈夫だったのか!?」
「お久しぶりです。大丈夫ですよ。簡潔に説明しますね。龍王に攫われたっていうのはこワイバーンを殺したその復讐だったんです。て言ってもワイバーンたちの復讐で決闘したんです。俺に怪我は無いし大丈夫ですよ」
「そうかそれなら良かった……突然電話して悪かった。居ても立っても居られなくなって」
「大丈夫ですよ。それに心配してくれてありがとうございます。そう言えば藍先輩って大学行ったんですか?」
「うん信神大に行ったよ。小出くんは光正大進むの?」
「まだ決まって無いんで何とも」
「そっか何か相談あればいつでも話聞くからね。それじゃあまたね」
「はい。また連絡します」
藍先輩との電話も終えリビングに戻った。いつの間にか母さんが晩ご飯を作り始めており四人は自分が出来ることをしていた。俺も手伝おうとしたが、座っているように言われた。少しすると晩ご飯が出来上がりみんなで雑談をしながら晩ご飯を食べた。みんなに迷惑かけてしまったけどこうやってまたみんなと食卓を囲めて幸せだった。
次回もお楽しみに




